終わりの始まりは変革に染まる始まり

・・・イオンにアニスの同行も決まり下の階層に行き、ミヤギ道場で一通りのレクチャーを受けたルーク達。それからガイの先導の下天空客車に乗り、廃工場へと向かう・・・






(・・・誰かが天空客車に乗ったって話を聞かなかったから、ナタリアは来てないよな・・・)
廃工場に着いて辺りを見渡しながらルークは一安心する。ナタリアらしき人物の事を今回は聞かなかったことで。
(でも安心はしてられないな・・・変に時間食うとナタリアがこっちに来るかもしれないし、イオンに負担にならない程度に急ごう・・・!)
しかし油断する気などないルークは気持ちを引き締め直し、先へと歩いていく。












・・・そんな風にルークは内心気力を漲らせながら歩いていく訳だが、ガイから廃工場の講釈を受けた後に工場を進んでいく内にジェイドの動きに使える譜術が封印術を受ける前と変わってないことに気付いた。その変化にルークはクレス達のおかげと考えを至らせる中、廃工場の攻略が楽になったとも思っていた。自分は実力を隠しているしガイ達も動きを見る限り、ここの魔物と余裕があるくらいに戦える程度の実力と見て感じていたために。



(・・・くっ、やっぱりナタリアは来ない・・・全く何なのかしら、この変化は・・・!)
一方ティアは出口近くにまで来た時に改めて怒りを覚えていた。ナタリアが来ないという有り得ない事態に。
‘ドンッ!’
(・・・来たわね・・・ちょうどいいわ、貴方には私の怒りを受けてもらう・・・!)
と、そこに以前ナタリアと打ち解けた最後のきっかけとも言える蜘蛛の魔物が再びルーク達の前に降り立った。ティアはやり場のない感情をその魔物にぶつけんと力を込め杖を握る。
「・・・はっ!」
そして杖を振るうのだが自分の実力を過信するティアの攻撃はダメージを与えはするのだが、魔物を揺るがすことはない。
‘ブンッ’
「くっ・・・!」
「何してんだよお前!詠唱中は守れってよく言ってんのに前に自分から来んなっつーの!」
「・・・っ・・・」
その攻撃に魔物が反応し横なぎに足を振り抜き、ティアは尻餅をつきながら何とか避ける。ルークがすかさず魔物と対峙するようティアの前に行き本心混じりに叫ぶのだが、ティアは更なる苛立ちを浮かべる・・・ルークへと、八つ当たり以外の何物でもない目で。



(くそっ!なんなんだよマジで!ティアは本当にどうしたってんだよ!今も何かピリつく視線が俺の背中に刺さってくるし!)
ルークはその視線を確かに感じながら内心で叫ぶ。ティアの明らかで理不尽な怒りと無謀な行動に。
(それにこのままの体勢だと俺が退いたらティアが危険だ・・・なんとかここで盛り返すには実力を・・・!)
「スプラッシュ!」
‘ドオォォォンッ!’
「「・・・っ」」
そのままルークが本気になるかを目の前の魔物の殺気と対しながら決めようとした時、スプラッシュが魔物に炸裂して魔物の身を飲み込んだ。二人が瞬時にスプラッシュを詠唱していただろうジェイドの方を見ると、微笑・・・だが明らかに本心から笑ってない笑みを浮かべティアの方を見ていた。
「・・・まだその魔物は生きています。距離を取ってください」
「は、はい・・・」
それで油断なく離れるように勧めるジェイドにティアは圧されたよう声を上げながら立ち上がって後退し、ルークも距離を取る。









・・・それからは実力の落ちてないスプラッシュを受けた魔物は動きに精彩を欠き、然程ルーク達は苦戦することも時間をかけることもなく魔物を倒した。だがそれで魔物を倒したことに皆は喜ぶことがないばかりか、一人の所へと厳しい目が集中していた。その一人とは・・・ティアである。



「・・・いけませんねぇ、散々貴女自身が言っていたではありませんか。自分の役目は後方支援だと。それを自ら切り込んで危機に陥るとは、それが貴女の言う後方支援の役目なのでしょうか?」
「・・・すみません、大佐・・・」
戦いが済み早速と眼鏡を押さえながら皮肉を向けるジェイドにティアは悔しげに下を向きながら答える。事実、暴走しての結果以外の何物でもないと否定出来なかった為に。









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