兄弟として、仲間として向かい合う

・・・そして数時間後、巨蟹宮に集まったカノン達はデスマスクの作った料理に舌鼓を打ちながらカノンからその後の経緯を聞いた。






「・・・成程、そういう結末になったか」
「あぁ、あの二人からすれば不本意な上にそんなつもりなどなかったとでも言うような結果だろうが、もうそんな段階はとうに通り過ぎてしまっていた。そして陛下に公爵もそう考えた上で行動しようとしていた・・・俺はそれを後押ししたに過ぎん」
「そういうことなら致し方ないだろう。キムラスカという国の行く末が左右されるだけの重要な案件を、みすみす駄目な方に誘導するわけにもいかないからな」
そして一通り食事も済んで話も聞き終わり、カミュの納得を受けてカノンが後押しと言ったことにアイオロスも私心を抜いた判断として妥当と頷く。
「けど三年も経っても相も変わらず、か・・・あの二人はどういう気持ちでそんな風になる形で周りと接してきたんだよ・・・」
「自分のやることが間違っていないと信じて疑わないからこそ、そう振る舞ってきただけだろう。周りの目など気にするどころか、むしろ自分に合わせろとでも言わんばかりにな・・・だがそんな振る舞いに付いてこれる者はまずいるはずもない。自分のやることに対しての理解をしてもらおうという心がなければ、他人からすればその内心を掬い取るどころか外面の見た目だけで判断すると言うのが大抵の反応になる・・・自分の好き勝手にだけやろうとする者になど、人は付いてこない。せめて見映えを気にしてどういう考えなのかとポーズを見せるという形ででも自身の考えを明かしたり、人を気遣ったりなどしたなら、もう少し違う結末もあったのだろうがな」
「兄上・・・」
それでルークが何故と呆れたように二人に対する言葉を口にすると、カノンが自分勝手が過ぎたと言い切った事に感心したような声を上げる。そういう見方があるのかと。
「・・・ちなみに、お前はアッシュ達が大人しく出来るだけの自制心はあると思っているか?カノン」
「・・・これからの陛下達次第、と言った所だろう。今のアッシュ達からすれば自分達の立場が悪いということは百も承知だろうが、同時にどうにか自分達の地位向上を計ろうとも考え出すだろう。と言っても実際の地位の問題ではなく、自分達の心象を上げるという意味でだ・・・それがまだ注意で済むような可愛いげがあるもので留まるなら二人もまだその地位にいれるだろうが、そういった範囲を見誤ってしまえば状況によっては陛下達が即座に動き・・・もうどうしようもない事態になるだろう」
「・・・つまり、自制心に期待するより危機管理能力があるかどうかが重要ってことか」
「しかし、あの二人の様子からではそれも期待は出来ないだろうがな」
次にデスマスクが今度は二人の自制心について聞くが、遠回りながらもそれはないといった内容に納得した上でカミュもそれはないだろうと言い切る。
「・・・話に伝え聞いているだけだが、随分と散々な評価なのだな。その二人に対しての評価は・・・特にそのアッシュとやらに対して、もう本当に思う所はないのか?ルーク」
「少なくとももう一々関わりたいって思えるような気持ちはないです。アッシュは散々俺がいたからって文句を言ってきて、俺はそこから離れた・・・全く何も思わない訳でもないですけど、もう終わったことですしあいつと俺はもう関わりのない他人でしかないから別に大した気持ちは抱いてないです」
「そうか・・・ならいいんだ」
サガはその会話に若干圧倒される中でルークに質問を向けるが、もう完全に吹っ切っているとなんでもないよう返す姿にそっと微笑む。気に病んでいないならいいのだと。








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