兄弟として、仲間として向かい合う

「流石にエクスカリバーを簡単に使えはしねぇだろうが、純粋な体術ならシュラは黄金の中でもトップクラスの実力だ。そんなシュラに長い時間鍛えてもらってんだから、あぁいった風に動きも鋭くなるし癖もついてくる・・・路線としちゃ双子座本命の対抗は山羊座で決まりだろ。シュラとしちゃ紫龍が天秤座を継ぐのは決まったようなもんだから、ルークに山羊座を継いでもらいたい所だろうがな」
「シュラが山羊座に居続けるという選択肢はないのですか?貴方の言い方ではまるでシュラが黄金をやめたいと言っているように聞こえるのですが・・・」
「お前も言ったが星矢達に貴鬼と次代の黄金になれる候補は揃ってきてる。まぁシュラとしても自分がやれるところまでやるって考えてはいるだろうが、いずれ自分の後を継ぐ奴ってのが頭の中にあるはずだ。前の聖域の戦いで紫龍にエクスカリバーを託した事もあって、尚更にな・・・そして他の黄金の奴も少なからず考えてる筈だ。次代にどう繋げるかって事をな」
「次代にですか・・・」
それでデスマスクが自身の考えを述べるがシュラについてらしくないとばかりの内容に、ムウは疑問を投げ掛ける。だが真剣な中身から次代という単語を伴わせたデスマスクの返しに、ムウはなんとも言い難そうに声を漏らす・・・自身は貴鬼という牡羊座の後継者を持つ身だが、他の黄金はそんな存在がいない者もいると自分で言ったのもあり分かった為に。
「まぁハーデスとの完全な決着をつけた状況でまた新しい敵が出てくるかどうかなんざ知らねぇが、聖闘士も人間だ。いつまでも歳も取らず実力も保ったままいられる保証なんざあるわけもねぇし、今俺らがこうやって生きてる事すら本来ならあるはずのねぇことなんだ。何かを伝えてぇって思う奴もいるだろ」
「成程、シュラも考えているというわけですか・・・後に繋げることに、自分が引くという事を・・・」
更に続いたデスマスクの話にムウはまたなんとも言い難い様子で二人の修行の様子を見ながら漏らす、後継者を持つ身とそうでない立場の違いをありありと感じて。しかしそこでムウはふと柔らかい笑みをデスマスクに向ける。
「・・・と言うことは、貴方も誰かに後を任せようかと考えているんですか?蟹座を継げる人間が出てきたなら後を任せようと・・・」
「またらしくねぇって顔向けんなって言いてぇ所だが、俺だって色々考えてんだよ。ま、俺の場合は後を任せたら適当に生きるつもりだからお前らとは違うがな」
「フフ・・・そういうことにしておきますよ」
その顔のままデスマスクもそう考えているのだろうと言えば、憎まれ口で表情を微妙に歪めながらあからさまに返す姿にムウは笑みを深める。
「・・・なんだ、お前達も来ていたのか」
「あぁ、戻ってきたんですね二人とも」
そこにカノンとサガの二人が揃ってやってきたことにムウとデスマスクは視線を向ける。
「あ~、戻ってきたばっかですまねぇが台所借りるぜ二人とも。ルーク達の分も含めて飯作るからよ」
「それは構わんがどうし・・・と、もう行ったか。何があったんだ、デスマスクは?」
「気にしなくて構いませんよ、別に大したことではありませんから」
そんな二人に台所を借りると言ってデスマスクは双児宮に向かうがサガの言葉に反応することのない様子に、ムウは楽しそうに気にしないよう言葉をかける。








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