双子の片割れの焔への従事

「お前もルークの捜索に向かうというのか?」
「はい。一人より何人かで行かれた方が確実だと思いますので、私もその捜索に加わりたいと思っております」
「ふむ・・・」
(いかんな・・・このままではガイもルークの捜索に来ることになる。そうなれば万が一ガイが先にルークを見つけた場合、最悪の展開も考えられる・・・)
その立候補に訝しげに反応する公爵だが至極全うな理由を上げるガイに、悪くないと考える素振りを見せる。だが普段からガイを危険視しているカノンから見ればその申し出は心で言葉にせずとも、はっきりまずいと感じていた・・・飛ばされた先で屋敷の中ではないことをいいことにルークの命を奪い、さも無念と言った顔で後に見つからなかったなどと平然と報告する可能性があると見ていた為に。
(・・・やむを得ん、こんな言い方はあまり好きではないが・・・)
「・・・ではガイ、お前も捜索に「少々お待ちを公爵」・・・なんだカノン?」
考えをまとめた公爵はガイも行くようにとの達しを渡そうとしたが、普段滅多にないカノンからの申し立ての言葉がかかってきたことに声を止める。
「このファブレ邸はそのティアとやらに侵入された後の言わば、犯行現場です。その上で公爵と私を除いたこのお三方はその場にいた、数少ない目撃者に当たります。とはいっても謡将はダアトの人間であり、ファブレ側に立った発言が出来る方ではありません。となればここでガイがルーク様の捜索の為にファブレを出れば、その場の事を証言出来るのがペール殿だけというのはどうかと思われます」
「・・・つまり証言役としてガイは屋敷に残せと言うのか?」
「そう申し上げています。謡将の妹と言うなら必然的にティアとやらもダアトの関係者であると想像出来ますが、どうでしょうか?謡将」
「あ、あぁ・・・だがティアは私の配下ではなく、大詠師のモースの配下だ。ティアが神託の盾になってからは、直接ティアとは神託の盾内では接していない」
そこから屋敷を襲われた証言役としていかに残す事が重要かとカノンは熱弁していき、ヴァンに後押しさせるためにダアト所属かどうかを聞けば暗に自分は今は関係無いと言ってくる。
「そこまでは聞いてはいませんが、ありがとうございます・・・そのようなダアト所属の二人の争いにこのファブレは巻き込まれたのです。この事でダアトに抗議くらいは出来るかと私は思っていますが、もしもと仮定して最悪の事態・・・ルーク様が飛ばされた先で私が間に合わずその命を落とされたなら、その証言という物が重要になります。ダアトに抗議以上の事をする場合において」
「「「!」」」
「っ!・・・成程」
そんな意見を軽く流した上でその二人の所属する神託の盾という組織があるダアトに対し、最悪の場合のルークが死んだ時の事を仮定した場合において・・・戦争を仕掛ける事を言葉の外に含ませるカノンに公爵は苦い顔をしかけるも冷静に務めて納得して、他の三人は驚きに目を剥き冷や汗を噴き出す。
「そのような事態にならないにこした事はありませんが、このような事態はかつて起きたことはありません。ですから万が一の事を考え、保険を準備されておいた方がよろしいかと・・・」
「・・・うむ、お前の言いたいことはよくわかった。ルークの生存を信じぬ訳ではないが、もしもの事を思えば無視出来ん問題ではない・・・ガイ、お前がルーク捜索に行くのは止めにする。代わりの者を捜索に任せるため、お前は屋敷に残れ」
「・・・それは・・・はい、わかりました・・・」
更にダメ押しをするよう現実的な面でルークが死んだ場合のキムラスカの優位性を作るよう引き合いに出し、全く起きえない事でないだけに流石に公爵も無視出来ずガイにルーク捜索の取り止めを命ずる。その命に反論をしようとしたが結局諦めたよう、ガイは顔を下げその命を了承した。









8/13ページ
スキ