世界の確かな歩みが始まる
「・・・ではすみませんが、我々はバチカルに向かわせていただきます。出発しなければその分遅れる事になりますから」
「・・・分かりました。では次に会う時をお待ちしています。もっとも、その時が僕達と貴方達の最後の時になると思いますけれど・・・」
「はい・・・では」
そこで場の流れを打ち切るよう退出を切り出すカノンにイオンは頷きつつも最後と言い、それに同じように頷いてから一同は部屋を出ていく・・・そう、もう次が終わりなのだ。イオン達と会う事は。
「・・・少し寂しくなりますね」
「はい・・・でももうあの人達に頼ってばかりもいられませんし、私達がしっかりしないと・・・!」
「そうですね・・・!」
それを理解しているからこそ寂しいと顔に出すイオンにアニスが頑張るよう笑顔で言えば、その通りだと笑顔を浮かべた。
・・・そんな中でカノン達は人混みを避けるように隠れながら動き、ダアトの街を後にして港へと辿り着き船に乗った。
「これで後はバチカルにグランコクマと移動して同じような事をやっていきゃよし、か。ま、特に問題はねぇだろ」
「そうだな・・・余程の事がなければまず失敗はすまい」
「後は確実に事を済ませていくだけだ」
船の一室で各々椅子に座ってゆっくりとする中、デスマスクにカミュにアイオロスと今後の事は余程の心配はないだろうと話す。
「300・・・301・・・」
「・・・」
「・・・んで、あっちはちゃんと鍛練中ってな。熱心だね、全く」
そんな三人とは別に部屋の片隅で大粒の汗を流しながら腕立て伏せをするルークとそれを無言で見詰めるカノンを見て、デスマスクはおどけたような笑いを浮かべて肩をすくめる。ルークが本気であると共にカノンもそういった気持ちを掬い、厳しくも確かな暖かさを持って空き時間だけとは言え指導をしていることに。
・・・そんな風にダアトを出立した一同は数日を使い、バチカルへと辿り着いた。
「では俺達は城にまで向かう。お前達は宿で過ごしていてくれ」
「あぁ、後は頼む」
湊に着いて宿前に来たカノン達だが、そこにはルークとカノンのみがフードマントを着た形でいた。そんな二人と会話を交わしたアイオロス達は頭を下げる二人を背にして、上の階層へと向かう。
・・・そしてすぐに最上層に来たアイオロス達はファブレ邸に向かい、公爵を呼んで待っていた。
「・・・済まないな、待たせた」
「いえ、気になさらないでください」
そこに屋敷の中から出てきた公爵にアイオロスは気にしてないと首を振る。
「では早速城に向かおう・・・と言いたいところだが、カノン達はバチカルにいるのか?」
「はい・・・何か言伝てでもございますか?」
「いや・・・少し『ルーク』が会いたいと言うか、会わせろと言ったように言っていたのだ・・・特にその、もう一人の方にな・・・」
「成程・・・」
それですぐに城にと言う前にカノン達の事を聞いてきた事にアイオロスは訳を聞くが、言葉を濁してアッシュがルークに対して会う気持ちを持っていると口にしたことに納得する。
「・・・申し訳ありませんが、もうそちらは進んで会う気はないと言っています。それに会いたいという理由についても大方ですが、想像は出来ます・・・本人に確認を取らずにこのようなことを言うのはどうかとは思いますが、下手に会わせればまた不満が出た時に不満のはけ口として会わせろと言われかねません。我慢と言うか、もう忘れるようにとおっしゃってください」
「・・・わかった、そうしよう」
だからこそアイオロスは会わない方がいいとやんわり勧め、公爵は然程食い下がることもなく頷いた・・・二人を会わせればアッシュが気が済むだけでまた何か起きればルークに当たるだけ、そうなるくらいなら会わせない方がいいと言われた為に。
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「・・・分かりました。では次に会う時をお待ちしています。もっとも、その時が僕達と貴方達の最後の時になると思いますけれど・・・」
「はい・・・では」
そこで場の流れを打ち切るよう退出を切り出すカノンにイオンは頷きつつも最後と言い、それに同じように頷いてから一同は部屋を出ていく・・・そう、もう次が終わりなのだ。イオン達と会う事は。
「・・・少し寂しくなりますね」
「はい・・・でももうあの人達に頼ってばかりもいられませんし、私達がしっかりしないと・・・!」
「そうですね・・・!」
それを理解しているからこそ寂しいと顔に出すイオンにアニスが頑張るよう笑顔で言えば、その通りだと笑顔を浮かべた。
・・・そんな中でカノン達は人混みを避けるように隠れながら動き、ダアトの街を後にして港へと辿り着き船に乗った。
「これで後はバチカルにグランコクマと移動して同じような事をやっていきゃよし、か。ま、特に問題はねぇだろ」
「そうだな・・・余程の事がなければまず失敗はすまい」
「後は確実に事を済ませていくだけだ」
船の一室で各々椅子に座ってゆっくりとする中、デスマスクにカミュにアイオロスと今後の事は余程の心配はないだろうと話す。
「300・・・301・・・」
「・・・」
「・・・んで、あっちはちゃんと鍛練中ってな。熱心だね、全く」
そんな三人とは別に部屋の片隅で大粒の汗を流しながら腕立て伏せをするルークとそれを無言で見詰めるカノンを見て、デスマスクはおどけたような笑いを浮かべて肩をすくめる。ルークが本気であると共にカノンもそういった気持ちを掬い、厳しくも確かな暖かさを持って空き時間だけとは言え指導をしていることに。
・・・そんな風にダアトを出立した一同は数日を使い、バチカルへと辿り着いた。
「では俺達は城にまで向かう。お前達は宿で過ごしていてくれ」
「あぁ、後は頼む」
湊に着いて宿前に来たカノン達だが、そこにはルークとカノンのみがフードマントを着た形でいた。そんな二人と会話を交わしたアイオロス達は頭を下げる二人を背にして、上の階層へと向かう。
・・・そしてすぐに最上層に来たアイオロス達はファブレ邸に向かい、公爵を呼んで待っていた。
「・・・済まないな、待たせた」
「いえ、気になさらないでください」
そこに屋敷の中から出てきた公爵にアイオロスは気にしてないと首を振る。
「では早速城に向かおう・・・と言いたいところだが、カノン達はバチカルにいるのか?」
「はい・・・何か言伝てでもございますか?」
「いや・・・少し『ルーク』が会いたいと言うか、会わせろと言ったように言っていたのだ・・・特にその、もう一人の方にな・・・」
「成程・・・」
それですぐに城にと言う前にカノン達の事を聞いてきた事にアイオロスは訳を聞くが、言葉を濁してアッシュがルークに対して会う気持ちを持っていると口にしたことに納得する。
「・・・申し訳ありませんが、もうそちらは進んで会う気はないと言っています。それに会いたいという理由についても大方ですが、想像は出来ます・・・本人に確認を取らずにこのようなことを言うのはどうかとは思いますが、下手に会わせればまた不満が出た時に不満のはけ口として会わせろと言われかねません。我慢と言うか、もう忘れるようにとおっしゃってください」
「・・・わかった、そうしよう」
だからこそアイオロスは会わない方がいいとやんわり勧め、公爵は然程食い下がることもなく頷いた・・・二人を会わせればアッシュが気が済むだけでまた何か起きればルークに当たるだけ、そうなるくらいなら会わせない方がいいと言われた為に。
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