双子の片割れの焔への従事
「ヴァン、確かにダアトの神託の盾の謡将であるお前を信じたいという気持ちは私にはある。だがこうやってカノンから疑惑が浮上した以上、私はお前を手放しでルークの捜索に向かわせる訳にはいかん。何せお前は・・・容疑者なのだからな」
「それはっ・・・行動でそうでないと示します。ですから・・・」
「ならん。カノンの問いにお前は確たる証拠を提示出来ずにいた。これがお前に嫌疑がかかっていないならその申し出を受けていただろうが、今はそれを信用することは出来ん・・・そして共謀の疑いがある以上、お前には牢に入ってもらいティアとやらがカノンに捕らえられ戻ってくるのを待ってもらうぞ」
「なっ!?」
納得の声から一応は相手の立場を考えた上で申し出を断る旨を話す公爵だが、カノンがティアを捕らえると言った時にヴァンの目が驚愕に見開かれた。
「何を驚いている?元はと言えばこの事態はティアとやらが引き起こした事態だ。引っ捕らえるのは当然と言えよう・・・本来ならその場で殺してもらっても構わんのだが一応お前の顔を立てる意味に加え、動機を加害者本人から聞かねばならんからな・・・カノン。あくまでルークの安全が最優先だが、既に死んでいたり逃亡していたりなどの理由がない限りはティアとやらも捕らえて戻れ。出来るな?」
「それが公爵の命令ならば」
「・・・っ!」
そこには冷徹なまでに公爵という立場で発言する顔があった。一切抗議の視線に揺るぐことなく命令を下す公爵にカノンも即答でかしずいて答え、ヴァンは冷や汗を顔中に噴き出させる。
・・・カノンがルーク専属とされた理由はその仕事ぶりを認められたからであるが、理由はそれだけではない。その戦闘力を認められたからというのが大きいのもある。
そもそもルークが屋敷から出れないのは預言の為でもあるが、以前ファブレから誘拐されて同じような事を防ぐ意味合いが大きく込められている。故に以前主なルークの世話係を務めていたガイも護衛の役割を担っていた。
それでルークの世話をするなら護衛もしないといけないと言われカノンに戦えるかどうかを確かめる機会を公爵は設けたのだが、そこは流石に百戦錬磨で戦い続けてきたカノン。模擬戦として力を測る為に向けられた相手であるガイを全く苦労することなく、相当にレベルを下げて手加減して一撃当ててすぐに終わらせた。その動きにいたく感動した公爵はならと白光騎士団と一対多の変則戦の場も用意したのだが、それも一撃すら受けずすぐにカノンは涼しい顔で片付けた。これくらいは聖闘士として鍛えてきたカノンには容易な物と言えた。言ってはなんだがカノンからすれば兵士もガイも大して一般人と変わらない強さの為に。
・・・その模擬戦を経て真にカノンはルークの専属執事の立場を勝ち取ったのであるが、その話は屋敷に出入りするヴァンの耳にも当然入っている。そして今のヴァンのリアクションから察するにこうでも考えているのだろう。カノンが相手ではティアには勝ち目がない・・・そう兄として妹を心配する気持ちを持ちながら見ているのが目に見えている。自分が狙われていたという立場も忘れてだ・・・まぁカノンからすればティアに対して慈悲を与える義理も何も存在しないし、抵抗すれば死なない程度に痛めつけることなどためらいなく出来る。そういった要素もあってヴァンはまずいと感じたのだろう。
「という訳だ、ヴァン。お前はこのバチカルにて牢に入ってもらうぞ」
「・・・はい」
しかし今のこの場でヴァンに決定権など存在しない。有無を言わせない命に力なくうなだれる以外に出来なかった。
「カノン、疑似超振動でどこに飛んだのかの詳細を調べがつき次第お前には出立してもらう。話によれば飛んだ方角と距離から最悪マルクト方面に飛んだ可能性もある。心しておけ」
「はっ」
「あの、公爵様・・・私もルーク様の捜索に加わります」
「・・・何?」
そんな姿を尻目にカノンに公爵がこうするようにとの指示を与えるが、そこにガイのおずおずとした立候補に眉をしかめる。
