兄弟として、仲間として向かい合う

・・・そんな風にして聖域に正式にいることになったルークとカノン。サガとも良好な関係を結びながら聖闘士として、一人は聖闘士になるために活動していく形で。

そのような形で二人は過ごしていき、二年が経った。









「・・・一度、オールドラントに戻りたい・・・ですか?」
「はい、アテナ」
教皇宮にて、椅子に座るアテナと脇に控えるシオンの前でカノンとルークが膝を地面につけながら頭を下げている。二人がそうしている訳とは・・・アテナに言ったよう、オールドラントに一度戻りたいと申し出た為だ。
「あれから三年・・・あちらが預言から脱却した世界になっているのかとふと考えるようになってきました。それでデスマスクに言われた言葉を思い出したのです。また行きたいと思うなら行けばいいと」
「成程、それで様子を見に行きたい・・・そう二人は言うのですね?」
「今となっては行けるか分かりませんが、行けるというなら」
そのまま過去を振り返るようにしながら話を進めていくカノンにアテナは理解を示しているとばかりに、微笑を浮かべ立ち上がる。
「そういうことなら構いません。私も少なからずオールドラントには関わった身です。その後の経過がどのような物であるかを話してもらえるのなら、しばらく時間を取って戻ってもらっていいですよ」
「「ありがとうございます、アテナ」」
そのまま許可を与えるアテナに二人は揃って礼を言う。
「ただ、貴殿方二人だけと言うのも少し味気無いかもしれませんね・・・ですからアイオロス達も貴方達につけましょう。目立った異変も最近では特にありませんからね」
「あの・・・アイオロス達も、とは具体的に誰を指しているのでしょうか?」
「貴方達と共に最後まで旅をした三人にムウにアルデバランにミロにアフロディーテ、お望みなら他の黄金もつけますよ」
「止めてください。百歩譲って何人かつけるにしても、そこまでの人数は流石につけすぎです・・・」
しかしアテナが妙案と言わんばかりに黄金を半分以上つけると言わんばかりの事を言い出した為、カノンは顔を前に向け疲れたように首を横に振る。
「分かりました・・・ではせめてアイオロス達三人は連れていってください。彼らも貴方達と共に旅をした身ですから、貴方達に後で話を聞くだけというのも味気無いでしょうしね」
「・・・はい、ではそうさせていただきます」
少々残念そうにしながらもアテナはならと三人を連れていくように言い、カノンは仕方無いと頷く。
「ただ、サガは連れていかないのですか?三年前、彼は一番貴方達の所に行きたがっていた筈ですが・・・」
「その事についてですが、サガには一応先に話はしましたが我々だけで行けばいいと言われました。オールドラントでの我々の話は時間があれば何度もしましたし、当時自分達の元に来れば妙な事になると理解もしていました。そういった考えから行きたくはあるが今更私が共に行ってもあまり意味がないし、むしろまた面倒な事になるかもしれない・・・だから私は行く気はない、そう言っていました」
「そういうことですか・・・当人が行くつもりがないというのでしたら無理に行ってもらう必要はないでしょう」
ただそこで思い出したようにアテナがサガの事についてを聞くが、話は済んでいるとその時の事を話すカノンになら大丈夫と笑顔を浮かべる。
「それで出発はいつにするのですか?行くと言うのなら今すぐでも私は構いませんが・・・」
「三人の都合を聞き、よろしければ明日にでも出発したいと思います。流石に今日即座に出発と言うのは三人を急かし過ぎていると思いますので・・・」
「分かりました。では道中の宮で三人に話をして都合がついたならテレパシーで私に連絡してください。何かあれば時間を取っても構いませんから、ゆっくりしてきてください」
「はっ、ありがとうございます」
そして出発の時について聞くアテナに明日にでもと言うカノンへゆっくりと気遣うよう言えば、二人ともにまたうやうやしく頭を下げた。











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