徐々に近付く変革すべき時

・・・そのようにティアがモースに追い込まれてる一方、ルークは屋敷に戻っていた。



(ふぅ・・・戻ってきたな・・・)
自分の部屋のベッドに仰向けに寝転がり、目を閉じながらルークはそっと疲れたように心で声を上げる。
(皆とは玄関ですれ違う形で別れたけど・・・多分皆もアクゼリュスに向かうことになりそうだな・・・一緒に・・・)
そこで思い出すのは先程のアドリビトムの面々との玄関での事だ。ルークは入口で公爵と話すクレス達の姿を見ながら一応公爵に声をかけてから屋敷の中に入ったが、あえて何もないといったよう無視していった自身の背中に集まる視線を感じていた。アドリビトムの皆の面々の視線を。そしてその視線の意味をルークは共にアクゼリュスに行くことを示唆しているのではとも感じていた。
(本当は皆を巻き込みたくないんだけど、リーガルさんの話だともうロイド達がアクゼリュスに行ってて住民の人達を救助してるらしいし・・・これは受け入れないといけないよな、もう皆動いてるんだしその人達が助かるのを邪魔するのは危険なんだから・・・)
だがそれを断れないとルークは感じていた。状況的にそれが最善の為に・・・















‘カサッ’
「ん・・・なんだ、寝てたのか・・・って、手紙・・・?」
・・・そして時間は夜になり、そのまま寝ていたルーク。
そんな時に耳元に何か音を感じたことに目をこすりながら起き上がるルークは枕元に置いてあった手紙に気付き、部屋の端で眠るミュウに気遣い静かに開いていく。
(何々・・・『すずです。城に侵入してきたので報告をします』・・・侵入って、ハッ?もしかして今もすずここに侵入してきたのか?・・・まぁすずなら出来そうな気はするけれど・・・)
それで手紙を見ていくとその文面に目を見開きながら窓の方を見る、手紙を置くためにすずが侵入したのかと。
(・・・本当なら侵入者だって言わなきゃならないとは思うんだけど、ここは黙っておこう。流石にすずをそんな風な扱いしたくないし・・・それより中身を確認していこう。『まずアクゼリュス行きの件ですがおそらくルークさんが知る以前のように明日出発となりました。そしてその後に大詠師の様子を観察していたのですが、ティアさんのいるところに行きました。そこでの会話を記載します』・・・モースとティアの会話・・・?)
気を取り直しすずの事を後に回し文に集中していくルークだが、二人の会話という所で首を傾げる。






(これはっ・・・・・・いや、これは本当は有り得る事だったんだろうな・・・前は師匠がケセドニアに残ったから二人一緒に詰問出来なくて、それで変にモースがティアに不信感を与えないようにしようって考えて何も言わなかったんだろうし・・・)
・・・そこには先程のティアとモースの会話が事細かに書かれていて、言いたいことを言い終わったモースが乱暴に部屋のドアを開けて出ていった経緯が事細かに書かれていた。
ルークはそこまで読んで苦い顔を浮かべたが、納得もしていた。モースが激怒した理由にもだが、前に何も言わなかった理由に関して。
(ティアの性格を考えると相当ショックだっただろうな・・・まさかモースからそんなことを言われるとは思ってなかっただろうし、その後は意気消沈した姿を浮かべてたって書いてあるしな・・・せめての救いは第七譜石を見つければどうにかなるってティアも思ってる事だろうけど、今思うと実質的にアクゼリュス行きって死んでもらうこと前提だってことになるんだよな・・・せめてティアにはその事を察してもらわないようにして動かないといけないな。アクゼリュス以降は・・・)
そしてティアについて考えを移行させ気を使おうと考えるのだが、ルークは知らない。ティアもかつてを経験してるからこそその意図に気付いてる事、そして以前にない新たな決意を今固めていることを。






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