世界の確かな歩みが始まる

「そう言っていただけるとこちらの身も引き締まる思いがしますが・・・本当にいいんですか?話に聞くと黄金聖衣という物は基本的に有事の際に着る物だとお聞きしていますが、それを儀式的な物として着用するのは・・・」
「はは・・・確かに見た目をよくする為に使用するのはどうかとは思うかもしれませんが、元々黄金聖闘士は任務の際には聖衣をまとうのが普通ですし常日頃から身につけていても問題はありません。そう考えればカノンの意志に従うのは任務と言えますし、そもそもを言うなら我々は地上の平和の為に戦うのが役目になります・・・だから場所が違うとは言えその目的が邪悪に染まっていないと言うなら、聖衣も協力してくれます」
「そう、なんですか・・・」
ただそこで聖衣を着る事についての是非を不安そうに問うイオンに、アイオロスは大丈夫だとその根拠を笑顔で語りなんとも言いがたい声を上げる。



・・・そう。発表の場において聖衣を着て事に挑むとカノン達は宣言したのだ、会談で話をした時に。

それはイオンに言ったように見た目を神々しくさせて、人々からしての見映えをよくするための物である。まぁ確かにそんな使い方をするのは聖衣を軽く見てるのではないかと思うかもしれないが、そもそも聖衣はまとう者を見定めれば余程道に外れた行動をしない限りは自らの意志のみで外れることはないし、戦闘時以外にも日常生活でも普通に着用して過ごす事は出来る・・・要は聖衣に認められさえすればある程度融通は効くのだ。聖衣を使うことについては。



「・・・でしたらこちらから言うべき事はもうないですね。三日後に呼びに来ますので、それまではまたゆっくりしていてください、では・・・」
それでイオンはそれ以上は突っ込まず会話を終わらせ、アニスと共に部屋を退出していった。
「・・・つーか俺は話に聞いたからイオン達より分かるつもりじゃいるけど、聖闘士の存在を公にしていいのかなホントに・・・」
「いーんだよ、別に俺達は聖闘士だなんて声高に叫ぶ訳でもねーんだしな。それに聖衣がどんなもんかなんて知ってる奴なんざそれこそお前くらいしかこの世界にいねーんだし、別に気にする必要もねーよ」
「あ~・・・確かにそうだよな、星座の概念なんて別にないし・・・」
二人が出た後にルークは再度聖衣の事について自分の視点で聞くが、デスマスクが気楽に大したことないと言った事に納得した。オールドラントでは意味のない心配なのだと。


















・・・そして三日後、ローレライの存在に預言の中身の発表の時が訪れた。



「・・・失礼します、っ!・・・もう着替えていたんですね、皆さん・・・」
「はい、手間の為の時間を取ることもですが聖衣を呼び出す瞬間を事情を知らない人に見られることを避けるために先に聖衣を着用しました」
「そうですか・・・」
イオンとアニスが一同を呼びに来たのだが、四人が揃って聖衣を着用しているという光景に驚きに止まる。その姿にヘッドパーツを小脇に抱えたカノンが律儀に理由を答えると、イオンはすぐに気を取り直して納得する。
「では大聖堂に向かいましょう。ローレライも準備はいいですか?」
『あぁ、問題ない。では行こう』
「はい、では付いてきてください」
そしてローレライに声をかけルークの手元の鍵から返答を聞き、イオンは振り返り先頭を歩いていく。






・・・部屋を出て大聖堂に向かったカノン達。そこで祭壇に向かうまでに見たのは、今か今かと話を聞こうとする大勢の人々が溢れかえりそうになる姿であった。







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