聖闘士の手より離れた世界
では何故下手に自由にさせるよりはいいのかとなるのかと言えば、子供が出来ることにより父親となるアッシュはまだしも、ナタリアの行動にどうやっても制限がかかるためだ。
父親と母親・・・ある程度成長するまでにどちらに子供がかかりきりにならねばならぬかと言えば、普通は母親である。乳児期には母乳を上げる事が出来るのは母親だけしかいない事もあるし、働く事に関しての負担を父親が担っているのなら尚更だ。
ただキムラスカの王族という立場もあって子供の面倒を見るための人員などを雇うことも出来る環境にあり、育児をそういった者達に任せられる状況にあることも否定は出来ないが、それでも公務が大事と育児を全て放っておくのは母親という立場としてもそうだがナタリアの性格から考えても出来はしないだろう。そうなれば必然的にナタリアの取れる行動について、色々と限定されてくるのだ。様々な場面で動くことに関して。
・・・ただ、それらの事に関してはあくまでオマケというか本題が成功すれば芋づる式にうまくいく可能性が高いために副題的な狙いに過ぎない。カノンが本題として狙っていることとは・・・ナタリアを不安によってコントロールすることである、それもアッシュには気取らせない形にしてだ。
・・・そもそもの話、先の貴族達にアッシュとナタリアの両者の秘密を明かしたのは単に二人に対する牽制を兼ねた物ではない。その真の狙いはナタリアの心を乱すためだ。
アッシュからしてみれば自分が『鮮血のアッシュ』であった過去は大っぴらにされたくないことではあるだろうが、それでも自分自身で選択して歩んできた道なだけに事実を知られたならその事に対する気持ちが浮かび上がるだけで事足りる。しかしナタリアからしてみればどうだろうか?・・・いきなり自分が偽物であったことを知らされたのだ、それも予期せぬ形で。事実、ナタリアはアッシュとは比較にならぬくらいに動揺に揺れた。そんな事を知らないばかりか、考えもしていなかったためにだ。
おそらく今頃ナタリアはアッシュ以上に頭の中がこんがらがっていることだろう。自分自身の立場だとかこれからの不安の事も含めて色々と悩む形でだ。
・・・そんな時、貴女の立場を確立出来る方法があると囁かれたならナタリアはどういう反応に出るか?・・・おそらく、いやほぼ間違いなくナタリアの立場からしてみれば天からの救いの手に等しい物に聞こえてすがりつくだろう。それがカノン、いや誰かによる策略であるかどうかなど微塵も考えず。
・・・そしてその策略こそがアッシュとの間の子を出来るだけ早く作るようナタリアをせっつかせる事なのだが、ここだけ聞くなら単純な話として終わるだろう。しかしここでナタリアが「貴族達の気持ちはどうあれ、アッシュの子供をその身に宿して生んだとなればおいそれと口出しは出来なくなる」とでも聞かされれば、どうなるか?・・・これはそれこそまず間違いなく、ナタリアには食い付く以外の選択肢はないのは目に見えている。
いくらナタリアが人の感情であったり細やかな言葉の機微に鈍いタチであっても、先の集まりでかなり自分の立場がまずい状況であることはもう嫌という程に認知しているのだ。その上で自分の立場を確立出来るばかりか、アッシュと切れない絆を結べるという事を考えればいかに貞操に対して潔癖な考えを持っているだろうナタリアでも断る方が難しいという状況なのは明白だ。
ちなみにカノンの考えを聞いたインゴベルトは、アッシュにも言ってナタリアに対して共にアプローチさせればいいのではないかという意見を言ったのだが、他人に対して横暴だがナタリアに対しては反比例するかのよう気を使いすぎるアッシュが、自分から不自然に思われないよう自然にアプローチを仕掛けるのはまず無理だろうとカノンは言い切った。その上で逆にナタリアからアプローチをされたなら男としての矜持があると考え、まずアッシュは不自然かどうかは置いておいて断るわけはないだろうからナタリアから行かせるのだと・・・まぁナタリアが変だと思って事情を聞いた所で事が事なだけにアッシュは断るどころか、むしろ否定したならナタリアが困るだけでしかないので外部の打算があると知りはしても結局はその行動を受け入れるしかないのは明白な事であった。
そうやって知ったにしても知らないにしても、ナタリアからのアプローチを受けてアッシュと子作りをしてその結果子供が出来たなら・・・もうカノンの目論見は成功したも同然となる。
