聖闘士と冥府の誘い

『すまんな、俺もカノンの小宇宙の高まりを感じてどうしたか聞こうとしたがカミュが話を始めたので黙って聞いていた』
「・・・それは構わないが、今お前はどこにいるんだ?」
『タルタロスから脱出し、二人でカミュ達の方に向かってる。流石に腕ずくで言うことを聞かせるという訳にもいかなかったからな、今後の事もだが性格を考えると・・・だから機を見て無理だと諦めてもらった後脱出するべきと考え、一緒に行動していたんだが・・・少し気になる事があってな・・・』
『・・・なんだ?貴方にしては珍しく切れが悪いな、アイオロス』
それで自分も話を聞いていたというアイオロスにカノンがいいと言いつつ今いる場所を問えば、移動中と言いつつもそれまでの経緯に明らかに苦労が感じられるその言い方に加え、何か言うことを躊躇うような雰囲気を滲ませる声にカミュが何事かと慎重に先を促す。



『・・・いや、タルタロスを抜け出す前に神託の盾をまとめてる六神将という二人に会ったんだが・・・その内の一人がルークとそっくりだったんだ』



「・・・は?っていやいやいやちょっと待てアイオロス!それ本当かよ!?」
・・・それで意を決して話を始めたアイオロスだったが、デスマスクはその話の中身に最初呆けたが慌てて再確認をした・・・ルークとそっくりなのかと。
『無論だ。タルタロスを探る中でブリッジに行った俺達に譜術、だったか?それをいきなり不意討ちとして放ってきたヤツがいて俺達はそれを避けた後、そいつは俺達の前に現れたんだが・・・間違いなくルークそっくりだった、双子かと思えるくらいにな。確か、アッシュと呼ばれていた』
「・・・間違いない・・・それが、本当の・・・っ!」
『・・・心当たりがあるのか、そのアッシュとやらの存在に?』
その確認に自信を持って出会った時の経緯も含めて返すアイオロスに愕然とカノンは確信を得た声を漏らし、カミュはそのアッシュの事を聞く。
「・・・言っておくがこれはつい先程分かったばかりの事だ。おそらくこれを聞けばお前達も俺達の言わんとすることがわかるはず。黙って聞いててくれ」
その声にカノンは前置きをした上で話を始める・・・そのアッシュが本物の『ルーク』であり、今のルークが偽者ではとの自身らの中で立った予測を・・・












「・・・これがつい先程、デスマスクが知ったことだ」
『・・・まさか・・・この世界には地球のクローン技術を凌駕する複製技術があるというのか・・・それこそ文字通り同じ人間を作れるレベルなどと・・・!』
・・・そして先程知ったことを話終わったカノンに、カミュの声が驚きに震えていた。流石に未知の域に達した技術力の事を聞いては驚きを覚えざるを得なかったのだろう。
『だがそれが真実、俺はそう思うが・・・しかしどうする、カノン?二人のルークの問題に加えて、そもそもタルタロスが襲われた事自体が大問題だろう。まだ全容は見えないが、このままではダアト・・・いや、ヴァンとやらにより何かとてつもないことが起きそうな気がする。それもこの世界全てを巻き込むようなとんでもない事がな・・・』
「アイオロスの話は一理あるぜ、カノン。現にキムラスカもマルクトも既に巻き込まれてんだ。それもダアト・・・まぁマルクトはまだ可能性の段階だが、ヴァンの手でな。いや俺達が知らないだけでまだまだ何かやってる可能性も否定出来ねぇ。ただここで一つ、不安要素として言えるのは・・・ルークがそのアッシュとやらの身代わりの偽者として、ファブレに入れられた事がどれだけの意味を持つのかって事だ。何せこの世界には預言って戦争すら詠まれるもんもあんだ。もし『ルーク』って存在が預言で何か重要な役目を負ってるってんなら・・・その規模次第じゃ、無視出来るような事じゃねぇぞ」
「・・・」
そんなカミュの驚きをなだめつつアイオロスはどこか直感的な発言をし、デスマスクはそれに補足するように論理的な発言をして共通してヴァンを危険視する中身を上げる。特にデスマスクの言った『ルーク』という存在に関する問題はこの六年あまりに身近にいたこともあって、カノンは深く考えざるを得ない問題で眉間におおいにシワを刻んで目をつぶった。










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