・・・それでカノン達は客室に通された。



「・・・失礼するぜ」
「陛下・・・またこのような形で我々の部屋に来るとは・・・」
「気にするな、この１回がこうやってお前達に会う最後の機会だ」
「むぅ・・・」
そこにピオニーが入室してきてカノンが対応するが、当人が真剣に話をする様子にそれ以上は言葉を挟まずに唸るに留める。
「・・・まずは感謝を伝えに来た。お前達が来なければ今頃はキムラスカとマルクトで戦争が起き、被害も尋常ではなかっただろうしパッセージリングの危機についても後手に回りヴァン達の暗躍を止められたかどうか危ういと言わざるを得なかっただろう・・・それらを止めてくれたことにマルクト皇帝として、一個人として感謝する」
「いえ、こちらもこちらの考えがあっての事ですからそこまで気になさらないでください」
「・・・陛下の言葉が嘘偽りでないことは分かります。ですが他にまた何か、言いたいことがあるのではないのですか？」
「・・・あぁ、確かにその通り・・・あえて伝えられてもそちらは嬉しくはないだろうが、お前達に関わりがあったジェイドの事についてもな」
それで礼の言葉と共に下げられた頭にカノンは首を横に振るが、カミュから他の目的があるのではと言われ顔を上げてジェイドの事と告げる。
「それでジェイドについてだが、お前達に助言されたよう臣民達にどうするべきかと話をした・・・その結果として研究職についてもらうことに全員が賛同した。おそらくそいつらもジェイドに対しての不満と言うか、思う所があったんだろうな。タルタロスの件は別としてもだ」
「・・・それで、その後はどうなったのですか？」
「この事を俺から直接言ったり様子を見に行くなどすれば面倒になりかねないからとゼーゼマンから処置を伝えてもらった上で、その様子を聞く限りでは今のところは仕事に従事しているらしい。ただそれがどれだけ持つかは分からんとのことだ」
「・・・まぁ大佐の性格を考えりゃ全く有り得ないって訳でも無さそうですが、どっちでも問題なさそうではありますがね」
「何？お前は俺達とは別の見方でもあるというのか、デスマスク？」
そのままジェイドについてを話すピオニーはカミュの質問に答えた後のデスマスクの言葉に、どういうことかと眉を寄せる。
「簡単に言ってしまうなら、大佐殿が自分の不満を陛下に直接言うほどの行動を起こすかと言うことです。大佐殿の性格としては自分から行動を起こすとは思えません。余程不遇をされていると感じなければ自分から口出しするのはみっともないとでも感じ、仮に何かを言ったとしても直接ではない遠回りな表現で何かを言うくらいでしょう。予想して言うなら不満はないけれど、自分はここにいるべき人間なのでしょうか・・・と言った程度の事を」
「・・・成程。そう言われればジェイドの性格なら、確かに余程じゃなければ直接何かを言うとは考えにくいな。その上で俺にまで直接何かを言いに来ると言った行動はあいつのプライドから考えればまず考えにくいだろう・・・元々から自分から行動するようなタイプでもないしな」
「まぁ下手に待遇を悪くさえしなければ、滅多なことでは不満を言いに来る事はそうはないでしょう。その辺りはこちらの関与する事ではありませんが」
「いや、確かにデスマスクの言う通りだ。ジェイドに対してはそういった方向で行こうと思う、これからの為にもな」
デスマスクはそう思った理由にジェイドの性格に考え方があると言い、ピオニーはその中身に頷く。取るべき処置として妥当だと。











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