聖闘士の手より離れた世界
「その様子ではこの三年は有意義に過ごせたようですね、お二人は」
「えぇ、色々と忙しくはありますがその分やりがいを感じています」
「そういうカミュさんはあまり変わってないように見えるんですけど・・・ルークはちょっと変わったみたいだね」
「ま、それなりにな」
カミュがその様子を軽く口にして四人で会話するのだが、アニスのしみじみとした声にルークもまた笑顔で返す・・・そう、三年経ったルークの姿は前と大分違っていた。三年前に着ていた貴族の服ではなくスニオン服を着ているのもあるが、それ以上に精悍でたくましさを感じるような顔つきになっていることで。
「でも意外だったかな~。ルークだったらカノンさんに付いてってキムラスカに行くって思ったのに」
「流石に今俺がキムラスカに行くとまずいって思ったし、兄上達にも言われたんだよ。変にアッシュに見つかるような事になったら面倒だってな」
「・・・あぁ、アッシュですか・・・」
そんなルークに楽しそうに話し掛けるアニスだが、アッシュの名にイオンが辛そうに表情を歪めてカミュが眉を上げる。
「・・・何かありましたか、導師?アッシュの事で表情が変わりましたが・・・」
「・・・えぇ、少し・・・僕は一応立場としてはまだ導師なので両陛下に比べても自由もありますし、色々と動き回れるのですが・・・キムラスカに行った時、あまり彼の事を聞かなかったんです。僕もルークに彼の事情は知っていますから旅から会ってないからどうしているのかと慎重に事情を聞いてみたのですが、それで彼の事を聞いてもどうにもいい返事が返ってこなかったんです・・・」
「それは・・・」
「私も一緒にキムラスカに行ってたから嘘じゃないですよ~。ただアッシュについて聞くと貴族の人達皆なんとも言いようがない表情して言葉を濁してたから、あんまりよくないって簡単に想像ついちゃうんですよね・・・」
「・・・そうか」
すぐに訳を聞くカミュにイオンは複雑そうな表情で会話を交わし、アニスの補足を受けてそれ以上先を促すことなく事実を受け止める。
「・・・多分カノンさんなら今キムラスカがどのようになっているのか、僕達より詳しく聞けるかもしれません。色々言いましたが僕はあくまでダアトの人間ですから、必要以上に事情を聞ける立場にありませんし・・・」
「そうですか・・・ではその話についてはカノンから聞くことにして、現在のダアトについてを教えてはいただけませんか?まだ導師と自身でおっしゃっていた事から、以降は違うと言うようなニュアンスに聞こえましたが・・・」
「あぁ、そのことですか・・・」
イオンが続けてこれ以上は分からないと口にした為、カミュは話題をダアトについてを聞くために変更してそちらに気をやらせる。
「確かにその通りです・・・今の僕はまだ導師としてダアトの代表でいますが、それはあくまでローレライ教団の存在の意義が無くなったための処置なんです・・・元々ローレライ教団は預言の実行の為にあったような教団ですが、それでもその名の元に人々が集まり生活してきたのも事実。それがいきなり預言を詠まなくなったから教団を即刻解体して、これから貴方達は自由だから勝手にしてくださいではあまりに身勝手ですからね」
「だからこの三年は導師としてその後始末をしてきた、というわけですか。教団が教団としての意味を無くしてしまった為に、導師として出来ることをしようと」
「はい・・・皆さんがこの世界から元の場所に戻ってからしばらくして、人々から次第に預言があったこれがよかったという声もあればダアトや神託の盾にいる意味を見出だせないと言った声も上がってきたんです。そういった人々の悩みをどうにかするために」
「そういった人達の受け入れの為にキムラスカやマルクトに行ったりもしましたからね・・・働き口をどうにか出来ないかとか、色々相談したりとか・・・」
「ふふ・・・確かに大変そうだが、それでも充実しているように思えるな」
「えっ、そうですか?」
「あぁ、今の二人の姿を見ているとそう思うよ」
イオンはそこからダアトの状況に加え自分達のやっていることを告げ、アニスもそこに加わるのだが大変だと言うような口振りとは裏腹に笑顔を見せる姿にカミュは満足そうに微笑む。
