世界の確かな歩みが始まる

「・・・おそらくデスマスクの言ったようになる可能性は高いだろうが、話を聞いた感じなら導師から明日辺りにでも顔を出してきて報告が来るだろう。それまでは大詠師の事は忘れて過ごそう。こちらが色々考えても仕方のない事だからな」
「・・・そうだな、そうしよう」
そこにアイオロスがモースについてを話すことを止めるよう提案すれば、カノンはすぐに頷く。














・・・そして翌日、カノン達の部屋にイオンがアニスと共に訪れた。



「・・・昨日モースの状態についてをトリトハイム達に話し、様子を一緒に見に行きました。その時に話し合ったんですが・・・モースの処分は大詠師の地位を剥奪する、という物のみになりました。本来でしたら剥奪をするに伴い裁判などして、モースの罪状に処遇を明確にするつもりだったんですが・・・」
「当人の意識がハッキリしないため、裁判が出来なくなった・・・ということですか」
「そうなります・・・ただ、トリトハイム達は少しホッとしたような表情になっていました。多分モースの事を裁けるかどうかもですが、裁いてもその後問題なくいけるか・・・その事で不安だったのではと思います」
「成程・・・(導師はちゃんと大詠師に悔い改めて欲しかったのだろうが、それが難しい事も同時に理解していたのだろうな・・・だからこそここで内心を露にしている・・・)」
それでアイオロスの予想通りイオンからの報告を受ける訳だが、その複雑そうな顔にカノンは表向きただ納得するだけに留める・・・個人的な感情とメリットデメリットを量りにかけ、メリットを選んだからこそまだ割り切りきれない幼い心根は辛いのだろうと感じて。
‘ゴゴ・・・’
「っ、と・・・なんだ、地震か・・・?」
「・・・いや、もしかするとこの揺れはアクゼリュスが魔界に降下した時の揺れかもしれないな・・・」
「んじゃ俺がちょっくらアクゼリュス付近まで行ってくるわ。すぐ戻ってくるから待ってろ」
「あっ!・・・デスマスクさんが、消えた・・・」
「・・・やっぱり分かっててもどっきりしますよね。いきなり消えられると・・・」
そんな時に唐突に地面が揺れた感覚に一同が驚くのだが、カミュの言葉に反応してデスマスクがテレポーテーションで場を瞬く間に後にしたことにイオンとアニスは唖然としたようになりながら声を漏らす。



・・・そして数分後、結果が分かるまでここにいてはとの勧めもあったことでイオン達も待っている中でデスマスクがテレポーテーションで場に戻ってきた。
「「うわっ!」」
「戻ってきたか・・・どうだった?」
「ビンゴ。アクゼリュス付近の土地は本当に切り取られたかのように魔界に降下してってるぜ。後数時間もすりゃ完全に魔界に降りてっちまうだろうな」
「そうか」
ただ小宇宙を感じれない為にイオンとアニスは反射的に驚くのだが、構わず声をかけるカミュにデスマスクは淡々と予想通りと答える。
「・・・では数日をしばらく待って、舞台を整えればいいのですね?」
「はい・・・ちなみに聞くが、どれだけの規模でアクゼリュス付近の土地は降下した?」
「大方ディストの言った通りだ。人のいる街や村に被害はなかったし、キムラスカ側にマルクト側もアクゼリュスが降下することを見越して対応してるだろ。だからその情報はすぐにオールドラント中に回るのは間違いないはずだ」
「そうか・・・そしてその情報が浸透しきった頃を見計らい、行動する事になる・・・」
「これは失敗する訳にはいきません・・・!」
それで気を取り直したイオンがカノンに確認を取り、話を進めていく内に決意をみなぎらせていく。事が大詰めに来たことで。









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