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「それはっ・・・行動でそうでないと示します。ですから・・・」
「ならん。カノンの問いにお前は確たる証拠を提示出来ずにいた。これがお前に嫌疑がかかっていないならその申し出を受けていただろうが、今はそれを信用することは出来ん・・・そして共謀の疑いがある以上、お前には牢に入ってもらいティアとやらがカノンに捕らえられ戻ってくるのを待ってもらうぞ」
「なっ!?」
納得の声から一応は相手の立場を考えた上で申し出を断る旨を話す公爵だが、カノンがティアを捕らえると言った時にヴァンの目が驚愕に見開かれた。
「何を驚いている?元はと言えばこの事態はティアとやらが引き起こした事態だ。引っ捕らえるのは当然と言えよう・・・本来ならその場で殺してもらっても構わんのだが一応お前の顔を立てる意味に加え、動機を加害者本人から聞かねばならんからな・・・カノン。あくまでルークの安全が最優先だが、既に死んでいたり逃亡していたりなどの理由がない限りはティアとやらも捕らえて戻れ。出来るな?」
「それが公爵の命令ならば」
「・・・っ!」
そこには冷徹なまでに公爵という立場で発言する顔があった。一切抗議の視線に揺るぐことなく命令を下す公爵にカノンも即答でかしずいて答え、ヴァンは冷や汗を顔中に噴き出させる。
・・・カノンがルーク専属とされた理由はその仕事ぶりを認められたからであるが、理由はそれだけではない。その戦闘力を認められたからというのが大きいのもある。
そもそもルークが屋敷から出れないのは預言の為でもあるが、以前ファブレから誘拐されて同じような事を防ぐ意味合いが大きく込められている。故に以前主なルークの世話係を務めていたガイも護衛の役割を担っていた。
それでルークの世話をするなら護衛もしないといけないと言われカノンに戦えるかどうかを確かめる機会を公爵は設けたのだが、そこは流石に百戦錬磨で戦い続けてきたカノン。模擬戦として力を測る為に向けられた相手であるガイを全く苦労することなく、相当にレベルを下げて手加減して一撃当ててすぐに終わらせた。その動きにいたく感動した公爵はならと白光騎士団と一対多の変則戦の場も用意したのだが、それも一撃すら受けずすぐにカノンは涼しい顔で片付けた。これくらいは聖闘士として鍛えてきたカノンには容易な物と言えた。言ってはなんだがカノンからすれば兵士もガイも大して一般人と変わらない強さの為に。
・・・その模擬戦を経て真にカノンはルークの専属執事の立場を勝ち取ったのであるが、その話は屋敷に出入りするヴァンの耳にも当然入っている。そして今のヴァンのリアクションから察するにこうでも考えているのだろう。カノンが相手ではティアには勝ち目がない・・・そう兄として妹を心配する気持ちを持ちながら見ているのが目に見えている。自分が狙われていたという立場も忘れてだ・・・まぁカノンからすればティアに対して慈悲を与える義理も何も存在しないし、抵抗すれば死なない程度に痛めつけることなどためらいなく出来る。そういった要素もあってヴァンはまずいと感じたのだろう。
「という訳だ、ヴァン。お前はこのバチカルにて牢に入ってもらうぞ」
「・・・はい」
しかし今のこの場でヴァンに決定権など存在しない。有無を言わせない命に力なくうなだれる以外に出来なかった。
「カノン、疑似超振動でどこに飛んだのかの詳細を調べがつき次第お前には出立してもらう。話によれば飛んだ方角と距離から最悪マルクト方面に飛んだ可能性もある。心しておけ」
「はっ」
「あの、公爵様・・・私もルーク様の捜索に加わります」
「・・・何?」
そんな姿を尻目にカノンに公爵がこうするようにとの指示を与えるが、そこにガイのおずおずとした立候補に眉をしかめる。
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