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「えぇ、色々と忙しくはありますがその分やりがいを感じています」
「そういうカミュさんはあまり変わってないように見えるんですけど・・・ルークはちょっと変わったみたいだね」
「ま、それなりにな」
カミュがその様子を軽く口にして四人で会話するのだが、アニスのしみじみとした声にルークもまた笑顔で返す・・・そう、三年経ったルークの姿は前と大分違っていた。三年前に着ていた貴族の服ではなくスニオン服を着ているのもあるが、それ以上に精悍でたくましさを感じるような顔つきになっていることで。
「でも意外だったかな~。ルークだったらカノンさんに付いてってキムラスカに行くって思ったのに」
「流石に今俺がキムラスカに行くとまずいって思ったし、兄上達にも言われたんだよ。変にアッシュに見つかるような事になったら面倒だってな」
「・・・あぁ、アッシュですか・・・」
そんなルークに楽しそうに話し掛けるアニスだが、アッシュの名にイオンが辛そうに表情を歪めてカミュが眉を上げる。
「・・・何かありましたか、導師?アッシュの事で表情が変わりましたが・・・」
「・・・えぇ、少し・・・僕は一応立場としてはまだ導師なので両陛下に比べても自由もありますし、色々と動き回れるのですが・・・キムラスカに行った時、あまり彼の事を聞かなかったんです。僕もルークに彼の事情は知っていますから旅から会ってないからどうしているのかと慎重に事情を聞いてみたのですが、それで彼の事を聞いてもどうにもいい返事が返ってこなかったんです・・・」
「それは・・・」
「私も一緒にキムラスカに行ってたから嘘じゃないですよ~。ただアッシュについて聞くと貴族の人達皆なんとも言いようがない表情して言葉を濁してたから、あんまりよくないって簡単に想像ついちゃうんですよね・・・」
「・・・そうか」
すぐに訳を聞くカミュにイオンは複雑そうな表情で会話を交わし、アニスの補足を受けてそれ以上先を促すことなく事実を受け止める。
「・・・多分カノンさんなら今キムラスカがどのようになっているのか、僕達より詳しく聞けるかもしれません。色々言いましたが僕はあくまでダアトの人間ですから、必要以上に事情を聞ける立場にありませんし・・・」
「そうですか・・・ではその話についてはカノンから聞くことにして、現在のダアトについてを教えてはいただけませんか?まだ導師と自身でおっしゃっていた事から、以降は違うと言うようなニュアンスに聞こえましたが・・・」
「あぁ、そのことですか・・・」
イオンが続けてこれ以上は分からないと口にした為、カミュは話題をダアトについてを聞くために変更してそちらに気をやらせる。
「確かにその通りです・・・今の僕はまだ導師としてダアトの代表でいますが、それはあくまでローレライ教団の存在の意義が無くなったための処置なんです・・・元々ローレライ教団は預言の実行の為にあったような教団ですが、それでもその名の元に人々が集まり生活してきたのも事実。それがいきなり預言を詠まなくなったから教団を即刻解体して、これから貴方達は自由だから勝手にしてくださいではあまりに身勝手ですからね」
「だからこの三年は導師としてその後始末をしてきた、というわけですか。教団が教団としての意味を無くしてしまった為に、導師として出来ることをしようと」
「はい・・・皆さんがこの世界から元の場所に戻ってからしばらくして、人々から次第に預言があったこれがよかったという声もあればダアトや神託の盾にいる意味を見出だせないと言った声も上がってきたんです。そういった人々の悩みをどうにかするために」
「そういった人達の受け入れの為にキムラスカやマルクトに行ったりもしましたからね・・・働き口をどうにか出来ないかとか、色々相談したりとか・・・」
「ふふ・・・確かに大変そうだが、それでも充実しているように思えるな」
「えっ、そうですか?」
「あぁ、今の二人の姿を見ているとそう思うよ」
イオンはそこからダアトの状況に加え自分達のやっていることを告げ、アニスもそこに加わるのだが大変だと言うような口振りとは裏腹に笑顔を見せる姿にカミュは満足そうに微笑む。
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