不死鳥の盲目への怒り
『ねぇ・・・なんで・・・?』
「ひっ・・・わ、私達はアニスちゃんを見殺しになんて・・・」
『嘘・・・だってあたしはいつも借金取りに殴られてるのに、パパにママは気付かないまま・・・』
「借金取り・・・わ、私達はそんな人に会ったことなんて・・・?」
『・・・いつもそう、パパにママは・・・』
‘ドロッ・・・’
「「ヒッ・・・!」」
そしてその『アニス』は腐り落ちる肉片に気を止めないまま立ち上がって話をするが、怯えに震えながらも心底から分からないし、知らないと言ったように返す。そんな夫妻に『アニス』は恨み辛みのこもった声と視線を向け、更に殴られた側とは逆の頬肉が赤黒く腐れ落ちた事により夫妻はまた一層怯えに震えて顔を青くする。
『知ってる?パパ、ママ・・・二人が借金したお金って普通にしてたら、一般家庭じゃもう一生注ぎ込んでも返せない程の金額なんだよ?そんなお金・・・パパとママはどうやって返す気でいたの?』
「え・・・で、でもお金を貸してくれる人は、そんなこと一言も言って・・・」
そんな夫妻に『アニス』は借金の額の事実を突き付けるが、ここでもまた借金の額を一切気にしていなかったと取れるある意味清々しい程の愚かしい事を戸惑いながら口にする父親。
『それはそうだよ。だってお金を貸す人達はパパ達に返すことなんか何も期待してない・・・あたしに行動かお金で返させる事を狙ってるんだから・・・』
「そ、そんな・・・まさかアニスちゃんは今までずっと私達の代わりに借金を?・・・でもなんで?私達に言えば・・・」
『いつも言ってたじゃん!困ってる人の為だって言って考えなしにお金を借りるのはやめてって!・・・それを全く聞いてなかったのは、パパ達だったんだよ?あたしがどんなに痛い思いに苦しい思いをしてるかなんて考えもしないでずっと困ってる人の為だって、あたしの言葉なんて聞きもしなかったのに・・・言えるわけないじゃん、言っても無駄なんだから!目の前のあたしの痛みにさえ気付かないパパ達に、そんなこと!』
‘ボボタッ’
「「!」」
そんな父親に失望の色を浮かべながら『アニス』はだから自分が返していたのだと言うと、母親が何故言わなかったのかと言いかける。だがそれが引き金となり『アニス』は激昂して両親の事を批難するように叫びたてるが、そうし終えると同時に腐る部位が徐々に顔を上昇していき両目が近辺の肉と共に腐り落ち、両親は驚きと同時に身を引いた。
『・・・もうパパにママは何を言ってもあたしの言葉なんて届かない。じゃあねパパ、ママ』
「・・・え?ア、アニス・・・?」
「・・・ちょっと、あなた・・・あっちの人だかりって・・・?」
その二人を目がないのに見下したようにして『アニス』は後ろに向き直り歩いていく。その姿に父親は呼び止めようと手を出す中で、母親から指を指された先を見る。するとそこには・・・
「っ・・・な、何をしているんだあの人達は・・・武器なんか持って・・・!?」
「あなた、あのままだったらアニスちゃんが・・・!」
「・・・まさか、じゃあねとは・・・!」
様々な服装に身を包みながらもその手には得物の違いこそあれど、武器を誰もが持っている集団。その姿に父親は訳が分からないと逃避の声を出しかけるが母親が『アニス』の危機だと泣きそうな声を上げたことで、ようやく目の前の光景が何を産むのかに思い至り蒼白の表情になる。
「やめて、アニスちゃん・・・戻ってきて、ほら・・・!」
「そうだぞ、ほら・・・戻ってきなさい、アニス・・・!」
その姿に精一杯優しく声をかけ、なんとか二人はこちら側に『アニス』に戻ってもらわんとする。だがそんな声など聞いてもいないとばかりに『アニス』は人だかりの中に歩いていき、その人だかりも『アニス』に向かい武器を構える。そして・・・
‘ズブッ’
「いやあぁぁぁぁぁぁっ!」
「アニスゥゥゥゥゥゥッ!」
・・・『アニス』の胸を貫くよう剣が突き刺さった瞬間、二人は慟哭の叫びを上げた。目の前で娘が殺された、その瞬間を見て。
