聖闘士の手より離れた世界

「・・・すまんな、話を変えよう。と言ってもそちらが何か気になる話があるかどうかだが・・・」
「そうですね・・・ではピオニー陛下自身は現在の国交についてどう感じられているのでしょうか?おおよそキムラスカにダアトとの関係は悪くない物という見当はついてはいますが、個人としてはどのようにお考えですか?」
「俺個人、か・・・」
ピオニーは自身で微妙な空気にしたと感じていたのかすぐに話題変更についてを切り出すと、アイオロスの質問に考え込む。個人としての意見を求める声に。
「・・・分かった。お前達ならみだりに人に言い触らすこともないと信じた上で言うが、ダアトはまだいいだろう。預言にローレライという二つの信じる物を失った代償はでかいが、その分の対価として自由・・・と言ってもいいものか、とにかく変わるための機会に恵まれることとなった。そしてそうやって変わろうとするために導師達がいて、いい形で奔走しているという話は聞く・・・だが、その一方で俺はどうしてもキムラスカの方に不安を覚えるんだ。今はともかくとしても、これからの事を考えるとな。そしてその理由は・・・おそらくお前達の思う通りだ」
「・・・敢えてこの名で言うならアッシュ、でしょうか?」
「・・・そうだ」
少しして決心したよう話をするピオニーだが、キムラスカの部分で苦い様子で言葉を投げ掛ける姿にアイオロスが率直に察して敢えて名をアッシュとすると重く頷く。
「アッシュについてはこちらに情報として流れて来ることはないが、三年前の話に聞いた限りでは性格の矯正と言うのは相当に難しいだろう。現に今日まで『ルーク』という名を国を越えて朗報という形で聞いたことがないんだ」
「・・・成程、次期王である筈のアッシュの活躍が聞こえないということはそれだけの理由がある・・・と言うことですか」
「・・・そうだ」
ピオニーは続けてアッシュの現状に関してを自分の立場から言えることを言い、不安を感じている理由を察したとばかりのデスマスクの伺うような声にまた重く頷く。
「おそらく今、アッシュは色々と試されているんだろう。王として相応しい能力かだとか、人格なども含めてな・・・だがそれらに関していい意味での噂が聞こえないことが、ある意味で危惧を裏付けしているように思えるんだ。こう言った場合、多少成績が芳しくなかろうと立派に活躍していると喧伝するのが大体の例と言えるからな・・・」
「・・・このような言い方は失礼と承知で言うなら、キムラスカは張るための見栄すら見せれないと言うことでしょうか?」
「・・・おそらく、だがな」
その上でアッシュの身の上もだが貴族としての体面を守るための行動をピオニーが引き合いに出すと、デスマスクが率直にキムラスカの思っているだろう内情を口にしたことに再三頷いて返す。
「・・・まぁこの事はあくまでも俺の推測でしかないから鵜呑みにしてほしくはないが、カノンがキムラスカに行っているというならその答えについては少なからずお前達も聞くことになるだろう。カノンが聡いということはよく知っているし、公爵との仲も悪くなかった事からまず間違いなくな」
ピオニーはそこから首を振り後はカノンが知るだろうと言い明言を避ける。これ以上話す事はないとばかりに・・・

















・・・そんな風にアイオロスとデスマスクがグランコクマにいる頃、同じようにカミュとルークはダアトに来ていた。



「そうですか・・・他の三人はキムラスカとマルクトに・・・お会いしたかったんですが、残念ですね・・・」
「そうですね、イオン様」
導師の私室にて、三年も経ち成長した姿を見せるイオンとアニスの前に来たカミュとルーク。目の前の二人のやり取りにカミュとルークは共に穏やかな笑みを浮かべている。










4/32ページ
スキ