聖闘士の躍動と決心

「・・・旅券も渡したことですし、行きましょうか。いつまでもここにいても何も発展しませんから」
「そうですね・・・では皆さん、行きましょう」
ジェイドを散々攻撃し終えたデスマスクはここを出ようとイオンに丁寧に言い、イオンも賛成して一同はキムラスカ側へと歩き出す。ジェイドは何も言わぬまま・・・
『経過はどうだ?』
『・・・まぁそれは追々話してやる』
そんな中でカミュはテレパシーで密かにデスマスクと話をするが、その当人はあまり気の進まない声を上げた。アッシュのその体たらくをどう話そうものかと考えたが為に・・・









『・・・って訳だよ。何にしたってアッシュが自主的に協力するとは俺は到底思ってないけどな』
『・・・確かにな』
・・・それでカイツールの港に行く道中でデスマスクの説明は終わったわけだが、その自身の予想も交えた言葉にカミュも同意する。
『アイオロス、あんたはどう思う?』
『そうだな・・・俺はアッシュがこれからどんな行動を取るか、それが鍵になると思う』
『どんな行動?』
『神託の盾として忠誠を誓っている訳ではないと言い、タルタロスにいたマルクト軍の兵士をことごとく殺した・・・これならまだヴァンという人物に脅され従わされていたという風に捉える事も出来る。だがこれからもしアッシュがキムラスカ側に明らかに目に見えるような被害をもたらしたというなら・・・俺はもうダメだと思う』
『・・・アイオロスの言葉に一理ありますね。アッシュはまだキムラスカと敵対したといった行動は取っていない。そう考えればまだキムラスカ側としては救いようもあるのでしょうが・・・』
『もしそうでないんならそれでジエンド、ってか?・・・確かにそれくらい分かりやすい方がこっちとしてもやりやすいな』
それでデスマスクはアイオロスへと話を振ると、キムラスカに対する行動が鍵と自身の見解を述べ二人はその見解に納得する。
『それに・・・カノンもだが俺は一回アッシュに会っている・・・だから思うんだ。アイツは見境がないと』
『見境?』
『誉める訳ではないが・・・一緒にいた六神将のリグレットは任務に対し真摯に取り組んでいたように思えた。だがアッシュにはそれがなかった。ただタルタロスを制圧をして兵士は殺せと言われたからマルクト兵を殺した・・・アイツはそうしてるのだと俺は感じた』
『成程、確かな信念の上で行動してる訳じゃない・・・とアイオロスは見ていると』
『あぁ、アイツにとって味方でない限りは目に写る者全てが敵・・・そう考えているんじゃないかと思えるほどだ。そしてその行動の結果、キムラスカにまで被害が及ぶようなら・・・』
『もうアッシュにとってキムラスカは味方じゃないと取っていいと、あんたはそう言いたいんだな?』
『そう取っていいと俺は思う。そうなったならアッシュを止め、俺達はカノンに身柄を引き渡す・・・そうでもしなければアッシュは止まらんだろうからな』
更にアッシュの人物像を自分の感じたようにアイオロスは告げる、見境なく敵を倒すだけの人間だと。だからこそキムラスカに害を成すならそれで見切りをつけるべきと、アイオロスは言う。












・・・一先ずアッシュに対する処置を決め、テレパシーでの会話を止め先を進むデスマスク達。それでカイツールの港を遠くに目視出来る所に来た。



「・・・おい、気付いたか?」
「あぁ・・・」
「どうしたんですか、デスマスクさんにカミュさん?」
そんな場所に来た時突然真剣な表情を浮かべて会話をするデスマスクとカミュに、イオンは何かと首を傾げる。
「・・・港の方に六神将の者が操ってるらしい魔物の影らしき物がいくつか見えました。もしかしたら港が襲撃を受けているかもしれません」
「えっ!?そんな・・・!」
「・・・よく分かりますね、このような距離で」
・・・聖闘士として身に付けた感覚がデスマスク達に気付かせる。魔物が港を襲っていると。
だがそれは言わずに魔物の襲撃をぼかして話すデスマスクにイオンが驚きに声を漏らすが、ジェイドは探るようでいて信じていない視線を向ける。
「あくまでらしいという物だよ、大佐殿・・・導師。私とカミュは先行して先に港に向かいます。貴殿方はアイオロスと共にこのままのペースで来てください。もし六神将がいた場合貴方の身が狙いのはずです」
「そんな・・・あっ、デスマスクさん・・・!」
そんなジェイドに対し軽口で一蹴しつつ後で来るようにと丁寧に言い、イオンはそれを止めようとしたが急いで走り出した二人を止めることは出来なかった。








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