世界の確かな歩みが始まる

「・・・今お前が感じていることを忘れるな、ルーク。正義とは人によって違う・・・真実を知って尚、それを受け入れたくないと願う者が出ることは少なくない。しかしその考えに殉じ、誰よりも強い気持ちを持ったならそれはその者だけの正義となる・・・そう言った誤った個の正義の為に、多数を犠牲にするようなことを避けるように俺達が動かねばならんのだ。確固とした覚悟と共に、何が平和の為になるのか・・・ということをな」
「・・・うん、兄上・・・」
そこにカノンが厳しいながらも確かな言葉を向ければ、ルークは複雑そうに頷く。今の状態としては頭では納得出来ても心がまだ納得出来ない、と言った所だろう。
「・・・今はまだそれでいい。とりあえずルーク、お前が今やれる事をやるんだ。この世界から障気を消すという役目をな」
「うん・・・でもそれを本当に俺がやれるのかな・・・話だけは聞いてはいたけど・・・」
『心配はいらん。我がサポートに付くから問題ではない・・・あまりアイオロス達を待たせる訳にもいかんだろう。時間もそうないことだから、ここで障気の中和に入るとしよう。では鍵を抜いてくれ、ルーク』
「・・・あぁ!」
カノンはそこで一端話を打ち切り障気の方に話題を行かせるとルークは自信無さげに表情を曇らせるが、ローレライの言葉に表情に力を戻し鍵を腰元の鞘から引き抜く。
「じゃあローレライ、頼む・・・!」
『あぁ、では天に向けて鍵を掲げてくれ。障気の中和に必要な第七音素は十分に溜まっている。後は我の声に従い集中して力を使ってくれ』
「あぁ・・・!」
ルークは鍵に語りかけるようにしながら話し掛けローレライの返事に従い鍵を両手で持ち上げ掲げると、鍵を中心として第七音素の光がルークを包む。
(・・・改めて見ると、確かに凄まじい力だ。アクゼリュス近辺での時も手加減していたとは言え、ギャラクシアンエクスプロージョンにある程度拮抗出来た。そして今こうやって集まった第七音素を純粋な破壊の方へと向ければ、純粋な威力はともかく規模は間違いなくギャラクシアンエクスプロージョンよりも上となるだろうな・・・)
その光景を端から見ながらカノンはそっと考える、第七音素の量から察しての超振動がいかに凄まじいかの目測についてを。
(そう考えれば謡将は明確にこの時に使おうとアッシュを求めていたのではなく、単に手元に力として置いておきたかったのもあるのだろうな。そして何らかのトラブルもしくは予想外のハプニングに対する対抗策として、いざという時に使うつもりだった・・・というのもあったのだろうな、今となっては本人に聞く意味もないが)
そしてアッシュを引き込んだ理由についてを改めて考えるのだが、前に聞いたような理由ではなくどちらかと言えば保険の意味合いが本音としてはあったのではと。
『・・・よし、準備は出来た。力を解放するのだ、ルークよ!』
「あぁ!」
「っ・・・!」
そう考えている内にローレライの声が響きルークも応えた瞬間辺りを光が包み込み、カノンはその眩さにたまらず腕で光から顔を隠す。









「っ!・・・あれは・・・」
「どうやら障気を消滅させることに成功したみたいですね・・・」
‘‘‘‘ワアァァァァァァッ!’’’’
その数秒後、ダアトにいた人達はイオンとアイオロスの言葉から大聖堂の窓の外に広がっていた光景を目にして歓喜した。窓の外に見えていた紫色の景色が一気に元のように青く染まったことに。
「後はローレライが音譜帯に行くのと、プラネットストームの停止を待てばそれで終わりですね」
「はい、そうなります」
イオンもそれで心なしかホッと安心したような様子に声を上げ、アイオロスも同意する。








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