世界の確かな歩みが始まる

・・・そして場は変わり、グランコクマにて。宮殿前の広場でダアトのアイオロスと同じよう話の場にいたカミュがある変化に気付く。



「・・・むっ、絶え間無く第七音素を循環させていたプラネットストームの音素の流れが・・・変わった・・・?」
「・・・確かに変わったな。今まで音素の流れが途絶えることが無かったのに、それがどんどんと薄まっていっているように見える・・・もしやこれが、プラネットストームを止めた影響か?」
「おそらくそうだと思います。そしてもうしばらくしたなら、音素の流れも完全に見えなくなる事でしょう」
‘‘‘‘・・・ワァッ!’’’’
話を終えてしばらく集まった人々の前で待機していたピオニー達。そんな時にプラネットストームの方を見たカミュからの言葉にピオニーも確かにと色素の薄まった音素の流れを目にして頷き、これが止めた結果だろうと拡声器越しに口にすると人々は歓喜に満ちた声を上げた。障気が世界に満ちる可能性はもうないと、そう希望を見出だしたような様子で。
「・・・では私はすぐに連絡を取り次第、ここを出ます。あまり遅くなれば四人を待たせることになりかねませんので」
「あぁ、分かった。今まで世話になった、改めて礼を言おう」
そんな光景を横目にそっと拡声器から離れてピオニーに静かに話しかけるカミュに、そっと返す。これでカミュとも最後の別れになることで。









「・・・今三人から連絡が来た。プラネットストームの様子が変わって目に見えて音素の流れが弱まったそうで、おそらく後数時間もすれば完全に音素も消えてなくなるだろう」
「じゃあ後はパッセージリングを壊していけば終わりなんですね、兄上」
「あぁ、そうだ・・・少し離れていろ、今からパッセージリングを破壊する」
「はい」
また場は戻ってラジエイトゲートで、パッセージリングの制御盤の前に戻ったカノン達。そこでカノンの言葉にルークは笑顔を浮かべるが、真剣にパッセージリングに視線を向ける姿に同じく真剣な表情で素直に後ろに下がる。
「・・・さて、二度とプラネットストームの復活などさせんようにするためだ。正真正銘の全力で放とう、双子座最大の奥義を!」
「あれは、双子座の聖衣が・・・兄上に・・・!」
そして両手を交差して上げ高らかに宣言をすると共にカノンから膨大な小宇宙が溢れ出すと共にカノンの上から聖衣が異次元空間から姿を現し、その身を瞬時に包んだ。



「ギャラクシアンエクスプロージョン!」



「・・・っ!」
・・・そして次の瞬間、カノンが両手を向けてギャラクシアンエクスプロージョンをパッセージリングへと放った。
ルークはその光景に声を失った・・・一度目に見た時は暗示によりロクに見ることも出来なかったが、銀河が爆砕するビジョンがパッセージリングにと幻想的な光景とは裏腹に極めて暴力的に襲い掛かる光景に。
‘ドオォォォンッ!’
「うわっ!?」
‘ガラガラガラ・・・’
・・・そして天地をつんざいたかのような音の後、二千年あまりもの間その形を保っていた筈のパッセージリングがギャラクシアンエクスプロージョンを受けた部分を中心として、一気にひび割れてガラクタとなって地に落ち出す。ルークはその光景に驚き慌てるが、カノンは至って冷静にパッセージリングを見据えている。
「・・・見えたか、ルーク?これが正真正銘のギャラクシアンエクスプロージョン・・・速度こそ今のお前にも見えるようにと落としたが黄金の技で、俺達双子座の最大の技だ」
「・・・はい、兄上・・・改めて見てもうまく表現出来ないけど、すごいとしか今は・・・」
「・・・まぁ今はそれでいい。ではここを出るぞ・・・俺の担当はロニール雪山のセフィロトのみだから、そこを破壊したならそのままアブソーブゲートまで南下する」
「はい!」
そしてゆっくり振り向き聖闘士としての威厳を保たせた顔でカノンが声をかけると、ルークは驚きに満ちた様子ながらもどこか憧憬に満ちた声を漏らす様子にフッと顔を緩ませる。そして自分達の最後の行動方針を伝えて入口の方へとカノンは歩き出し、今度は嬉しそうに答えながらルークはその後を追っていった。












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