兄弟として、仲間として向かい合う

「・・・成程、最後の不安要素を取り除く為にあえて一人だけ残ったと言うことか」
「そういうこった。そしてそれも少なくとも数日の内に終わるから、すぐカノンも戻ってくるだろ」
それで二人への説明が終わると、アイオリアが教皇宮の方に視線を向ける。
「ならばアテナに報告に向かえ。お前達が戻ることを待っているのもあるが、カノンがまだ戻らぬと言うならその事も含めて話をするべきだ」
「そうさせてもらおう。報告は早目にするべきだからな。では二人とも、私達は失礼する」
そのまま教皇宮へ向かうように言う姿にカミュは即決で頷き、後ろのルーク達と共に会釈程度に頭を下げてから場を後にしていく。






「・・・む、戻ってきたようだがカノンはどうしたのだ?」
「カノンなら心配ない。数日もすれば戻ってくる」
・・・そして下二つの宮を何事もなく抜けた後の双児宮にて、サガがカノンの姿が無いのを見て何処と無く不安そうな表情を浮かべた為にアイオロスが大丈夫といったように答える。
「・・・あぁ、やっぱ理由について早く聞きたいって感じそうだな・・・よし、ルーク残れ。報告は俺達だけで十分だ」
「うん、分かった。アテナにはよろしく伝えておいてくれよ」
「はいよ。んじゃな」
それでスッキリしてないサガの様子にルークに残るようデスマスクが言い、了承と伝言を受けて三人は上の宮へと向かう。
「どういうことだ?」
「訳は今から言うよ、サガ兄さん」
二人だけの場になったことで早速という空気になるサガに焦るでもなく、ルークは説明を始める。









「・・・そうか。キムラスカにまだ不安が残るからこそカノンは残ったのか」
「そういうことです」
・・・それでルークからの説明も終わるのだが、サガは疑問に満ちた目を向ける。
「・・・カノンの言うことは分からんでもない。だがそれならそれでお前も残りたいと思わなかったのか?」
「・・・俺も残りたくなかった訳じゃありません。一応俺が生まれたのはオールドラントになりますから、どうなるかというのは気にはなってはいます。けど、もし俺が残ってアッシュと出会うことになったらそれこそ面倒な事になっただろうって思います。そんなことは俺も望んじゃいないし、俺個人としての決着はもう一応つけてきたからもういいです」
「そうか・・・」
そこからサガはルークに心残りについてを聞くと、既に覚悟はしていたからと言い切る姿にそっと微笑んで近付く。
「お前がそう言うならそれでいい。それにカノンを信じているから先に戻ってきたのだろう、ルーク」
「はい、それは」
「ならば私達も信じて待とう、カノンが早く戻ってくるのを」
「はい、サガ兄さん」
そしてそっと肩に手を置き、二人ともに外の同じ方向を向きながら会話を交わす。カノンが戻ってくるのを、兄弟として共に待とうと・・・
















・・・そして数日後、聖域にカノンが戻ってきた。



「・・・戻ってきたか、カノン」
「お帰りなさい、兄上・・・どうでしたか?」
「それについてだが、この後巨蟹宮に向かってくれ。デスマスクに連絡を取ったらアイオロス達にお前達の分も食事を用意してくれるそうだ。そこでどうなったかについてゆっくり話そう」
「分かった、そうさせてもらう」
それで双児宮に来たカノンに二人揃って出迎えるルークとサガだが、巨蟹宮ですると返され二人は頷く。








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