聖闘士の手より離れた世界

「もしダアトを出るにしても、僕の身柄についてどうするかという話になったんです。旅に出るとは言ったんですが、一応導師として活動していましたからそれなりに僕も顔を知られていると言われ・・・せめて一定期間だけでももしもの事を考え、護衛をと願われたんです。そこで立候補してくれたのがアニスというわけで・・・」
「その時にも反対されたし、その後にも反対されたんですよね~。何があるのか分からないし、もう僕に無理に関わる必要はないんですって言われて・・・でも護衛が欲しいって事に変わりはなかったし、何より私が行きたいって思ったんです・・・イオン様と一緒に・・・」
「・・・へぇ~・・・」
そんな様子で互いにもじもじしながら話をする二人の様子に、ルークは曖昧な声を上げて追求せずに留める・・・この三年で関係が明らかに護衛とその対象から男女を意識した物へと変わったことがその様子から分かり、下手に先を聞けばその経緯を聞くことになると感じた為に。
「・・・では時期としていつ、ダアトから出るのかと言うのは決まっているんですか?」
「・・・それは三月程後に予定しています。この三年で大分ダアトも落ち着きましたし、これ以上僕が残ったらさっき言ったような事になりかねないと言われました・・・ちょうどいい潮時だと僕も思います」
「そうですね。引き際としては十分でしょう」
カミュもそこは突かずに話をダアトを出る時期に焦点を持っていき、イオンの真面目に引き締めた表情からの返答に妥当と返す。
「ま、それは分かった。ただこれを聞くのはちょっとどうかとは思ったけど、あの後って謡将達の一派の神託の盾とか何か起こさなかったのか?兄上達が倒したのが全部だったかどうかとか、その後始末についてとか聞いてなかったんだけど・・・」
「その事についてですか・・・」
ルークはそこで話を打ち切るようにヴァン達についてを少し気まずそうに口にし、イオンも少し表情を固くする。もう終わったこと、特にイオン達からしたら思い出すと面倒な事だった為に。
「・・・分かりました。皆さんにはお世話になりましたのでお伝えしますが、ヴァン達はあの後に正式に裁くようにしました。その中でディストと、後はアリエッタもと言っていいのか・・・とりあえずその二人以外は助命の嘆願をされることもありませんでしたので、先にヴァン達を裁く事になりました。と言っても事が事だった為、配下の神託の盾共々処刑する以外の判決を下せませんでしたが・・・ヴァン達も妙な形で情けをかけられるようなことを望んではいなかったと思いますから、これでよかったと思っています」
「・・・ディストとアリエッタには一体何があったんだ?特になんかアリエッタは違うみたいに言ったけど・・・」
「ディストは助命の嘆願だったんですが、アリエッタはその・・・泣き崩れて、まともに話を聞けないような様子だったんです・・・説明すると元々彼女は被験者の導師守護役をしていて被験者に心からなついていたらしいんですが、被験者の死で導師守護役を外され、ヴァンに声をかけられ六神将になって・・・それでヴァン達が行動する中唯一事情を正確に理解してなかったことに加え、僕に裁かれると聞いて泣き崩れてしまったことにどうするかとなったんです・・・どう裁くのかとね・・・」
「・・・あ~、確かにそう聞くとどうするかって気持ちになるの分かる気はするな・・・特にアリエッタが泣いて何も言えないってのが判断しにくい理由だし・・・」
イオンはそこから覚悟を決めてヴァン達についてを話すが、ディストはともかくとアリエッタのことを苦い様子で詳しく話すとルークも頭をかきながら同情する。









7/32ページ
スキ