聖闘士の決断と双子の片割れの苦渋

・・・アリエッタによるカイツール軍港の襲撃が行われた。その時間から少し時が過ぎる・・・









「・・・あれがコーラル城と言うところか」
「そうでしょうね」
・・・平原にアイオロスとカミュの二人が遠く、城とおぼしきシルエットを目撃して立ち止まる。カミュは表情を変えなかったが、アイオロスの表情には闘志とも呼べるようなやる気がそっと滲んでいた。






・・・さて、この二人が何故デスマスク達を置いてコーラル城という場所に来たのか?それは軍港を襲ったアリエッタから聞いたからだ。軍港を襲い船を壊して整備士をさらい、コーラル城にイオンを来させるようにしろとアッシュから言われたと。

そう聞いたデスマスク達は瞬時にテレパシーで会話をした、この事態に対してどうするのかを。それでその結果、ここで神託の盾にいいようにさせてはこれからの旅路で何度も邪魔が入りかねないしここまでの暴挙をただ見過ごすのもどうかと思う。だからアッシュに対する手を打つのに加えて、神託の盾に牽制を兼ねたダメージを与えに行こうと。

・・・そして今度はイオン達にも話を通す為に会話をしたデスマスク達は、話し合いの結果としてアリエッタも捕らえ整備士も無事な今イオンがコーラル城に行く必要はないが、そこで待機している神託の盾がどう行動するか分からない。だから軍港が復活するまでの間、アイオロスとカミュの二人が神託の盾の様子を見に行くということになった。

イオンはそんな危険な事はやめた方がいいと言ったが、アイオロス達にとっては然程危険なことではない。故に危なくなったら逃げることをアイオロスはイオンに約束して軍港を出た。神託の盾達の相手をしに行く事を知らせぬまま。

・・・ただそんな風にして二人はコーラル城を出た訳だが、アリエッタが必要以上に遅くなれば神託の盾はその場からアリエッタを見捨てて逃げ出す可能性がある。そのため二人はコーラル城の位置を確かめて軍港を出た後、即行で常人には不可能な速さで走りコーラル城を見つけるに至った。おそらく今の状態では神託の盾も何事か理解してないだろう。アリエッタが捕まったのではと考える事さえも・・・






「・・・近くにタルタロスの姿はないな。おそらくその姿を見せて警戒されて撤退されることを避ける為だろう」
「導師を確実に捕らえる為、ですね。ただそうなるなら、コーラル城にいるのは少数精鋭・・・アリエッタと同じく六神将クラスが待ち構えているでしょう。雑兵を数を揃えて並べ立てるよりその方が導師を奪還するのに油断を誘うにも都合がいい」
そんな経緯でこの場に来た二人だが、真剣にコーラル城を見据えるアイオロスの予想にカミュもまた自身の予想を加える・・・敵の数は少ないだろうが、質で補っているのだろうと。
「・・・カミュ、まずはコーラル城を抑える。おそらくアッシュがいるとすればコーラル城の方だ。先にアッシュの居場所を抑えるぞ・・・その方があいつらもこちらに来やすいだろう」
「わかりました、アイオロス」
そしてアイオロスはタルタロスより先にとアッシュのいるだろうコーラル城の事を切り出し、カミュはその判断に頷き二人はコーラル城に向かい歩き出す・・・だがその中でアイオロスから出たあいつらというのは誰なのか?それは二人、そしてデスマスク以外に知らない・・・









・・・それでコーラル城の入口にまで来たアイオロス達だが・・・
「・・・ここにアッシュは来ていないのか・・・?」
そこで二人が感じたのは城内にアッシュの気配を感じないという物で、アイオロスは不可解そうに眉を寄せる。
「・・・大方役割分担でコーラル城の担当ではなくなったか、変に暴走されるのを避けたかのどちらかでしょう。貴方から聞いた印象ではどちらかと言えば後者でしょうが」
「だろうな」
同じく気配を感じないカミュが予測を立ててみれば、アイオロスも同意して頷く。
「ただそうなるならまずはコーラル城の中にいるだろう神託の盾への牽制からだ。人のいない寂れたこの城にいる気配は二つ・・・いるのはまず間違いなく六神将クラスだから、牽制はしておいた方がいい。タルタロスに向かう前に邪魔が入らないようにな」
「わかりました、行きましょう」
しかし変更はあったとは言えやることは変わらないとアイオロスはコーラル城への突入を口にし、カミュは頷き二人はコーラル城の中へと入っていった。







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