聖闘士と冥府の誘い
「あんたは公務でキムラスカに行き、それでルーク様に協力を願い出たい・・・考えてもみろよ。マルクトの代表からの公務での依頼を受けたなら、それは当然ルーク様の公務にもなるんだぜ?例え非公式とは言えマルクトからの協力を引き受けたならな。そうなりゃ当然キムラスカに報告の義務ってもんが出てくる。何せ和平の橋渡しなんざ個人の口約束だなんて到底言えねぇ重大な役割以外の何物でもないだろ。そうなりゃ当然報告の義務があると思うぜ?様々な経緯の上から、協力しなかった場合軟禁するって言われたって報告をな」
「っ・・・それは・・・!」
「言い訳なんて出来ねぇぞ、まず。こっちは願い出られる立場であるはずなのに、使われた手段は脅迫以外の何物でもない物。そんなもん聞いて誰が公明正大な態度を取ってるなんて答えられんだ?言ってみろよ、大佐殿?」
「・・・っ!」
・・・ルークの身分は公爵子息、和平に協力してほしいと言われ活動すれば必然的にその責の大きさから公務扱いになることは避けられない。
デスマスクから明らかに痛すぎる問題を指摘され、ニヤニヤするその表情にジェイドは何も言えずたまらず眉間にシワを寄せた。
「カノン。お前はどう考える?この大佐殿の今までの発言を」
「・・・どうもこうもない。このような者を代表に差し向けるマルクトは信ずるに値しない国と、そう思った。だがあくまでどうか決めるのはルーク様だ。信じられるかどうかはな」
「・・・答えを聞くまでもねぇよ、カノン。俺もこの男を信じられない。そう思った」
「・・・そうですか」
「・・・っ!」
そこで今度はカノンに話題を振るデスマスクだが一切信用を持てないと冷めた声で言い切って返し、更にはルークも警戒を持った瞳をジェイドに向け、カノンの納得とは対照的にジェイドの口元が分かりやすく悔しそうに引き締められた。
・・・ジェイドからすればここまで見事にしてやられたこともなかったのだろう。だがこれはジェイドのしてきたことをデスマスクに指摘されただけで、あくまで自業自得の事だ。おそらくジェイドはその表向きの物腰穏やかな態度に加え知謀も備えていることからある程度無礼であったり暴挙と言えることの線引きを見極め行動してきたのだろうが、いかんせん相手が悪い。まさか真っ向から相手に来るのではなく別の人物を使い、その背後にある物まで搦め手に使ってくるなどとは思っていなかっただろう。これでジェイドは下手に脅しをかけることを強硬するわけにはいかなくなった。後々の事を考えてしまうと。
だがその中でまた問題というのは残ってはいるが、そんなものはカノン達からすれば問題と呼べる物ではなかった。
「・・・けど、どうすんだよカノン。こいつの話だと俺らをタルタロスから軟禁してでも逃がさないって言ってるんだぞ。こんな不利な状況でこいつの話を蹴っていいのか?」
「・・・」
続けられたルークの不安そうな声はカノンに向けられ、ジェイドはしてやったりと言わんばかりに口角を微妙に上げる。
・・・そう、言ってしまえばここは敵地なのだ。ここで判断を誤れば自分達の身が危険、そして今ジェイドの思い通りにならないような事を言った。危険とルークが判断するのは当然と言えるだろう・・・だがカノン達にとっては全く問題ではない。
「ルーク様、貴方がこちらから出たいと言うのであれば我々がその道を開きます」
「・・・えっ?」
「いかがされますか?」
そんなルークに当たり前のようにここを出るかを聞くカノンにルークも含め一同呆気に取られる中、再度カノンは選択を投げ掛ける。
「・・・なら出る。お前は出来ないことを出来るなんて言ったことないし、ここにいたらどうなるかわからないからな」
「決まりですね・・・ではアイオロス、その女を担いでくれ。ここを出よう」
「わかった」
その声にルークは少し考えた物の長年の付き合いで信頼を絶大に寄せていることもありタルタロスを出ると決め、その返事にカノンはさっさと出るべく傍らのアイオロスにティアを連れていってもらうように頼む。
「少し待っていただきましょう・・・そう易々と出ていってもらっては困るんですよ」
「ジェイド・・・!」
