徐々に近付く変革すべき時

・・・そのような形でリーガルのいるという場所へと案内していくクレス達に付いていくルーク達は、ある建物の前に辿り着く。そこは・・・



(あれ・・・ここってアスターの屋敷、だよな?)
ルークは目の前にある建物が自分の記憶と違わぬ姿であるアスターの屋敷であることに、内心で首を傾げる。どういうことかと。
「・・・今リーガルという人はここにいるんですか?」
「えぇ。アスターさんと共同に住んではいても、やることがあってあまり屋敷にいないらしいから導師は会ったことはないと思うけれどね」
「ただ今は僕達の報告を待っていますからいるのは間違いないので、今回は会えると思います」
「そうなんですか」
そんなルークの疑問を代弁するかのようイオンが疑問の声を上げると、ジュディスにヒューバートが順々に答える姿に納得の声を上げる。
「じゃあ行こう。リーガルさんも待ってると思うから」
流れが終わった所でクレスが入ろうと言えば、一同は屋敷へと歩いていく・・・









「・・・やぁクレス君、戻ってきてくれたか」
「はい・・・これが依頼人からの報告書です」
「・・・うむ、確かに」
そして屋敷の中に入りアスターの部屋の隣に入った一同はリーガルと対面を果たし、クレスが報告書を取り出し朗らかに会話をする。しかしルークにティア達は揃って不思議そうに眉をしかめていたのだが、それは何故かと言えば・・・
(なんで手枷をしてるんだ・・・?)
・・・そう、ルークが思っているようにリーガルが手枷を当然のようにしているからだ。格好は上流階級のような上等な服を着ているからこそ、その手枷は更にミスマッチと言えた。
「・・・この手枷が不思議でしょうか、導師?」
「えっ・・・えぇ、正直・・・」
「・・・この手枷は私が昔犯した過ちの形です。その気になれば外すことは出来ますが、それは私の望むことではありません。気になるかとは思いますが、気にされないでください」
「は、はぁ・・・わかりました・・・」
リーガルも空気を察し自分から話題を振るのだが、重い過去を否応なしに理解させる語り口にイオンもルーク達も何とも言えずに頷く以外に出来なかった。
「・・・まぁこの話はここまでにしておこう。話を変えるが、君達は前にも言ったようこのままバチカルに向かうのかな?」
「はい。ちょっと船が出るまで少し待つと思うんですけど、バチカルにも他の皆がいますから」
「そうか・・・ではしばらくこの屋敷でゆっくりとするといい。アスター氏も君達に導師なら歓迎するだろうからね」
「お気遣いありがとうございます」
そんな空気を自分で理解して話題を変えたリーガルから屋敷に残ることが決定し、イオンは頭を下げる。
(さて・・・どうしようかな。ちょっとまだ時間は流石に必要だからここにいなきゃいけないんだけど、何もしようがないし・・・)
それでルークは自由時間になったも同然の状況で考える。何かやれないかと。
「・・・む、もしや貴方はファブレの子息では?」
「あ?・・・まぁそうだけど」
「・・・少し不躾な頼みで申し訳ないのですが、少々場所を変えて話をしませんか?公爵様に個人的に通してほしい話をしたいのですが・・・」
「・・・父上に、ねぇ。わーったよ・・・おら、お前はここにいろ。付いてくんなよ」
「わかったですの!」
「んじゃ行くぞ」
「はい、こちらに」
そんな時に自分の事に気付いたといった風にリーガルが公爵への話をしたいと言い出したことに、ルークは面倒そうに了承してミュウに指を指して命令し二人で場を後にする。






・・・それで屋敷の空き部屋に入ったリーガルとルークは入口の扉を閉め、二人きりで向かい合う。
「・・・名前は知っていたが、こうやって顔と顔を合わせるのは初めてだね」
「・・・えぇ、そうですね」
そこで空気を互いに一新し接する二人だが、笑顔を見せるリーガルに対しルークの表情は多少固い。
「あの・・・俺に何の用ですか?」
「君に少し伝えておかねばならないことがあると思ったのでね・・・それはアクゼリュスの件についてだ」
「っ、アクゼリュス・・・?」
たまらず用向きを問うルークだが出てきた単語に目を丸くした。アクゼリュスとの単語に。








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