終わりの始まりは変革に染まる始まり

「それに彼が貴女の前に行かなかったらすかさず追撃を受けていてもおかしくなかったんですが、どうしてあのような視線を送れるんでしょうねぇ・・・」
「・・・っ(ルークが私の事を庇った?・・・私の教えは無駄ではなかったのね・・・!)」
だが続いた嫌味たっぷりの言葉なのに内心ティアは喜びを覚えていた。ルークの先程の行動の意味を聞いたことで。
「・・・聞いているんですか、ティア?」
「イ、イオン様・・・勿論聞いています・・・」
「「「「・・・」」」」
だが表向きは反応と言える反応がなかった為にイオンが顔を覗き込みながら問い掛けるが、ハッとしながらもハッキリせず返す様子に周りの目がどうとも言えない物へと変わる。
「・・・あ~あ、もうんなとこで話し込むよりさっさとここを出ようぜ。すぐそこなんだろ、出口はよ」
「・・・そうですね~、そうしましょう」
妙な空気になる中でルークは頭をガシガシかきながら出口の方へ視線をやり、アニスも早く出ようと同意を示す。その言葉にガイ達も同様にティアへ視線を向けるのをやめ、ティアもホッとしたようにその後へ付いていく。自分への追及がなくなったことに安堵する形で・・・ただ自身への不審が確実にルーク達の中に渦巻き始めてる事には気付かない。ティアは自分の事は皆に信頼されていると信じて疑わない為に。






(・・・空気が悪いな、どうも・・・前だったら俺が空気を気にせず師匠の所に行こうってやってたから俺に非難が行ってたんだけど、今は皆ティアの方に行ってる・・・行動的に分かるのがまた、な・・・)
・・・それで廃工場から出たルークは雨に打たれながらも考えていた。確かに感じるティアへの不審が皆の中に根付いてる事を。
(どうしよう、本当・・・アクゼリュスに着くまでに変な事になんなきゃいいけど・・・)
「・・・見てください。あそこにタルタロスがあります」
「えっ・・・うわ、マジだ・・・」
「幸いにして今は雨で視界もそう効きませんので、遠回りして場を離れましょう。今以外に神託の盾の目を誤魔化して出発出来る機会はそう訪れないでしょうからね」
「しゃーねぇなぁ・・・(・・・まぁ今神託の盾に見つかったらイオンの奪還の為にタルタロスの中の兵と全面衝突しかねないしな・・・それだと流石に皆危なくなるから、今回はジェイドの言うようにしよう・・・)」
更に考えに集中しようとした時にジェイドからの言葉にルークも仕方なさそうに同意を示し、安全の為にと遠回りに歩いていく。



(くっ・・・流石にイオン様がいる状況で六神将だけならともかく、神託の盾とまで対峙するのは無理があるわ・・・こうなったら教官達が早くこっちに気付いてくれるのを期待するしかないわね・・・)
一方ティアは流石にアッシュとの対面に無理があると感じ、不満を浮かべながらも仕方ないと断じてその後を付いていく・・・















・・・そのようにしてタルタロスの視界から出来る限り見えないようにしながら進むルーク達の行動は実り、雨が止む頃にはタルタロスが視界から消える位置に行き、ザオ砂漠へと無事に足を踏み入れる事が出来ていた。

それでザオ砂漠を歩いていくのだが、神託の盾が特に追いかけてくる様子もなくルーク達は順調にオアシスにまで辿り着いた。



「・・・あっ・・・!」
オアシスに来たことで一先ずの休憩、そう言った流れになって水場の方へ行こうと歩いていたルーク達。そこでルークは水場の前にある姿を見て思わず声を上げた。
「あら、偶然ね。こんなところで会うなんて」
「・・・事情があってだっつーの」
その姿とはアドリビトムの面々の事でジュディスが微笑を浮かべて話しかけてきたことにルークは不本意と言ったように返す。






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