兄弟として、仲間として向かい合う

「それで、日本に行くのか?」
「・・・何故いきなり日本に行くという話になるんだ?」
そんな会話の最中に唐突にデスマスクから出てきた日本行きとの言葉に、サガは眉を寄せる。
「話に聞いたよっか、あんたの表情が晴れ晴れしてるんでな。教皇宮で気が晴れたから日本に行く許可をシオン様からもぎ取ってきたと思ったんだよ」
「あぁ、そういうことか・・・確かに本当なら今日すぐにでも追い掛けたい所だが、今日くらいは休むようにと言われたのでな。数日の内にはシオン様に伺いを立てて向かおうと思っている」
「ほう、そうか」
それでそう思ったわけを聞きサガは素直に自分の考えを伝えデスマスクも納得するが、二人のみが通じあっている様子にアイオリアは何とも言い難い様子だ。
「・・・よく分からんが、カノン達に会いに行くのか?サガは」
「あぁ、そうだ。恥ずかしい話、二人に対してどうも戸惑ってばかりいたのだがようやく覚悟が出来てな・・・」
「二人、か・・・カノンは勿論と言えば勿論の事だが、ルークもサガの弟になるということか」
「弟か・・・まさかこの歳になって新たな弟が出来るとはな」
それで何とか言葉を紡ぐアイオリアにサガは少し恥ずかしそうに答え、弟の単語に表情が綻ぶ。
「ま、カノンとルークは共に血は繋がってなくても兄弟って認識しあってるからな。そこにカノンの元々の兄弟のあんたが入るのは別に不思議な事じゃねーさ。焦る必要はねぇからゆっくりと話してこいよ。時間は十分にあるんだからな」
「そうだな、デスマスクの言う通りだ。それにルークに会っていない事もそうだが、カノンとも話した時間はハーデスの時を含めてもそうないのだろう。ならばこそ三人で腰を据えて話をするべきだ」
「デスマスク・・・アイオリア・・・分かった、そうさせてもらおう」
そして二人からゆっくりと話すよう勧めをもらったサガは感動したとばかりの表情で頷いた。教皇宮を出る前の重い空気がまるで嘘のように思える程に。















・・・そして双児宮に戻ったサガは一晩ゆっくり休んだ後、アテナとシオンに日本に行きたいと嘆願しに行った。そしてその要望はすぐに通り、数日後にアテナと共に日本に行くことが決定した。ちょうど城戸沙織として戻る用事があったために。



「・・・あぁ、サガ。聞きましたよ、日本に行くんですね」
「そうだが・・・どうしたムウ、それにアルデバランも・・・?」
「いや何、ムウがシオン様からそう聞いて様子を見に行くと言った物でな。俺もどうかと思い付いてきたのだ」
「・・・私は子供ではないのだがな・・・」
それで教皇宮から双児宮に戻ってくるとそこにいたのはムウとアルデバランの二人で、アルデバランの笑みにサガは苦笑する。
「ただシオン様にはいきなり一人でカノン達と会うのはどうかと言われたのでな・・・まだルークと会っていないシュラを連れていくようにと言われたのだ」
「おや、まだ会ってないのはシャカもではないのですか?」
「私もそう思ったが、シオン様との会話の最中にシャカからテレパシーで『会う時が来れば必然的に出会うでしょうから、私の事は気になさらず』と言われたのだ」
「・・・それならいいのですが、何故シャカはその会話を聞いていたのでしょうね・・・」
その上でシュラを付けられる事を口にしたサガにムウが何故シャカはと疑問を向けるが、全てを聞いていたという様子に少し呆れ気味に漏らす。









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