徐々に近付く変革すべき時

「・・・それに後付けのように聞こえるかもしれないけれど、今の彼には誰かが側にいるという実感が必要だとも思ったからあぁしたの。今のルークだったら私達がいるとは思ってはいても、心の中で私達といつどう離れようと考えている可能性もあると私は見ているから」
「・・・それは有り得ますね。アドリビトムでの事を考えるとルークさんはどう私達と離れるのかと考えていても不思議ではないと思います」
だが続けてジュディスから出てきた不安を漏らす声にすずも同意する。ルークの考え方を懸念した上で有り得る事だと。
「だからちょっと卑怯かもしれないけれど、彼の心を引き留めるのに一役買えればと思ってね・・・あぁさせてもらったの」
「そうだったんですか」
だからこそと笑顔を浮かべるジュディスにすずも納得すると、ジュディスは先へ歩き出す。
「さぁ、今日はもう休みましょう。船はまだバチカルには着かないけれど、あまり長く起きていても意味はないでしょうし」
「そうですね、そうしましょう」
そのまま部屋へ向かう姿にすずも後を付いていく。その後ろ姿がどこかウキウキしていることを何処と無く感じながら・・・












・・・そして一夜明けた船上で、ジュディス達は甲板上でルークが来ないかと待っていたのだがルークが姿を見せることは結局なかった。

これは当人以外が知るよしもないことなのだが、やはりジュディスとのいきなりのキスは色々と衝撃だったらしくずっと悩みに悩みベッドで布団を被っていたのだ。ミュウの心配する声に眠いだけだと返す形で・・・ということでジュディス達はルークの事を見ずに過ごしていたのである。












・・・そんな風に船上でごく一部以外は誰も知ることのない出来事が起こっていたのだが、船はそのようなことなど関係無く航海し・・・その身をバチカルの港へと着けた。



(ふぅ、着いたな・・・ゴールドバーグ将軍にセシル少将の二人が出迎えに来てるのは変わりはないな・・・)
船から降り、前のように行われる会話に答えつつも落ち着きを取り戻したルークは考える。これからの事を。
(まぁクレス達は師匠の言ってたことから屋敷で何か報酬を受け取ろうと上まで来るんだろうけれど、そこから先は・・・どうなるんだろうな、ティアは・・・ティアの性格を考えると何か城で起きそうな気がするけど・・・)
その考えがクレス達にティアと移行していくのだが、ティアの事についてルークは不安しか感じていなかった。前と変わったと思える、いや思うしかないその気性の在り方に。
(・・・いや、やめよう・・・そこはいくらなんでもティアも分かってると思うし、これは俺が関与出来る領分をもう越えてしまってるから何も出来ないしな・・・)
だがとルークはティアに一瞬目をやった後に考える、自分には何も出来ないと・・・






・・・そのようにルークが考えている中で話は進み、クレス達もルークの護衛をしてくれたという話の流れからアドリビトムの面々も共にファブレまでという流れになった事にヴァンが共にいることでゴールドバーグ将軍にセシル少将も共に付いていく事になった以外は以前のまま、一同は同じようにバチカルの上層部へと足を運んでいった。



「・・・ではギルドの面々はこちらでお待ちください、私が話を通して参ります。ルーク様に導師の皆様方はお城へどうぞ」
「分かった」
それでファブレ邸の前に着きセシル少将の説明を受け、ルークは一瞥もせずにクレス達に視線を向けないまま先へと進んでいく。城の方へと、自分は関係無いと示すかのよう・・・










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