兄弟として、仲間として向かい合う

「・・・よし、なら今日はゆっくりしていってくれ。流石に今日着いたばかりのお前にいきなり協力させるというのもどうかと思うが、もうそろそろ夕食時だ。いつまで日本に留まるかは知らんが今日の所はアテナもこちらに戻って来られているのだから、お前も護衛を兼ねて共に食卓につくべきだ」
「・・・そうだな、そうしよう。いつまでもシュラだけに護衛を任せておくわけにはいかないからな」
「では行くぞサガ、ルーク」
「あぁ」
「はい、兄上」
それで話がまとまったと見て食事に行くことを提案するカノンにサガも中身が中身なだけに素直に頷き、三人は部屋の外へ向かう。









・・・それで三人はアテナを始めとした面々が集まる中で食事を取り、後は就寝という時間になった。そこでサガはシュラと共に屋敷の空き部屋に入り、アテナの身辺警護の方へと本腰を入れる。



「・・・満足な会話は出来たのか、二人と?」
「・・・本音を言うならまだ話したい所ではあった。だが焦る必要はない、これからまだまだ時間は十分にある・・・二人と話していてそう感じたよ」
「・・・そうか、ならいい」
その一室の中でシュラから唐突に向けられた質問にサガは満ち足りた笑みを浮かべながら返し、その様子に微笑を浮かべる。
「なら俺に出来ることならなんでも言ってくれ。出来る限りは力になろう」
「いいのか、シュラ?」
「いいも何も、カノンが所在不明だった時からもそうだが生きていると分かった時から貴方がそういった表情をしたのは久しぶりなのでな。それを思えば少しくらいの手助けなど訳はないさ」
「すまんな、シュラ・・・気を遣わせてしまったようだ」
「何、気にするな」
その上で力になると言い切るシュラにサガはまた感激といった様子で頭を下げ、首を横に振りながらの声を頭に受けた。
























・・・それからサガは一年間、黄金の中で誰よりも日本に多く行くように勤めた。自分がどうしても行けない時は優先的にシュラに自分のようにやってほしいとの役目を頼み、後を託す形で。

そしてルークの修行の助けをしながらも一年が過ぎ、サガはまた日本に向かった。



「・・・さて、カノンにルーク。この一年、貴殿方はこの日本で過ごしてきました。ですが貴殿方が定めた一年という期間はこれで終わりを告げました・・・そこで貴殿方に問います。貴殿方は聖域に向かいますか?それとも日本に残りますか?」
「「「「・・・」」」」
・・・一年が経った。それはカノン達がどうするかとの選択の時。
城戸沙織としての執務室に集められたカノンとルーク、それに護衛のサガとアイオロスはアテナから向けられた真剣な問いに沈黙の様相を浮かべる。
「・・・その事なのですが、聖域に戻りたいと考えています」
「よろしいのですか?今は緊急を擁する事態ではないので、別に聖域に絶対に行かねばならない理由はありませんが・・・」
「いえ、聖闘士の中には聖域に行かずに任を全うする者も少なくはありませんが、あくまで聖闘士の本拠地は聖域・・・それにルーク自身も聖域での本格的な修行に踏み切りたいという気持ちを抱いています。ですので我ら二人、お許しいただけるなら聖域に戻りたくございます」
「・・・そうですか。わかりました、そういうことならそうさせていただきましょう」
「ありがとうございます、アテナ」
それでカノンから聖域に戻りたいとルークも共に固い決意を持っていると告げられ、アテナはその意思に頷き二人は頭を下げる。サガはその光景にホッとしたような笑顔を浮かべていた。










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