聖闘士と冥府の誘い

「大丈夫です、ルーク様。私も必要以上に無茶をする気はありません。導師達の身の安全を確保したならすぐに戻ってまいります、ご安心を」
「でも・・・ならせめてもう一人くらいは付いていった方がいいんじゃないか?やっぱ危険だし・・・」
「では私が付いていきましょう」
「・・・いいのか、カミュ?」
そんな不安を消すよう笑顔で大丈夫というアイオロスだったが、尚も不安な様子でもう一人連れていったらというルークにカミュが立候補の声を上げカノンが確認を取る。
「構わない。アイオロス一人でというには不安と言われるルーク様を安心させていただきたいと思ったからな。それに平和を得る機会を無下にされるのは私からしてもあまり望ましいことではないから気にする必要はない」
「・・・そうか」
だがカミュのルークを気遣った上で平和を望むと言った態度にカノンはそれ以上何も言うことなく済ませる。
「すまないがデスマスク、この女を頼む。流石に連れていくのは面倒だからな」
「あいよ」
「ではカミュ、行こう。俺達は後で必ず追い付くから先に行っていてくれ。ではな」
「あぁ」
その二人を尻目にアイオロスはティアをデスマスクに渡し、カノンに後で追い付くとの言葉を残しカミュと共に再びタルタロスへ向かい走り出す。
「・・・さて、カノン。どうすんだ、これから?」
「ルーク様が大丈夫とおっしゃるならカイツールへと直接向かいたい。あの大佐にタルタロスだけならセントビナーに寄ってもやり過ごせる可能性もあったが、あの魔物の大群を操る者達の行動次第では私達にまで被害が及びかねないからな。そうならないようにするには出来る限りこのマルクトから早く離れた方がいいと私は思っている。ただ決めるのはルーク様ですが・・・いかがされますか、ルーク様?」
「聞かれるまでもねー。カイツールに直接行くのが安全だっつーんなら、そうするぞ」
「・・・わかりました」
二人を見送りその姿が遠くなったところで今後の行動指針を問うてくるデスマスクにカノンはカイツールに直接行く方がいいとそう思ったわけも語った上でルークに判断を求めれば、すぐに了承が返ってきたことでうやうやしく頷く。
「では早速ここから離れましょう。ですがここから離れねばならないとは言え、変に急ぎすぎても目立ちかねません。少し時間はかかりますが、歩いていきましょう」
「あぁ、わかった」
「では行きましょう」
迅速に、だが慎重に。つらつらとこうするべきとこれからの行動に注意を述べられルークは疑わずに頷き、カノンの声を皮切りに三人はカイツールへ向かうべく歩き出す・・・















・・・そこからカイツールに向かうべくルークの事を気遣った速度で歩いていったカノン達。そんな速度で歩いた物だった為、カイツールまで距離があったのもあり夜になって野宿をすることになった。



「・・・満天の星空の下、草原で野宿ってか。それで盗賊に魔物の警戒を恐れて夜も見張りが必要・・・つくづく遠いところに来てんだな、俺ら」
「・・・すまんな、俺の為にわざわざ」
「構わねぇよ、任務なんだし。それにハーデスとの戦いの後始末も済んで暇だったとこだしな」
・・・焚き火を前にルークが一人寝そべっている中、その横にいるカノンと焚き火を挟んで対面上にいるデスマスクは軽い談笑をしていた。ちなみにティアもデスマスクの後ろで気を失っているが、ほぼ存在はないものとして二人とも過ごしている。
「つーかこの状況って何気に戦争間近なんだよな、この世界を全部巻き込む程の。今の状況聞いたらあのお嬢さん、また黄金聖闘士をこっちに派遣するとか言い出しそうな気がするな。余裕があるからとな」
「・・・流石にそれは勘弁してくれ。いかに地上の平和を守る為とは言え、このオールドラントにまでその手を伸ばすのは違う。お前たち三人が来ただけでも破格な事なんだ。これ以上は地球の為にもやめてほしい」
「気にすんな、なんでも使えるもんは使えばいいんだよ」
「・・・もし俺の立場にお前がいたなら普通にサガ達をアゴで使いかねんな」
「おうよ、使わなくてどうすんだって話だ」
本気のように会話をしている内容だが、その表情には不敵な笑み。軽口を叩きあう二人には和やかな空気が蔓延していた。
「・・・むっ、この気配は・・・」
「・・・なんだカノン、この気配知ってるのか?」
だがそんな中で突然表情を厳めしくして立ち上がるカノンに、デスマスクも立ち上がりながら誰かと問う。








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