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父親と母親・・・ある程度成長するまでにどちらに子供がかかりきりにならねばならぬかと言えば、普通は母親である。乳児期には母乳を上げる事が出来るのは母親だけしかいない事もあるし、働く事に関しての負担を父親が担っているのなら尚更だ。
ただキムラスカの王族という立場もあって子供の面倒を見るための人員などを雇うことも出来る環境にあり、育児をそういった者達に任せられる状況にあることも否定は出来ないが、それでも公務が大事と育児を全て放っておくのは母親という立場としてもそうだがナタリアの性格から考えても出来はしないだろう。そうなれば必然的にナタリアの取れる行動について、色々と限定されてくるのだ。様々な場面で動くことに関して。
・・・ただ、それらの事に関してはあくまでオマケというか本題が成功すれば芋づる式にうまくいく可能性が高いために副題的な狙いに過ぎない。カノンが本題として狙っていることとは・・・ナタリアを不安によってコントロールすることである、それもアッシュには気取らせない形にしてだ。
・・・そもそもの話、先の貴族達にアッシュとナタリアの両者の秘密を明かしたのは単に二人に対する牽制を兼ねた物ではない。その真の狙いはナタリアの心を乱すためだ。
アッシュからしてみれば自分が『鮮血のアッシュ』であった過去は大っぴらにされたくないことではあるだろうが、それでも自分自身で選択して歩んできた道なだけに事実を知られたならその事に対する気持ちが浮かび上がるだけで事足りる。しかしナタリアからしてみればどうだろうか?・・・いきなり自分が偽物であったことを知らされたのだ、それも予期せぬ形で。事実、ナタリアはアッシュとは比較にならぬくらいに動揺に揺れた。そんな事を知らないばかりか、考えもしていなかったためにだ。
おそらく今頃ナタリアはアッシュ以上に頭の中がこんがらがっていることだろう。自分自身の立場だとかこれからの不安の事も含めて色々と悩む形でだ。
・・・そんな時、貴女の立場を確立出来る方法があると囁かれたならナタリアはどういう反応に出るか?・・・おそらく、いやほぼ間違いなくナタリアの立場からしてみれば天からの救いの手に等しい物に聞こえてすがりつくだろう。それがカノン、いや誰かによる策略であるかどうかなど微塵も考えず。
・・・そしてその策略こそがアッシュとの間の子を出来るだけ早く作るようナタリアをせっつかせる事なのだが、ここだけ聞くなら単純な話として終わるだろう。しかしここでナタリアが「貴族達の気持ちはどうあれ、アッシュの子供をその身に宿して生んだとなればおいそれと口出しは出来なくなる」とでも聞かされれば、どうなるか?・・・これはそれこそまず間違いなく、ナタリアには食い付く以外の選択肢はないのは目に見えている。
いくらナタリアが人の感情であったり細やかな言葉の機微に鈍いタチであっても、先の集まりでかなり自分の立場がまずい状況であることはもう嫌という程に認知しているのだ。その上で自分の立場を確立出来るばかりか、アッシュと切れない絆を結べるという事を考えればいかに貞操に対して潔癖な考えを持っているだろうナタリアでも断る方が難しいという状況なのは明白だ。
ちなみにカノンの考えを聞いたインゴベルトは、アッシュにも言ってナタリアに対して共にアプローチさせればいいのではないかという意見を言ったのだが、他人に対して横暴だがナタリアに対しては反比例するかのよう気を使いすぎるアッシュが、自分から不自然に思われないよう自然にアプローチを仕掛けるのはまず無理だろうとカノンは言い切った。その上で逆にナタリアからアプローチをされたなら男としての矜持があると考え、まずアッシュは不自然かどうかは置いておいて断るわけはないだろうからナタリアから行かせるのだと・・・まぁナタリアが変だと思って事情を聞いた所で事が事なだけにアッシュは断るどころか、むしろ否定したならナタリアが困るだけでしかないので外部の打算があると知りはしても結局はその行動を受け入れるしかないのは明白な事であった。
そうやって知ったにしても知らないにしても、ナタリアからのアプローチを受けてアッシュと子作りをしてその結果子供が出来たなら・・・もうカノンの目論見は成功したも同然となる。
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