兄弟として、仲間として向かい合う

「とりあえず、そういうわけだ・・・俺もルークもお前がこちらに来るなら心から歓迎しよう」
「・・・あぁ、そう言ってもらえるのはありがたいのだが・・・一年は日本にいるとのことだが、その後は聖域に戻るのか?出来るならその辺りについても考えているなら聞きたいのだが・・・」
「あぁ、その事か」
カノンはそれで話をまとめるように声をかけるが、サガが少し不安げにその後についてを聞いてきた事に納得の声を上げる。
「とりあえずの予定として一年ここにいさせてもらうのは決定しているが、一応そこからどうするかというのは俺達に委ねられている。聖域に戻るのか、日本で暮らしながら急務の際は駆け付けるのかということについてな」
「では、どうしようと考えているのだ?二人は」
「そこから先は実際に一年経ってみなければ分からんが・・・どちらを選ぶにせよ、一年経てば本格的に俺がルークを鍛えることは確定している」
「・・・そうか・・・だが肝心の当人の資質はどうなのだ?小宇宙を扱うにはどうあがいても資質は必要不可欠なのだが・・・」
それでカノンが一年後はどうかはルークを鍛えること以外は確定していないと言うと、残念そうにしながらもルークを見ながら資質についてを聞く・・・聖闘士になりたくてなりたくてたまらない訓練生は聖域にはそれこそ数多くいる。だがそんな訓練生の中で聖闘士になれる存在は限られている。聖衣自体の数が限られている事もあるが、小宇宙を扱えなければまず聖衣は主として認める事はないために。
「それについては問題はない・・・一応は小宇宙を扱える資質はルークは持ってはいる。ただ当人はまだ自由には扱える程ではないがな」
「どういうことだ?」
「ファブレの屋敷にいた時に謡将がルークの剣術の訓練をすることもあったが、謡将がいない時は大体俺がその役割を担っていた。その訓練の時に偶然にもだが、小宇宙を燃やせたことが何回かあった。おそらく俺と長い時間いたことで小宇宙を無自覚ながら扱えるようになっていったのだろう・・・事実、小宇宙を伴った一撃は普段の動きとは比べ物にならない程に鋭かった」
「そうなのか?」
「俺としてはあまり自覚はなかったんですけど、時々すごくうまく動けたって感じれた時があったんです。今思うとあれが小宇宙を扱う感覚なのかなって思いました」
「現にティアが屋敷に潜入して剣で撃退しようとしたらしいのだが、その瞬間に小宇宙が高まるのを感じた。それがあったから早くファブレの屋敷に戻ることが出来たのだが・・・それを自由自在に引き出すことが出来たならば聖闘士としての力は十分に得られるだろう」
「そうか・・・」
その問いに対してカノンとルークは自身の感じたことに考えたことを話していき、サガは納得する。ルークも一応小宇宙を扱える資質はあるのだと。
「そこから先・・・小宇宙を引き出し鍛え上げるのは俺がやることだ。師として俺がどれだけ出来るかはまだ分からないがな」
「・・・何か私に出来ることはないか、カノン?」
「何か、か?」
「・・・まだちゃんと時間をかけて関係も築けていないが、それでも私を兄と呼んでくれるルークの為に出来ることはしたいのだ」
「サガ兄さん・・・」
その上で師を勤めあげるのは自分の役目と笑顔を見せるカノンにサガは自分も動きたいと真剣に言い、ルークもまたその真剣さに何とも言えない空気を滲ませる。
「・・・ならこちらに来れる時に無理をしないでもいいから、ルークの相手をしてやってくれ。俺だけで修行をしてもいいが、そう言ってくれるのならお前も時々でいいから協力してくれればそれでいい。お前にはお前の役目が聖域であるだろうからな」
「・・・分かった。出来る限り私もやれることはやろう」
そんな姿にカノンは無理はしないようにと強調しながら協力するだけでと言うが、サガはむしろ決意に満ちた表情で頷いた。自分もルークについて協力はするという決意で。








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