兄弟として、仲間として向かい合う

・・・そうやって決まったカノンとルークの聖域行き。その数日後には代わりにアテナの警護に来たミロとアフロディーテの二人と入れ替わるよう、カノンとルークに警護を担当していたサガとアイオロスは聖域へと向かった。









「・・・さて、着いたな。一度通っているとは思うが、この双児宮に住むことになる。遠慮はいらないからゆっくりくつろいでくれていい」
「はい、サガ兄さん」
・・・それで聖域の双児宮にまで来た一同。サガの声にルークは元気よくハッキリとした声で返す。
「・・・戻ってきたか、カノンにルークと共に」
「おぉ、シュラか。双児宮までどうした?」
そこに現れたのは上の磨蝎宮にいるはずのシュラで、アイオロスは嬉しそうにしながらもここまで来たわけを問う。
「いや、報告は受けてはいたが実際に二人が聖域に来るのか気になったのでな。少し確認に来たのだ」
「そうか」
「それより戻ってきたのなら一度教皇に報告に向かうといい。その間双児宮の一角を使わせてもらうが、俺がルークの修行の面倒を見よう」
「いいのか?」
「構わん。元々その為にここまで来たのだからな」
その声に答えた上でカノン達を教皇の元へ向かわせようとした上でルークの修行をすると言うシュラにカノンが確認の声を向けると、若干嬉しそうにしながらいいと返す・・・どうやらシュラとしてもこの一年で少なからず関わっていたのもあって、ルークの修行は楽しみな時間になっていたらしい。
「・・・そういうことなら任せよう。ではルーク、修行に集中するんだぞ」
「はい、兄上」
「では行こう」
カノンもその案に従いルークに一声残し、シュラにルークを任せて三人は教皇宮の方へと向かう。
「・・・よし、では始めるぞ。付いてこい」
「はいっ!」
そして残った二人も修行を行うべく、双児宮の外へと向かう。本当の師弟関係を築いてるかのような厳格さを見せながら・・・








「・・・おや、デスマスクではありませんか。貴方もルークの修行の様子を見に来たのですか?」
「まぁな」
・・・それで少し時間が経ち、二人の修行の場を訪れたムウ。そこから少し離れた場にデスマスクがいたことにムウは近付き話し掛ける。
「・・・ふむ、見たところ動きは悪くはありませんね。流石にカノン達の修行を受けていただけの事はありますか」
「・・・あぁ、そういやお前基本的にアテナの警護につくことなかったな。聖衣の修復の役目があるから、聖域に残るって形でな」
そして二人の組手の様子を見て悪くないとルークへの評価を下すムウだが、デスマスクはその言葉で思い出す。ムウはアテナの警護についていたことはなかったと。
「えぇ、ですからあまりルークの修行状況というものを把握していないんですよ。だからこうして実際に見学しに来た、というわけです。今いる聖闘士候補生の中でも特に次代の聖闘士になり得そうな逸材でしょうからね」
「まぁ特にってのは間違いじゃねぇな。元々小宇宙を扱えるだけの状態になりかかってて、この一年で鍛えられた結果として完全に小宇宙に目覚めた・・・鍛えていきゃまだまだ伸びるぜ、あいつは」
「そうですか・・・本当ならあの肉体年齢であそこまで伸びることは有り得ない筈なんですがね」
「そこは実年齢に引っ張られてるって考えた方がいいだろ。確かに肉体的なもんも小宇宙を扱うには欠かせねぇのは事実じゃあるが、小宇宙を引き出すには精神の方が重要だ。俺達みてぇに歳も経験も重ねた奴にはねぇ精神の幼さがルークの強み・・・まだ精神が成長する余地を残してるって事だからな」
「成長する余地、ですか・・・星矢達の事もありますから、貴方らしくない事を言ってると思いはしても否定は出来ませんね」
「うっせーよ」
そこからルークの事から成長についての話題に移るのだが、精神論はらしくないと微笑むムウにデスマスクは頭をかきながら軽口で文句を返す。










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