聖闘士の手より離れた世界

「話は済んだかい?」
「あっ、カミュさん・・・すみません、私達だけで話をしちゃって・・・」
「構わないさ。私も聞きたい話だったからね」
カミュがそこに見計らったように声をかけるとアニスは慌てて頭を下げるが、気にしてないと微笑しながら首を横に振る。
「・・・あ。つーか普通に聞き忘れてたんだけど、ティアってどうなったんだ?謡将達と同じように処分したんだっけ?その辺り聞いてなかったから分かんないんだけど・・・」
「あぁ、ティアですか・・・ヴァン達と共謀ではないのでどうするかという話になったのですが、結果としてヴァン達と同じ時に処刑しました」
「・・・結果として?」
ルークはそこで唐突に思い出したようにティアの事を聞くのだが、イオンが意味深に返す様子に首を傾げる。
「かつてヴァン達の処分を決めた後、トリトハイム達も交えてティアに話をしたんです。彼女がしてきたことの責任の行方について、改めて明らかにするために・・・ですが会談の時にヴァンや市長などに言われていたことを受けた影響のせいか、まともな話をする事が出来なかったんです。元はと言えばあの二人が私に何も教えてくれなかったのが悪かった、だから私は悪くない・・・僕達が改めてやって来たことの責任について言う度にその一点張りだったので、話が出来るような状況ではないと判断した僕達は彼女に減刑も兼ねた神託の盾として再び活動する機会を設ける事はせずに処分をしようと決めたんです。そうしたなら罪は無くなって自分は正しかったのだと勝手に解釈する事もですが、会談で決まった話してはならない事を口止めしても場合によっては激昂した時に口にしかねないという懸念がありましたので・・・」
「あぁ・・・まぁそんな状態を考えると、あいつ自分の事を悪く言われた瞬間キレそうだもんな。それこそ私は悪くないって」
「はい・・・幸いに、と言うべきかは分かりませんがティアの行動の数々は処分をするには十分な理由でしたからね。ですのでヴァン達と同じ時に一斉に処分しました」
「成程、だから結果としてか」
イオンはその訳についてを詳しく説明していき最終的に処断する以外の決断がなかったと言い、ルークも納得して頷く。
「・・・ふむ、全て順風満帆という訳ではないようですがダアトは問題はないようですね」
「えぇ、僕がいなくなっても大丈夫だと思います。マルクトも概ね同じような物だと思いますから、後はキムラスカがどうなるか次第・・・と言った所でしょうね」
「・・・どうなってるのかな、兄上は・・・」
カミュはそこまでの話を聞いてダアトは大丈夫と言うが、イオンがキムラスカの事を口にした事にルークはカノンの方へと思いを寄せる。


















・・・マルクトとダアト、この二つのサイドから不安視されているキムラスカ。その首都のバチカルに一人で向かったカノンへと場は移る。



「すまないな、休日にわざわざ」
「気にするな、むしろ久しぶりにお前に会えてよかったぜ。カノン」
バチカルのとある店の中、フード付きマントを着用してフードを下ろしたカノンと同じ年頃くらいの茶髪で爽やかな顔の男がテーブル越しに談笑していた・・・今カノンと話している男は白光騎士団の一人で、ファブレで働いている時に仲良くしていた人物である。
「でもどうしたんだ?お前なら今でもファブレ邸に行けばいつでも歓迎してくれるはずなのに、わざわざ俺に話し掛けてくるなんて・・・」
「流石に一度辞めた職場に堂々と行くほど俺も面の皮は厚くないさ。ただそれでもキムラスカの近況が気になったから様子を見に来たんだが、そこにお前がいたからな。だから旧交を暖める傍ら、世間話をしてみたいと思って声をかけさせてもらったんだ」
「成程、そういうことか・・・」
だがそこで男が何故ファブレに来ないと疑問に首を傾げるが、カノンの自然な笑みからの流すような答えに納得の声を上げる。










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