世界の確かな歩みが始まる

「さて・・・皆さん、再度お集まりいただき誠にありがとうございます」
ダアトの大聖堂の中、ザワザワ騒ぐ人々の前で壇上に立ったイオンが人々に語りかける。
「外殻大地の降下から三日・・・この三日で皆さんも十分に分かったと思います。障気がいかような物なのかを。今はまだ目立った被害が出たという報告はありませんが、これ以降となれば続々と体調を崩す人が出てくるでしょう・・・それは私も例外ではありません」
‘‘‘‘・・・’’’’
その上で障気の危険性は自分にも平等だと語るイオンに人々はピタッと騒ぐのを止める。今にも自分の体に命までも蝕むかもしれない驚異を改めて前にして。
「その上で尚、プラネットストームの維持をと願う方がいるのでしたら今この場で申し出てください。この大聖堂に入れなかった方々には詠師トリトハイムが私と同じように外で話をしていて、同じように呼び掛けているでしょう・・・今から10分程待ちます。その間に多数の人がプラネットストームを止めることに反対するとの意見がなかったなら、キムラスカとマルクトでこちらにいるアイオロスさんの仲間である二人からローレライを通じて同じように反対する意見がなかったと報告が来た場合に、すぐに障気を消滅させた上でプラネットストームの停止に取り掛からせていただきます・・・では少し私は待たせていただきます。出来ればその間はそう言った方々の為にも静かにお待ちください」
‘‘‘‘・・・っ!’’’’
そんな静かな場にイオンの説明の為の声が大聖堂に響くのだが、その中身を受けて黙ろうとしたのだが黙りきれずに再び人々はザワザワとし出す。プラネットストーム継続を望む者達には出てきて欲しくはない・・・そう言った気持ちを抑えようとはするがたまらず周りに語りかけずにはいられないといった形で。



「・・・後は10分程待つのみですね」
「はい、今この場で抗議の声を上げる者はいないと思いますが・・・武力行使をしてきた場合はそういった人々の制圧をした上で、そう言った方々の危険性をアピールする事はお忘れなきよう」
「・・・分かっています、それは」
そんな人々を尻目に後ろに下がりアイオロスにだけ聞こえるよう横を向かずに話しかけるイオンだが、返ってきた答えに弱冠表情を苦くしながら言葉だけで返す・・・ハナから大多数の反対派が来るような事態でもなければ強行してプラネットストームの停止に踏み切るつもりでいるカノン達だが、力ずくで来られるような事態も想定していない訳ではない。故にもし武力行使に踏み切る輩が現れた場合は即刻制圧の上で、全力で悪者としての槍玉に上げる・・・そう会談で決めていた為に、イオンはそうならないようにと願っていたのだ。









・・・そんな風にもしもの場合の事をイオンは懸念していたのだが、特に騒ぎも何も起きることもなく10分の時間が過ぎた為にイオンはまた拡声器の前へと向かう。後ろから付いてきたアイオロスと共に。
「・・・10分が経ちました。これまでの時間で表の詠師トリトハイムからも特に連絡がありませんでしたので、このダアトではプラネットストームの停止に賛同する事になりました」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
そのまま拡声器に結果を告げるイオンに、心なしかホッとしたような響きの吐息が人々から聞こえてきた。やはり命の危険に際する事だからこそ、安全に寄り掛からざるを得なかったようだ。
「それでですが、今からアイオロスさんにキムラスカとマルクトの様子についてを聞いていただこうと思います。では・・・お願いします」
「はい、少々お待ちください・・・」
続けてイオンがキムラスカとマルクトについてを聞いてもらうと言うと、アイオロスはそっと集中するよう目を閉じる。












25/31ページ
スキ