終わりの始まりは変革に染まる始まり

「あ~っ、ルーク様ぁ~!」
「っと・・・んだよ、いきなり・・・つーか何してんだよ、お前らこんなとこで・・・」
「すみません、少し色々あったんです・・・」
「色々とは、一体どうしたのですかイオン様?」
近付いてきた向こうもルーク達に気付きアニスが飛び付いてきたのでルークは面倒そうに受け止めつつ、何事かを問いイオンにジェイドも会話に加わる・・・ティアはその中で一人何故と手で口を覆っていた。
「・・・朝の事ですが、僕は神託の盾の手の者にさらわれかけました」
「さらわれ、かけた?」
「はい・・・幸いにもたまたま僕の事を見つけてくれたクレスさん達により何とか事なきを得てアニスと合流したんです。それで城の方に向かおうとしていて、今こうして皆さんと会ったんです」
「そうですか・・・」
イオンは今ここにいるのはクレス達のおかげと言い、ジェイドは眼鏡を押さえながら声を上げる。
(クレス達が、か・・・様子を伺っちゃいたんだろうけど、これはどうなんだろうな・・・イオンの負担にならないんならいいとは思うけど、ザオ遺跡のダアト式封呪の扉ってこれからの事を考えると開けておきたいのも事実なんだよな・・・)
ルークはその中でアニスを引き剥がしながらも状況としてどうなのかと、内心で首を傾げる。
(イオン様がここにいるって・・・あの人達、また余計な事をしてくれたわ・・・このままだとルークとアッシュが顔を合わせる機会が無くなる可能性が出てくるじゃない・・・!)
一方でティアはまたアドリビトムの面々が起こした変化に内心で憤慨するが、目はハッキリと誤魔化しようが無いほどに怒りに鋭く細まっていた。



・・・そう、ティアからしてルークとアッシュの二人の会合が無くなりそうになるのは是非とも避けたい事だった。何だかんだありはしたが一応仲間というカテゴリに入り、ナタリアと両想いであるアッシュとの関係が希薄になりかねないことは。それはエルドラントの戦いから三年後にルークと大爆発で一つになったアッシュを見て絶望しこそしたものの、だ。

だがそれ以上にティアにとって問題となり得るのは・・・ルークがレプリカであると本人に知られない可能性が下手をすれば出てきてしまう事だ。それはルークがワガママなままになってしまうことの恐れに加え、アッシュが一人突っ走る可能性にも繋がりかねないとも見ている。コーラル城に行ってフォミクリー装置に触れてもいないし、同調フォンスロットを開いてもいないという不安要素が重なった事もあってだ。

そして今イオンがこうやってここにいることはつまり、バチカルを抜け出す時に初めて顔を合わせる対面の時も無くなるのではないか?・・・そう考えると、ティアは気が気でなかった。ただでさえ前と違う流れがあるという不安要素があることで・・・



「・・・んで、城に向かってるって事はそれを話に行こうってでも考えてんのか?」
「はい・・・街の入口はシンクが見張っていて、船も神託の盾の船が洋上にいるとの事で下手に船に乗っても襲われる可能性が高いとクレスさん達に言われたので・・・」
「はっ?シンクが街の入口を見張ってんのか?」
「えぇ、僕を捕らえようとしての事だと思います」
「まいりましたね。これでは街を出ることが出来ません」
そんなティアの内心はさておきルークは話を進めていき、ジェイドはイオンの言葉に少し考え込む。
「・・・イオン様、ちなみに彼らはどうしたのですか?」
「クレスさん達でしたらもう街を出ましたよ。自分達は神託の盾に追われる身ではないから大丈夫だと言って皆さん入口の方に向かいました」
「そうですか・・・」
(クレス達はいないのか・・・一体どうするつもりなんだ、皆は・・・?)
ティアがそこに真剣に問いを向けイオンの返答に心なしかホッとしたようになり、ルークはその行動の意味が分からないと内心で考え込む。自分達と離れて行動する意味を。







5/22ページ
スキ