徐々に近付く変革すべき時

「・・・お、戻ってきたかルーク。どんな話だったんだ?」
「聞かれたくねぇ話をしてるから別の場所に行ったっつーのに言うわけねーだろ。今の話もどうせ父上に話を通すもんだし俺達には関係ねーしな」
「あぁ、そうだったな」
戻ってきた二人に早速ガイが声をかけるが、ルークのやる気ない拒否に納得する。
「それよっかもういいんじゃねーのか?船ももう準備出来ただろ」
「・・・そうですね。時間も結構経ちましたしそろそろいいと思いますよ」
「では行きましょうか・・・ではお世話になりました」
「いえ、何かありましたらまたこちらにお寄りください。歓迎させていただきます」
「すみません、では・・・」
そのまま出発したいといったよう船について出すルークにジェイドもイオンも頷き、リーガルが商売人としての顔で笑顔を浮かべる中で一同は屋敷を後にしていく。






「・・・あぁ、ちょうどいい所に来たなルーク。船の用意は整ったようで、すぐに出港出来るとのことだ」
「本当ですか?じゃあもう乗ろうぜ。この船に乗りゃバチカルなんだしよ!」
「えぇ、では乗りましょう」
それで船の前にいたヴァンの所に行くと、準備済みと返ってきた事で喜色を浮かべ乗るとルークは言いイオンも頷く。












(・・・これでバチカルにまで行けばアクゼリュス行き、か・・・)
そして船に乗った後の船室、ここでルークは机に肘をつき頬杖をつきながら無言を貫きつつも心の内が重くなるのを感じていた。
(・・・もう、あんなこと・・・起こさない・・・俺はあの人達を二度も殺したくないんだ・・・!)
そうなるのは今も自身の記憶の中で色濃く、最大の罪の意識が残るアクゼリュスを消滅させた事が残っているからだ・・・だからこそ今度は覆したいとの気持ちもあったが、それはつまりアクゼリュスを消滅させた過去と向き合うことになる・・・希望と過去。二つのせめぎあう気持ちの中で、ルークの心の内は自然と重くならざるを得なくなっていた。



(・・・さて、いよいよバチカルに行った後はアクゼリュスだけれど・・・どうしたものかしら・・・私のあらぬ疑いを晴らすことも必要だし・・・)
・・・一方船の手すりに両手をかけながらティアも考え事をしていた。これからのことについて。だがやはりファブレ邸の侵入に関しては頑として自分は全く悪くないと思っているのには変わりはない。
(前だったらルークは兄さんにより超振動を使わされてアクゼリュスを消滅させたけど、流石に今回も同じような事をさせるわけにはいかないから途中で割って入るつもりだけれど・・・それでルークが素直になってくれるかどうかは私の説明にかかってくるわ・・・ただ神託の盾が私を呼びに来るのは応じなかったら面倒になるし、適当に早目に始末をしないと間に合わなくなるからルーク達がいなくなったらすぐに片付けさせてもらうわ・・・)
そんな中でアクゼリュスに着いてからのシミュレーションをしていくティアだが、その考えがいかに自分にとって都合がいいものなのか・・・それを当人は分かっていなかった。ルークに説明と言っているがそもそもからしてティアは要件だけを喋ろうとして結果何度もルークとぶつかり合うほど言葉足らずな面があることや、今の身体能力はそれこそ前の旅の時点に比べやや毛が生えた程度の申し訳分くらいしかなく、神託の盾の兵士がまとまってかかったら譜歌もまともに歌えないまま終わりかねない可能性があるということを・・・そういった自分の能力を自己分析出来ず過信する事が悪癖であるのを理解出来ないのは、はっきりとティアの致命的な欠点と言えた。







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