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「ひっ・・・わ、私達はアニスちゃんを見殺しになんて・・・」
『嘘・・・だってあたしはいつも借金取りに殴られてるのに、パパにママは気付かないまま・・・』
「借金取り・・・わ、私達はそんな人に会ったことなんて・・・?」
『・・・いつもそう、パパにママは・・・』
‘ドロッ・・・’
「「ヒッ・・・!」」
そしてその『アニス』は腐り落ちる肉片に気を止めないまま立ち上がって話をするが、怯えに震えながらも心底から分からないし、知らないと言ったように返す。そんな夫妻に『アニス』は恨み辛みのこもった声と視線を向け、更に殴られた側とは逆の頬肉が赤黒く腐れ落ちた事により夫妻はまた一層怯えに震えて顔を青くする。
『知ってる?パパ、ママ・・・二人が借金したお金って普通にしてたら、一般家庭じゃもう一生注ぎ込んでも返せない程の金額なんだよ?そんなお金・・・パパとママはどうやって返す気でいたの?』
「え・・・で、でもお金を貸してくれる人は、そんなこと一言も言って・・・」
そんな夫妻に『アニス』は借金の額の事実を突き付けるが、ここでもまた借金の額を一切気にしていなかったと取れるある意味清々しい程の愚かしい事を戸惑いながら口にする父親。
『それはそうだよ。だってお金を貸す人達はパパ達に返すことなんか何も期待してない・・・あたしに行動かお金で返させる事を狙ってるんだから・・・』
「そ、そんな・・・まさかアニスちゃんは今までずっと私達の代わりに借金を?・・・でもなんで?私達に言えば・・・」
『いつも言ってたじゃん!困ってる人の為だって言って考えなしにお金を借りるのはやめてって!・・・それを全く聞いてなかったのは、パパ達だったんだよ?あたしがどんなに痛い思いに苦しい思いをしてるかなんて考えもしないでずっと困ってる人の為だって、あたしの言葉なんて聞きもしなかったのに・・・言えるわけないじゃん、言っても無駄なんだから!目の前のあたしの痛みにさえ気付かないパパ達に、そんなこと!』
‘ボボタッ’
「「!」」
そんな父親に失望の色を浮かべながら『アニス』はだから自分が返していたのだと言うと、母親が何故言わなかったのかと言いかける。だがそれが引き金となり『アニス』は激昂して両親の事を批難するように叫びたてるが、そうし終えると同時に腐る部位が徐々に顔を上昇していき両目が近辺の肉と共に腐り落ち、両親は驚きと同時に身を引いた。
『・・・もうパパにママは何を言ってもあたしの言葉なんて届かない。じゃあねパパ、ママ』
「・・・え?ア、アニス・・・?」
「・・・ちょっと、あなた・・・あっちの人だかりって・・・?」
その二人を目がないのに見下したようにして『アニス』は後ろに向き直り歩いていく。その姿に父親は呼び止めようと手を出す中で、母親から指を指された先を見る。するとそこには・・・
「っ・・・な、何をしているんだあの人達は・・・武器なんか持って・・・!?」
「あなた、あのままだったらアニスちゃんが・・・!」
「・・・まさか、じゃあねとは・・・!」
様々な服装に身を包みながらもその手には得物の違いこそあれど、武器を誰もが持っている集団。その姿に父親は訳が分からないと逃避の声を出しかけるが母親が『アニス』の危機だと泣きそうな声を上げたことで、ようやく目の前の光景が何を産むのかに思い至り蒼白の表情になる。
「やめて、アニスちゃん・・・戻ってきて、ほら・・・!」
「そうだぞ、ほら・・・戻ってきなさい、アニス・・・!」
その姿に精一杯優しく声をかけ、なんとか二人はこちら側に『アニス』に戻ってもらわんとする。だがそんな声など聞いてもいないとばかりに『アニス』は人だかりの中に歩いていき、その人だかりも『アニス』に向かい武器を構える。そして・・・
‘ズブッ’
「いやあぁぁぁぁぁぁっ!」
「アニスゥゥゥゥゥゥッ!」
・・・『アニス』の胸を貫くよう剣が突き刺さった瞬間、二人は慟哭の叫びを上げた。目の前で娘が殺された、その瞬間を見て。
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