徐々に近付く変革すべき時

「・・・・・・正直に言えば、どうしていいものかまだ僕には分かりません・・・ティアは頑なに自分の事を言うことを拒否していてそれが何か事情があるということは分かるのですが、かといってユーリさん達にヴァンの言ったことを考えるとただティアを庇っていいものかと思ってしまって・・・」
「ふ~ん・・・(イオンがそう考えるって前にはなかったけど・・・やっぱりユーリ達からそう聞かされた事ってのが大きいか・・・)」
大分間を空け意を決して言葉を紡ぐイオンだが、葛藤の末の言葉にルークも内心で相当キいてるのだと感じ取る。
「・・・すみません、いきなり押し掛けてしまって・・・僕はまたどうするべきかをこれから考えてみたいと思いますので、これで・・・」
「お~・・・・・・行った、か・・・あのイオンの姿を見ると流石にどうにかしたくなるけど・・・だからって俺がティアを積極的に庇うのはやっぱりおかしいんだよな・・・」
イオンはそこで自ら話を切り頭を下げた後に部屋を出ていき、ルークは適当な声を上げ見送った後に一人になった部屋で表情を歪ませながら頭をかく。イオンに対して自分に出来る事はないのかと悩み・・・












・・・そのようにしてルークが一人悶々とした想いを抱える中で船は順調に進み、ケセドニアへと何事もなく辿り着かせた。尚その間アドリビトムのメンバーはユーリとヒューバートがいなくなって以降ルークに接触するようなことはなく、ルークは随分時間が経ってようやくティアから解放されたミュウが戻ってくるまで一人で過ごしていた。なんでもミュウの言葉では自分と二人きりになると次第に機嫌がよくなったが、それを見計らい出ようとしたら出ないでほしいと言われたからこれほどの時間がかかったらしい。



「・・・着いたな、ケセドニアに」
船から降りた一同の中で先頭にいたヴァンは確認するように声を上げ、ルーク達の方へ視線を向ける。
「さて、ここからキムラスカ側の港に行き船に乗ればバチカルに直行するわけだがすぐに出港する事は難しいでしょう。ですので導師達はしばらく街を見て回られてください。私は船を用意するよう頼んで参りますので」
「時間が少し必要だと言うことですか・・・分かりました。頃合いを見て僕達も合流するようにします」
「え~?どうせなら師匠も一緒にいようぜ~?そんなことガイに任せてよ」
「これは私がやった方がいいことなのだルークよ・・・ではまた後で会おう」
「あ~・・・なんだよ、師匠行っちまったよ・・・(ん~・・・アリエッタの事がないからバチカルに一緒に行くのは当然だよな。ただこんな風にしばらく別れるなんて思ってなかったな・・・)」
ヴァンはそこから船の用意をすると言いイオンにルークにと話をしてから立ち去っていき、ルークは不満をこぼしながらこれもまた以前との違いと内心で考える。
(でもそうなるとどうやって時間を潰すかだけど・・・)
「時間がかかるのか・・・だったらちょうどいいんじゃないのか?リーガルへの報告に」
「そうだね、時間があるのなら今の内に行こう」
「少々お待ちを・・・リーガルとはアスター氏と並ぶこの街の代表であるリーガル=ブライアン氏の事ですか?」
「はい、そうです。僕達は個人的に縁があってギルドに仕事を紹介してもらうこともあるんです」
そこでルークは空いた時間の活用の仕方に考えを抱く中、ユーリとクレスの会話にジェイドがリーガルについての疑問を挟む。クレスは関係性をまっすぐに口にする中、ルークに真っ先に視線を向けた後にイオン達へ顔を向ける。
「よろしければ皆さんも一緒にどうですか?リーガルさんなら歓迎してくれると思いますし、時間を待つのにもちょうどいいと思いますが」
「・・・そうですね。イオン様に他の皆様がよろしければ私はそれでいいと思いますが・・・」
「僕も構いませんよ。アスターは何度か会ったことはありますが、リーガルという人には会ったことはありませんでしたし」
「・・・まぁどうせ暇だしな」
「決まりですね。では僕達が案内しますので付いてきてください」
それで一緒にリーガルの所へ行くかを問うと、思い思いにジェイドにイオンにルークと続々に了解が来たことにクレスは先導をしていく。リーガルの居る場所へと。



(リーガル・・・誰なの、一体・・・?)
ただ一人、ティアは得体の知れないリーガルという名前に険しい顔をしながらその後を付いていく・・・







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