聖闘士の手より離れた世界
「なら期待に応えて話をしようと思うが、何が聞きたい?」
「そうだな・・・まずは無難に、バチカルに住んでいるお前としてはバチカルの様子は実際にはどうだ?どうにもキムラスカに来るのはためらわれるから、今の俺はそこのところについてはあまり詳しくはないんだ」
「そうか?バチカルはともかくとしても、シェリダンやベルケンドくらい行っても別にいいと思うんだが・・・まぁそういうことなら話をしようか」
男は笑顔を浮かべ話題について聞くと、カノンが困ったような笑みでキムラスカの事を知らないとサラリと吐いた嘘にしょうがないとばかりに笑う。が、そこで男は表情を引き締めてカノンに顔を近付け片方の手を口の横に添えて小声で話しかける。
「・・・ま、バチカル自体には特に問題はない。問題があるとしたら・・・ルーク様と、ナタリア様さ」
「ルーク様と、ナタリア様・・・」
そこから口にされた二人の名をカノンは同じく口にし、男は顔を元の位置に戻す。
「あの二人はとても仲がいい・・・それはいいだろう。ただ俺達の事を全く見てくれんのだ。それこそ熱に浮かれて周りが全く見えない恋人同士としか見れないくらいにな」
「・・・成程、それは確かにどう接していいかと悩むな」
そのまままるで冗談でも話すかのような気安い空気を醸し出し話す男にカノンも苦笑するが、カノンは分かった・・・男が敢えて砕けた言い方をした上で名前を口にしない事で、アッシュとナタリアの事を公然でありながら秘密裏に伝えようとしている事を。
「あぁ、実際俺もどう声をかけていいか分からなくてな・・・余程二人の空気がいい時でなければ話しかける事すら出来ないんだが、それも滅多にないんでな・・・だから火急の用じゃなければ二人が分かれた後で用向きを伝えるのは至って普通の事なんだ」
「そうか・・・だがそういうことなら二人の親も大分苦労しているのではないか?」
「まぁそりゃな・・・俺達に対して申し訳無いと言った顔を見せる姿はどれだけ苦労してるのかってのがすぐに分かるしな・・・」
「そうか・・・(・・・この様子ではまだナタリアの事については話してはいないようだな。まだ本当にそうするべきかどうか、悩んでいるとも取れるが・・・これ以上はやはり本人達から聞かねばならんか。又聞き話だけで済ませてよさそうには思えんからな)」
そのまま何気無いような会話で気楽なように話を進めていくのだが、明るく言ってはいるが中身がアッシュとナタリアの良くない事を指しているだけにカノンは内心で考える。やはり直接行かねばならないかと。
「・・・済まない。さっきはファブレには行けないと言ったがどうにも気になってきてしまった。この後ファブレに寄らせてもらうようにしよう」
「・・・そうか?なら俺が付いていこうか?」
「いや、いい。お前の言うことが本当なら今でも俺が行けばファブレは俺を受け入れてくれるんだろう。それにお前は休暇中だ。無理に付き合わせても悪い」
「気にしなくてもいいんだがな・・・まぁいい、そういうことなら構わんさ。お前に会えただけでも俺としては嬉しかったしな」
「そう言ってくれると助かる。その礼としてここは俺が払おう」
「おっ、悪いな」
そして改めてカノンがファブレに行くと男に告げると同行を申し出るが、大丈夫と言って奢ることを伝えれば男は心からの笑顔を浮かべる・・・それはカノンと良い関係を結べているからこその物だった。
・・・それからカノンは少ししてから男と別れ、上の階層のファブレ邸に向かった。
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「そうだな・・・まずは無難に、バチカルに住んでいるお前としてはバチカルの様子は実際にはどうだ?どうにもキムラスカに来るのはためらわれるから、今の俺はそこのところについてはあまり詳しくはないんだ」
「そうか?バチカルはともかくとしても、シェリダンやベルケンドくらい行っても別にいいと思うんだが・・・まぁそういうことなら話をしようか」
男は笑顔を浮かべ話題について聞くと、カノンが困ったような笑みでキムラスカの事を知らないとサラリと吐いた嘘にしょうがないとばかりに笑う。が、そこで男は表情を引き締めてカノンに顔を近付け片方の手を口の横に添えて小声で話しかける。
「・・・ま、バチカル自体には特に問題はない。問題があるとしたら・・・ルーク様と、ナタリア様さ」
「ルーク様と、ナタリア様・・・」
そこから口にされた二人の名をカノンは同じく口にし、男は顔を元の位置に戻す。
「あの二人はとても仲がいい・・・それはいいだろう。ただ俺達の事を全く見てくれんのだ。それこそ熱に浮かれて周りが全く見えない恋人同士としか見れないくらいにな」
「・・・成程、それは確かにどう接していいかと悩むな」
そのまままるで冗談でも話すかのような気安い空気を醸し出し話す男にカノンも苦笑するが、カノンは分かった・・・男が敢えて砕けた言い方をした上で名前を口にしない事で、アッシュとナタリアの事を公然でありながら秘密裏に伝えようとしている事を。
「あぁ、実際俺もどう声をかけていいか分からなくてな・・・余程二人の空気がいい時でなければ話しかける事すら出来ないんだが、それも滅多にないんでな・・・だから火急の用じゃなければ二人が分かれた後で用向きを伝えるのは至って普通の事なんだ」
「そうか・・・だがそういうことなら二人の親も大分苦労しているのではないか?」
「まぁそりゃな・・・俺達に対して申し訳無いと言った顔を見せる姿はどれだけ苦労してるのかってのがすぐに分かるしな・・・」
「そうか・・・(・・・この様子ではまだナタリアの事については話してはいないようだな。まだ本当にそうするべきかどうか、悩んでいるとも取れるが・・・これ以上はやはり本人達から聞かねばならんか。又聞き話だけで済ませてよさそうには思えんからな)」
そのまま何気無いような会話で気楽なように話を進めていくのだが、明るく言ってはいるが中身がアッシュとナタリアの良くない事を指しているだけにカノンは内心で考える。やはり直接行かねばならないかと。
「・・・済まない。さっきはファブレには行けないと言ったがどうにも気になってきてしまった。この後ファブレに寄らせてもらうようにしよう」
「・・・そうか?なら俺が付いていこうか?」
「いや、いい。お前の言うことが本当なら今でも俺が行けばファブレは俺を受け入れてくれるんだろう。それにお前は休暇中だ。無理に付き合わせても悪い」
「気にしなくてもいいんだがな・・・まぁいい、そういうことなら構わんさ。お前に会えただけでも俺としては嬉しかったしな」
「そう言ってくれると助かる。その礼としてここは俺が払おう」
「おっ、悪いな」
そして改めてカノンがファブレに行くと男に告げると同行を申し出るが、大丈夫と言って奢ることを伝えれば男は心からの笑顔を浮かべる・・・それはカノンと良い関係を結べているからこその物だった。
・・・それからカノンは少ししてから男と別れ、上の階層のファブレ邸に向かった。
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