聖闘士と冥府の誘い

「よう、気分はどうだ?・・・死の世界の境目に来た気分は」
「死の世界の境目・・・何を言ってるんだ、お前?」
「あ?見えるだろ、あそこに人が並んで歩いてる姿が・・・あれ全部、死者だぞ」
「死者・・・?」
それでデスマスクは上機嫌な様子を崩さず死者の列を指差しながら話しかけるがいまいちガイは事が大きすぎて理解しきれてないようで疑問符ばかり言葉に浮かべる。だが、そんなこと関係無くデスマスクは小宇宙を込めた指をガイに向ける。すると・・・
「!?うっ、うわあぁぁぁぁぁぁっ!?な、なんで・・・!?」
「ま、グダグダ説明してもわかんねぇヤツにはわかんねぇんだ。なら手っ取り早く状況を理解してもらう為にも姿を現してもらったぜ」



「お前の家族にな」



・・・唐突にガイの近辺に三人の男女の姿が現れ、ガイが恐慌状態に陥り喚く中でデスマスクはその三人を現したのは自分と言った上で・・・それがガイの家族と言った。
「普通は死んだら余程強い執着を持つ者以外は魂ってのは死後の世界に飛んでいっちまうが、たまに正か負か関係無く強い執着を持った者が現世に残っちまう事がある・・・まぁそう言ったヤツは大抵悪霊だったりに変わるような負の執着をべっとり持ってんだが、お前の家族は結構珍しい上に色々言いたいことがあるらしくまとわりついててな。だからわざわざ俺が力を使ってここ・・・黄泉比良坂って言っていいのか、ここ?場所も違えば呼び方も違うだろうし・・・まぁとにかくお前と話せるように連れてきてやったんだよ」
「・・・父上、母上、姉上・・・」
それで積尸気に関わる者として執着があるから現世に残っていたと説明しつつ、ここも黄泉比良坂と言うのかと首を傾げつつも家族と話をさせるために為に連れてきたとデスマスクが言えば、神妙な表情でガイはその血の繋がりを感じる三人を前に佇む。
『・・・お前は何をしているのだ、ガイラルディア・・・』
「えっ・・・?」
だが父上と呼んだ相手から失望に満ちた声を受け、訳がわからないとガイは目を見開く。
『復讐に身を投じファブレに入り込む・・・それが誇り高きガルディオスがするべき事と、本当に思っていたのか!お前は!』
「っ、ち、父上・・・そ、それは俺が父上達の無念を晴らそうと・・・」
『無念だと・・・ならば何故今も尚、ファブレは滅びてはおらん!7年もあれば好機と呼べる機会は見つけることは出来ずとも、自らいくらでも作れたはずだ!』
「それ、は・・・」
そして怒声を持って叱責を始めるガルディオス伯爵にガイは言い訳をしようとするが、すかさずの7年何していたとの声にすぐに言葉を無くす。
『嘆かわしい・・・確かに我らは戦争でファブレ公爵率いる軍勢により死に追いやられたが、だからと言って何故復讐になど身を投じた・・・それも何も為さぬまま、時を浪費する形で・・・』
「時を浪費なんて、俺はそんな・・・」
『ならば何故あの幼子・・・いや、お前に対し幼子と言っても伝わらん・・・あのルークという子供に賭けるなどと決めた?』
「え・・・父上、何故それを・・・?」
『この者が言ったはずだ、我らはお前に憑いていたと。その時に当然お前が決めた時の事を見ていた・・・あまりにも身勝手で愚かな決定の事をな』
「身勝手で、愚か・・・!?」
そんな姿に言葉だけでなく心底から嘆き頭を抱える伯爵になんとかガイは言い訳をしようとするが、意味深に途中呟きつつもルークの事を持ち出した伯爵に何故知ってるのかと訝しげに知ってる訳を問う。だがデスマスクの存在を上げた上でその行動を愚かと言い切った伯爵に、ガイは訳がわからないといった驚きに目を見開かせた。







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