聖闘士の躍動と決心

「・・・ったく、色々面倒を起こしてくれるぜ。神託の盾・・・!」
「急ぐぞ、今ならまだ救える命もある・・・!」
それで港に走って向かう中でデスマスクが面倒と言葉通りに顔を歪め、カミュは冷静に務めながら港にいる人間の救助をせんと意気込む。港にいる人間の気配がどんどんと感じられなくなっていることに・・・






「・・・っ、中々ひでぇな・・・」
・・・一目散に駆けて来た港。そこにあった光景は大量の魔物が場にいるキムラスカの兵士を襲って無惨に殺し、かろうじて残った兵士も何とか息絶え絶えに戦っているという物だった。
今まで任務で数々の屍を築いてきたデスマスクは中々の凄惨さだと漏らす。
「・・・デスマスク、ここは私に任せろ。一瞬で片付ける」
「・・・カミュ、お前技を使うつもりか?」
「大佐がいない今ならまだ譜術と誤魔化せる。それにちまちましていたら余計に被害が広まりかねん・・・後ろに下がっていろ」
「・・・はいよ」
そんな中でカミュは自身がやると一歩踏み出し言い出した事に、力を使うのかと問う。その問いに早く片付ける状況が整っているからと凍気を掌中に留めながら応えるカミュに、それ以上何も言うことなく了承を返した。
「では・・・行くぞ!」



「ダイヤモンドダストーーーッ!」



‘ピキイィィィンッ’
「・・・えっ・・・?」
・・・宣言と共に放たれたダイヤモンドダストはその名の通り目に見える程大きな雪の結晶で魔物達だけを狙い、その身を断末魔すら叫ばせない速度で凍らせた。それも場にいた魔物のほとんどを凍らせる形で。
そのあまりにも浮世離れた光景に場にいた人間全てが呆然として声を漏らす。
「ヒュウ、さっすが・・・んで、あそこにいるガキと魔物を凍らせなかった理由はなんだ?」
「六神将には魔物を操れる者がいると聞く。そしてその者の名は妖獣のアリエッタと・・・状況から見てあれがアリエッタで間違いないだろう。なら今やるべき事は一つ・・・」
「あのガキを捕まえるってんだな?六神将の動きを探るために」
「あぁ、そうだ」
ただそれで全部敵を凍らせなかったのは何故かと感心をしながら周りと同じように呆然とする桃色の髪の少女と、共にいる人を背に乗せたライガに視線をやりながらデスマスクが問えば、カミュが意味深に話を進めたことに捕らえて情報を聞き出す為とあたりをつける。それが当たりだった事でデスマスクは悪どく見えるような笑みを深める。
「そういうことなら凍らせる訳にはいかねーよな・・・んじゃお仕置きタイムだぜ、嬢ちゃん?」
「・・・っ!」
デスマスクはそのまま楽しそうに視線を向ける。アリエッタに狙いをつけて。アリエッタはその視線に気付き、怯えたようにのけ反るが・・・端から見れば悪漢がいたいけな少女に襲い掛かる構図に見えるのは、致し方ない事と言えた・・・












「っ・・・これは・・・!」
そして港に遅れて辿り着いたイオン達だが、そこにあった惨状を見て絶句する。
「・・・あれは、アリエッタ・・・!?」
「っ・・・デスマスクさん、カミュさん!」
アニスが奥に視線をやるとそこには地面に横たわるアリエッタを、デスマスクとカミュが見下ろしている光景があった。かそこに慌ててイオンは駆け出す。
「・・・お二人とも、これはどう言うことですか・・・?」
「・・・私達二人がここに来た時、アリエッタがこの港を魔物を率いて襲っていました。それで私達は魔物とアリエッタを倒した、という訳です・・・ちなみにアリエッタは気絶しているだけです。心配はいりません」
「・・・アリエッタ、何故そのようなことを・・・」
それで二人の元に近付き訳を問うとカミュから簡単に経緯を聞き、悲し気な瞳を向ける。
「・・・とは言え事情を聞かないことには話になりませんので、アリエッタを起こしたいと思います・・・喝!」
「ん・・・うん・・・」
だがまだ話はしていない為カミュは膝を折りアリエッタの上半身を起こし、気付けをする。すると気絶していたアリエッタから起き上がる時のように声が漏れてきた。






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