聖闘士と冥府の誘い
「・・・・・・アイオロスにデスマスクの話は頷ける。ヴァンも含めてだがダアトはこれよりもあらゆる手を使ってくる可能性がある。ただダアトは預言を元に行動するだろうが、ヴァンは預言を達成することを目標としていない気がする・・・これはこの世界で暮らしてきた俺の勘もあるが、『ルーク』という存在を入れ換えただろう事が特に引っ掛かっている」
『・・・ならどうするんだ?』
そして少しの時間をかけ開かれた強い意志のこもった瞳と共にカノンは自身の考えを明かし、カミュはそこからの行動を問う。
「・・・すまないがお前達はバチカルに戻ったら、地球に帰ってくれ。そして出来れば俺の事はもう忘れて欲しいとアテナやサガ達に伝えてくれ。この世界で暮らす決心をつけたとでも言ってな」
『カノン、お前まさか・・・!』
「・・・この件は俺が全てカタをつける。だがそうなれば聖闘士として身に付けた力を振るう事になるだろう。そしていかにここが異世界でアテナより任ぜられたとは言え、お前達に聖闘士の禁を犯させる訳にはいかん。そして全てが終わったなら俺は地球に戻って禁を犯した重罪人としてアテナに裁かれてもいい・・・だからバチカルに戻ったらもう任は終わったと言って帰ってくれ。俺を哀れんでくれるというなら頼む、俺の言うことを聞いてくれ」
『『「・・・」』』
・・・だがそこから出されたカノンの結論に三人は一斉に言葉を無くした。罪を犯す覚悟がある、死んでもいいと告げるその声に迷いが一切無かったことに。
バチカルに戻ったら帰ってくれと不穏な空気で言い出されアイオロスがその気持ちに気付くが、カノンから真っ向に覚悟のこもった声と懇願を向けられ三人に沈黙が訪れる・・・カノンのこれからやらんとすることは場合によれば一般人にすら拳を向けかねないこと、事態の解決にはそれすらを辞さないと示す自身に聖闘士たる自身らを巻き込まんとする気遣いと覚悟があったために。
『帰ることは許しませんよ、三人とも』
「なっ!?」
『こっ、この声は・・・アテナ・・・!?』
・・・だがその静寂はいきなりのアテナによるテレパシーにより、一同の驚きも加わってかき消された。
「アテナ・・・私は・・・」
『いいのです、話は聞いていました。貴方が小宇宙を高めだした事に気付いたシャカが私に報告をした時から・・・私は貴方を責めるつもりはありません、むしろ誇りたい気持ちです。そのように身を捨ててまでその世界の為に命をかける貴方を』
「アテナ・・・」
一人カノンは対話を試みようとするもアテナが全て知っていると言った上でその姿勢を慈愛を持って包むような声を向けたことで、言葉を無くした。
『・・・アテナとして改めてデスマスク、アイオロス、カミュ。貴方達にに命じます・・・聖闘士としてその世界に巻き起こるかもしれぬ災禍をカノンと共に食い止めなさい、その世界を守る為に・・・よろしいですね?』
『『「アテナの御心のままに」』』
『・・・という訳です。あまりに酷い手段でなければ貴方に事態の解決の仕方は一任します。当然責任などは問いませんので自由にやってください・・・いいですね?』
「・・・はい、お心遣い有り難く承ります」
そしてすかさず三人にアテナが正式に聖闘士として協力するように言えば三人ともに了承を返し、更に声は優しいが断れない力が込められたその話にカノンは観念して頷いた。アテナには敵わないと少し微笑を浮かべる形で・・・
・・・その後、オールドラントは多少の混乱こそ訪れたが平和を得ることには成功した
だがそれは預言による平和などではない
ほとんどその存在を知られていない聖闘士という存在によって・・・そしてその存在は以降も知られることなく歴史は紡がれていく、オールドラントの平和の歴史は・・・
END
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『・・・ならどうするんだ?』
そして少しの時間をかけ開かれた強い意志のこもった瞳と共にカノンは自身の考えを明かし、カミュはそこからの行動を問う。
「・・・すまないがお前達はバチカルに戻ったら、地球に帰ってくれ。そして出来れば俺の事はもう忘れて欲しいとアテナやサガ達に伝えてくれ。この世界で暮らす決心をつけたとでも言ってな」
『カノン、お前まさか・・・!』
「・・・この件は俺が全てカタをつける。だがそうなれば聖闘士として身に付けた力を振るう事になるだろう。そしていかにここが異世界でアテナより任ぜられたとは言え、お前達に聖闘士の禁を犯させる訳にはいかん。そして全てが終わったなら俺は地球に戻って禁を犯した重罪人としてアテナに裁かれてもいい・・・だからバチカルに戻ったらもう任は終わったと言って帰ってくれ。俺を哀れんでくれるというなら頼む、俺の言うことを聞いてくれ」
『『「・・・」』』
・・・だがそこから出されたカノンの結論に三人は一斉に言葉を無くした。罪を犯す覚悟がある、死んでもいいと告げるその声に迷いが一切無かったことに。
バチカルに戻ったら帰ってくれと不穏な空気で言い出されアイオロスがその気持ちに気付くが、カノンから真っ向に覚悟のこもった声と懇願を向けられ三人に沈黙が訪れる・・・カノンのこれからやらんとすることは場合によれば一般人にすら拳を向けかねないこと、事態の解決にはそれすらを辞さないと示す自身に聖闘士たる自身らを巻き込まんとする気遣いと覚悟があったために。
『帰ることは許しませんよ、三人とも』
「なっ!?」
『こっ、この声は・・・アテナ・・・!?』
・・・だがその静寂はいきなりのアテナによるテレパシーにより、一同の驚きも加わってかき消された。
「アテナ・・・私は・・・」
『いいのです、話は聞いていました。貴方が小宇宙を高めだした事に気付いたシャカが私に報告をした時から・・・私は貴方を責めるつもりはありません、むしろ誇りたい気持ちです。そのように身を捨ててまでその世界の為に命をかける貴方を』
「アテナ・・・」
一人カノンは対話を試みようとするもアテナが全て知っていると言った上でその姿勢を慈愛を持って包むような声を向けたことで、言葉を無くした。
『・・・アテナとして改めてデスマスク、アイオロス、カミュ。貴方達にに命じます・・・聖闘士としてその世界に巻き起こるかもしれぬ災禍をカノンと共に食い止めなさい、その世界を守る為に・・・よろしいですね?』
『『「アテナの御心のままに」』』
『・・・という訳です。あまりに酷い手段でなければ貴方に事態の解決の仕方は一任します。当然責任などは問いませんので自由にやってください・・・いいですね?』
「・・・はい、お心遣い有り難く承ります」
そしてすかさず三人にアテナが正式に聖闘士として協力するように言えば三人ともに了承を返し、更に声は優しいが断れない力が込められたその話にカノンは観念して頷いた。アテナには敵わないと少し微笑を浮かべる形で・・・
・・・その後、オールドラントは多少の混乱こそ訪れたが平和を得ることには成功した
だがそれは預言による平和などではない
ほとんどその存在を知られていない聖闘士という存在によって・・・そしてその存在は以降も知られることなく歴史は紡がれていく、オールドラントの平和の歴史は・・・
END
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