焔と予想外の想いが絡まる始まり

「・・・んー、あー・・・きつ・・・(・・・やっぱりまだ生まれたばかりだからか、声もろくに出ないな。それに手も足もろくに動かねぇ・・・頑張って前のように、前以上に動けるようにならないとな。そして今度こそアッシュを無事に生かした上で、俺も生きる・・・!・・・ま、本当はあの時にどうにかしたかったんだけどな・・・)」
・・・舞台はルミナシアから場は移り、オールドラントのキムラスカのバチカルのファブレ邸。
夜になり屋敷の人々も大半が眠りにつく中、生まれた時の体に戻ったルークは決意の表情を浮かべ部屋のベッドの上で声を小さく出したり手足を動かしたりしていた。しかし最後に自身の失敗を想い、ヘニャリとした笑みに表情が変わった。



・・・ルミナシアのローレライによりオールドラントに戻ってきたルークは、フォミクリー技術により産み出された時間軸の体に戻ってきた。その時にルークは出来ればアッシュをダアトに連れていかせないように動きたいと考えていたのだが、いかんせん生まれたばかりのレプリカの体はあまりにも無力だったのだ。それで結局まともに体を動かすことも出来ず、再びバチカルに自分が連れてこられる事態になった・・・というわけである。



(ま・・・それは置いておいて、こっちのローレライのあの言葉を聞いてハッ?って思ったけど・・・マジで今のこの世界って本当に前のようにそのまんま進むのか?・・・空にあんなもん浮かんでるなんざ、俺聞いたことねーぞ・・・それにエルフにクリティアにガジュマとか・・・なんでこの世界にこんな他種族が入り乱れてんだよ、変わりすぎだろ・・・)
しかしとルークは考えることを変え、このオールドラントが以前とあまりにも違うことに内心で愕然としていた。



・・・ルークは屋敷に来た時まだ無理が出来ないこともあって、幼いフリをしつつ過ごそうと思っていた。それで屋敷での生活も始まった訳だが、初っぱな屋敷の庭から空を見上げるとそこに昔では有り得ないあまりにも不釣り合いで大きな建造物が外殻大地の遥か上に浮かんでいることに、何故と呆然とした。

その時近くにいたガイがあれはダイクロフトという物で創世歴からお空に浮かんでる不思議な物です・・・と説明してきた時に更にルークは混乱しそうになった。そんな状態で夜になり多少落ち着いてきた所でルークの元にローレライから通信が入った。ルミナシアのではなくこのオールドラントのだ。

そのローレライいわくこの世界は大筋で言えばルークの知るオールドラントと違いはないが、何らかの異常がありダイクロフトや人以外の他種族のようなイレギュラーが出てきたのではとのことだった。

そんな答えに正直ルークはこれからの事を不安に思ったが、やることは変わらないとローレライにわかったと告げ通信を終えた。



(大筋が変わらないって言うんならやることは変わらないんだ。やってやるさ、俺は・・・!)
・・・ルークの目的は変わらない、故に迷わない。天井を見据えまっすぐな想いを胸にルークはそっと握りこぶしを上に付きだした、自身の決意を示すように・・・












『・・・ルークは当面は心配はいらんだろうな』
・・・所代わりとあるセフィロトの一角。ここにローレライは力を借りたのもあり、既に地核から脱出してしばらく身を落ち着かせていた。
そんなローレライはそっと一人呟く、ルークは大丈夫だろうと。
『むしろ心配なのは・・・ティア=グランツの方か』
しかしそこで比較対象に上がった名前にそちらへの不安をローレライは口にした・・・ティアという存在に。







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