聖闘士と冥府の誘い
「・・・出ていってもらっては困る、か。言っても都合の悪いことを聞き流すだろうがあえて言っておく。我々は別に和平について口外する気はない。むしろここで見逃すなら先程のやり取りも言わずに済ませるようにしてもいい。我々としても不用な争いは出来る限り避けたいからな」
「そういう訳にはいきませんね。口約束ではとても信用出来ません」
「・・・話にならんな」
そんな二人に一応穏便に済ませるようにと妥協案を出すカノンだが全く取り合う余地のないジェイドの返答に、カノンは素で呆れたように目をつぶり呟く。
「・・・さぁルーク様、参りましょう」
「・・・あぁ」
「・・・っ」
‘カンッ、ズブッ’
「なっ・・・!」
最早会話をすることさえ避けるかのようジェイドを見もせず話を進めるカノン達に、ジェイドはすかさず右手に槍を出す・・・だがその槍は瞬時にジェイドの前に来たカノンの振り上げた蹴りにより、天井に蹴りあげられ穂先から突き刺さった。
「・・・これは大佐殿にではなく、導師。貴方に伝えておきます。こちらとしても不必要に争いを引き起こすつもりはありません。我々は先にバチカルに戻りますが、和平をマルクトが求めていると伝えるようにはしておきましょう」
「あ・・・すみません、こんなことになったのにまたそのようなことをしていただけるなんて・・・」
唖然とするジェイドに話し掛けず対象を変えながら先程と同じような事をカノンが告げれば、イオンは呆気に取られながらも頭を下げる。
「では行きましょう、ルーク様」
「あぁ」
それで言いたいことを全て言い終えたとカノンはルークに出立を促し、先に扉の前に行ったカミュが開けた扉の方へと歩き出す。
「・・・逃げられるとお思いですか・・・?」
続々とルーク達が部屋の外に出ていき最後に扉を開けていたカミュが残った中ジェイドは最早立場などどうでもいいと言わんばかりに追いかけようとしだし、カミュはそれを見て外に出て扉を閉める。
「・・・なにっ?扉が開かない・・・?」
それに続きすぐに扉を開けようとしたジェイドだが、全く動かない扉に眉をひそめる。
「鍵をかけられた様子もない、一体何故・・・っ何、これは氷・・・馬鹿な、まさかこの扉が譜術で凍らされたと言うのか、この一瞬で・・・!?」
「氷・・・あっ・・・」
それで扉をくまなく調べるジェイドだったが、扉の隙間の部分の氷を見て愕然とした様子を浮かべる中でアニスは一人心当たりに思い至るが、それは大きくは声にしない・・・何故ならそれをやったのはカミュであり、そう言うことが向こうの立場を微妙なものにすると分かっていたために。
「とりあえず早く出ましょう。足止め程度に威力は弱めましたが、あの大佐なら時間をかければ出られるはず。大事になる前に早急にここを出れば、逃げ切れるはずです」
「・・・お、おう・・・」
・・・そしてそのアニスが予想したカミュは冷気を掌中に留めながら扉を見て早々の退散を提言し、ルークは譜術の応用と言われて初めて目にするその技に驚きながらも首を縦に振る。
「では早速ここを出ましょう。ですが足を早めねば追手が来かねませんので、私の背に体をお預けください。少々揺れるでしょうが、その方が早いと思われます」
「・・・あぁ、わかった。けど久しぶりだな、お前の背に乗るのも。なんか今の状況でも少し嬉しいな」
「・・・フフッ」
そこにカノンが急ぐから背に乗るようにと丁寧に言うと、ルークは了承しながらも少し嬉しそうに背後に回り、カノンも微笑みつつも自然と体をかがめその身を背負う。
「では参りましょう、しっかり掴まっていてください」
「あぁ・・・うぉっ!」
そして振り落とされないよう注意をするカノンにルークが答えた瞬間、カノン達は一般人ではまず到達し得ない早さで走り出しその勢いにルークは驚きの声だけを残しその場を後にしていった。
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「そういう訳にはいきませんね。口約束ではとても信用出来ません」
「・・・話にならんな」
そんな二人に一応穏便に済ませるようにと妥協案を出すカノンだが全く取り合う余地のないジェイドの返答に、カノンは素で呆れたように目をつぶり呟く。
「・・・さぁルーク様、参りましょう」
「・・・あぁ」
「・・・っ」
‘カンッ、ズブッ’
「なっ・・・!」
最早会話をすることさえ避けるかのようジェイドを見もせず話を進めるカノン達に、ジェイドはすかさず右手に槍を出す・・・だがその槍は瞬時にジェイドの前に来たカノンの振り上げた蹴りにより、天井に蹴りあげられ穂先から突き刺さった。
「・・・これは大佐殿にではなく、導師。貴方に伝えておきます。こちらとしても不必要に争いを引き起こすつもりはありません。我々は先にバチカルに戻りますが、和平をマルクトが求めていると伝えるようにはしておきましょう」
「あ・・・すみません、こんなことになったのにまたそのようなことをしていただけるなんて・・・」
唖然とするジェイドに話し掛けず対象を変えながら先程と同じような事をカノンが告げれば、イオンは呆気に取られながらも頭を下げる。
「では行きましょう、ルーク様」
「あぁ」
それで言いたいことを全て言い終えたとカノンはルークに出立を促し、先に扉の前に行ったカミュが開けた扉の方へと歩き出す。
「・・・逃げられるとお思いですか・・・?」
続々とルーク達が部屋の外に出ていき最後に扉を開けていたカミュが残った中ジェイドは最早立場などどうでもいいと言わんばかりに追いかけようとしだし、カミュはそれを見て外に出て扉を閉める。
「・・・なにっ?扉が開かない・・・?」
それに続きすぐに扉を開けようとしたジェイドだが、全く動かない扉に眉をひそめる。
「鍵をかけられた様子もない、一体何故・・・っ何、これは氷・・・馬鹿な、まさかこの扉が譜術で凍らされたと言うのか、この一瞬で・・・!?」
「氷・・・あっ・・・」
それで扉をくまなく調べるジェイドだったが、扉の隙間の部分の氷を見て愕然とした様子を浮かべる中でアニスは一人心当たりに思い至るが、それは大きくは声にしない・・・何故ならそれをやったのはカミュであり、そう言うことが向こうの立場を微妙なものにすると分かっていたために。
「とりあえず早く出ましょう。足止め程度に威力は弱めましたが、あの大佐なら時間をかければ出られるはず。大事になる前に早急にここを出れば、逃げ切れるはずです」
「・・・お、おう・・・」
・・・そしてそのアニスが予想したカミュは冷気を掌中に留めながら扉を見て早々の退散を提言し、ルークは譜術の応用と言われて初めて目にするその技に驚きながらも首を縦に振る。
「では早速ここを出ましょう。ですが足を早めねば追手が来かねませんので、私の背に体をお預けください。少々揺れるでしょうが、その方が早いと思われます」
「・・・あぁ、わかった。けど久しぶりだな、お前の背に乗るのも。なんか今の状況でも少し嬉しいな」
「・・・フフッ」
そこにカノンが急ぐから背に乗るようにと丁寧に言うと、ルークは了承しながらも少し嬉しそうに背後に回り、カノンも微笑みつつも自然と体をかがめその身を背負う。
「では参りましょう、しっかり掴まっていてください」
「あぁ・・・うぉっ!」
そして振り落とされないよう注意をするカノンにルークが答えた瞬間、カノン達は一般人ではまず到達し得ない早さで走り出しその勢いにルークは驚きの声だけを残しその場を後にしていった。
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