だがそれでも思い通りにいかないのは気に食わないのかジェイドが尚も出ていく準備をしているルーク達を押し留めようと静かに威圧をかけてきて、たまらずその行動に批難を含ませた声でイオンが名前を呼ぶ。
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「っ・・・それは・・・!」
「言い訳なんて出来ねぇぞ、まず。こっちは願い出られる立場であるはずなのに、使われた手段は脅迫以外の何物でもない物。そんなもん聞いて誰が公明正大な態度を取ってるなんて答えられんだ?言ってみろよ、大佐殿?」
「・・・っ!」
・・・ルークの身分は公爵子息、和平に協力してほしいと言われ活動すれば必然的にその責の大きさから公務扱いになることは避けられない。
デスマスクから明らかに痛すぎる問題を指摘され、ニヤニヤするその表情にジェイドは何も言えずたまらず眉間にシワを寄せた。
「カノン。お前はどう考える?この大佐殿の今までの発言を」
「・・・どうもこうもない。このような者を代表に差し向けるマルクトは信ずるに値しない国と、そう思った。だがあくまでどうか決めるのはルーク様だ。信じられるかどうかはな」
「・・・答えを聞くまでもねぇよ、カノン。俺もこの男を信じられない。そう思った」
「・・・そうですか」
「・・・っ!」
そこで今度はカノンに話題を振るデスマスクだが一切信用を持てないと冷めた声で言い切って返し、更にはルークも警戒を持った瞳をジェイドに向け、カノンの納得とは対照的にジェイドの口元が分かりやすく悔しそうに引き締められた。
・・・ジェイドからすればここまで見事にしてやられたこともなかったのだろう。だがこれはジェイドのしてきたことをデスマスクに指摘されただけで、あくまで自業自得の事だ。おそらくジェイドはその表向きの物腰穏やかな態度に加え知謀も備えていることからある程度無礼であったり暴挙と言えることの線引きを見極め行動してきたのだろうが、いかんせん相手が悪い。まさか真っ向から相手に来るのではなく別の人物を使い、その背後にある物まで搦め手に使ってくるなどとは思っていなかっただろう。これでジェイドは下手に脅しをかけることを強硬するわけにはいかなくなった。後々の事を考えてしまうと。
だがその中でまた問題というのは残ってはいるが、そんなものはカノン達からすれば問題と呼べる物ではなかった。
「・・・けど、どうすんだよカノン。こいつの話だと俺らをタルタロスから軟禁してでも逃がさないって言ってるんだぞ。こんな不利な状況でこいつの話を蹴っていいのか?」
「・・・」
続けられたルークの不安そうな声はカノンに向けられ、ジェイドはしてやったりと言わんばかりに口角を微妙に上げる。
・・・そう、言ってしまえばここは敵地なのだ。ここで判断を誤れば自分達の身が危険、そして今ジェイドの思い通りにならないような事を言った。危険とルークが判断するのは当然と言えるだろう・・・だがカノン達にとっては全く問題ではない。
「ルーク様、貴方がこちらから出たいと言うのであれば我々がその道を開きます」
「・・・えっ?」
「いかがされますか?」
そんなルークに当たり前のようにここを出るかを聞くカノンにルークも含め一同呆気に取られる中、再度カノンは選択を投げ掛ける。
「・・・なら出る。お前は出来ないことを出来るなんて言ったことないし、ここにいたらどうなるかわからないからな」
「決まりですね・・・ではアイオロス、その女を担いでくれ。ここを出よう」
「わかった」
その声にルークは少し考えた物の長年の付き合いで信頼を絶大に寄せていることもありタルタロスを出ると決め、その返事にカノンはさっさと出るべく傍らのアイオロスにティアを連れていってもらうように頼む。
「少し待っていただきましょう・・・そう易々と出ていってもらっては困るんですよ」
「ジェイド・・・!」
だがそれでも思い通りにいかないのは気に食わないのかジェイドが尚も出ていく準備をしているルーク達を押し留めようと静かに威圧をかけてきて、たまらずその行動に批難を含ませた声でイオンが名前を呼ぶ。
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