聖闘士の手より離れた世界
「そうだ・・・そして我々はその態度を看過する訳にもいかず、どのようにするべきかと協議をした。だが公務は本来デスクワークが主な物であるし、それ以外の公務となると人前に出て行儀もそうだがある程度の腹芸も必要になってくる・・・言ってはなんだが、私と陛下はそんなことがアッシュに一朝一夕に出来るとはとても思えなかった」
「・・・同意するのは本来失礼と承知していますが、同意します。お二人の内のどちらかがおられたなら行儀についてはともかくとしても、腹芸に関してはどちらかがおられてもアッシュはまず出来ないでしょう。まず基本的に嘘をつけない性格に行動の在り方もありますが、自身の想像していない事を言われたなら大人しくしていようと努めていたのに足を掬われかねないのは目に見えました」
「うむ・・・更にそこで自らが気に入らない事を言われようものならそれこそ場を弁えずに怒鳴り散らしただろう。私や陛下がいても構わずな・・・」
公爵は話を続けデスクワークをあまり必要としない人前に出る公務についての選択もあったと言うが、それは絶望的な程に向いていなかったと言う風に言うとカノンもすぐに同意した。それで公爵は力なく首を横に振る。
「だから私と陛下は一朝一夕に結果を待つよりはじっくり心構えを教えようと、公務は少な目にして礼儀作法について一から学ぶようにと教師をつけることにした。言外に腹芸を身に付けるようにも言い渡してな・・・だがそれでアッシュは表面上だけでしか大人しくなることはなく、結局不満があれば辺り構わず怒鳴り散らし屋敷の人間によく迷惑をかけている。遠慮を覚えて改善するような兆しもほとんどなくな・・・」
「・・・そこまで公然の物なのですか?屋敷の中でのアッシュの行為は・・・」
「あぁ・・・流石に私も見ていられなくてな。アッシュがいない時に屋敷の者を集めてどう思うのかと聞いてみた。勿論と言うべきか最初は屋敷の者も話をしようとはしなかったが、私が真剣である事に処罰は与えないとの前置きを置いたら向こうもポツリポツリとだが正直に話をしてくれた・・・そしてその中にはこう言った者もいた。記憶を失っていた時のルーク様にカノンがいた時が良かった、と」
「・・・そう聞いて悪い気はしませんが、反面でそこまで皆が言うという事ですか・・・」
公爵は続けて対策は一応取ったと言いつつも効果が薄かったと屋敷内での横暴さを引き合いに出し、カノンはかつての仲間達が乞われたとは言え正直に話をするのを選んだことに複雑そうに顔を歪める。
「・・・正直な答えを聞けてよかったと思う反面、私は申し訳無くもあった。アッシュの事で何も知らぬ皆が迷惑を被っているという事実が・・・一応はその迷惑への補填の為に給与を上げるなどして待遇改善はしたが、結局アッシュに関してはどうにかすることは出来なかった・・・情けない親だ、私は・・・」
「自らを卑下なさらないでください、公爵様・・・貴方はどうにかアッシュと向き合おうとし、アッシュがそれらのことごとくをはね除けた・・・今の話を聞いて私はそう思いました。少なくとも公爵様だけの責任ではありません」
「・・・うむ、そう言ってくれれば気が楽になる」
そして公爵が段々と暗くネガティブになっていく様子にカノンが心底からこう思っているとフォローの言葉をかけ、公爵は心を調え直して前を向く。
「・・・まぁ一先ず、アッシュに関しては大方話した。今度はナタリア様について話そう」
「はい、わかりました」
それで次にナタリアの事を話すと切り出し、カノンは追求せずにすぐに頷いた。
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「・・・同意するのは本来失礼と承知していますが、同意します。お二人の内のどちらかがおられたなら行儀についてはともかくとしても、腹芸に関してはどちらかがおられてもアッシュはまず出来ないでしょう。まず基本的に嘘をつけない性格に行動の在り方もありますが、自身の想像していない事を言われたなら大人しくしていようと努めていたのに足を掬われかねないのは目に見えました」
「うむ・・・更にそこで自らが気に入らない事を言われようものならそれこそ場を弁えずに怒鳴り散らしただろう。私や陛下がいても構わずな・・・」
公爵は話を続けデスクワークをあまり必要としない人前に出る公務についての選択もあったと言うが、それは絶望的な程に向いていなかったと言う風に言うとカノンもすぐに同意した。それで公爵は力なく首を横に振る。
「だから私と陛下は一朝一夕に結果を待つよりはじっくり心構えを教えようと、公務は少な目にして礼儀作法について一から学ぶようにと教師をつけることにした。言外に腹芸を身に付けるようにも言い渡してな・・・だがそれでアッシュは表面上だけでしか大人しくなることはなく、結局不満があれば辺り構わず怒鳴り散らし屋敷の人間によく迷惑をかけている。遠慮を覚えて改善するような兆しもほとんどなくな・・・」
「・・・そこまで公然の物なのですか?屋敷の中でのアッシュの行為は・・・」
「あぁ・・・流石に私も見ていられなくてな。アッシュがいない時に屋敷の者を集めてどう思うのかと聞いてみた。勿論と言うべきか最初は屋敷の者も話をしようとはしなかったが、私が真剣である事に処罰は与えないとの前置きを置いたら向こうもポツリポツリとだが正直に話をしてくれた・・・そしてその中にはこう言った者もいた。記憶を失っていた時のルーク様にカノンがいた時が良かった、と」
「・・・そう聞いて悪い気はしませんが、反面でそこまで皆が言うという事ですか・・・」
公爵は続けて対策は一応取ったと言いつつも効果が薄かったと屋敷内での横暴さを引き合いに出し、カノンはかつての仲間達が乞われたとは言え正直に話をするのを選んだことに複雑そうに顔を歪める。
「・・・正直な答えを聞けてよかったと思う反面、私は申し訳無くもあった。アッシュの事で何も知らぬ皆が迷惑を被っているという事実が・・・一応はその迷惑への補填の為に給与を上げるなどして待遇改善はしたが、結局アッシュに関してはどうにかすることは出来なかった・・・情けない親だ、私は・・・」
「自らを卑下なさらないでください、公爵様・・・貴方はどうにかアッシュと向き合おうとし、アッシュがそれらのことごとくをはね除けた・・・今の話を聞いて私はそう思いました。少なくとも公爵様だけの責任ではありません」
「・・・うむ、そう言ってくれれば気が楽になる」
そして公爵が段々と暗くネガティブになっていく様子にカノンが心底からこう思っているとフォローの言葉をかけ、公爵は心を調え直して前を向く。
「・・・まぁ一先ず、アッシュに関しては大方話した。今度はナタリア様について話そう」
「はい、わかりました」
それで次にナタリアの事を話すと切り出し、カノンは追求せずにすぐに頷いた。
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