世界の確かな歩みが始まる

・・・表向きは和平の為、その実はオールドラントの今後を左右する会談が終了して数日・・・カノン達は再びバチカルに、ではなくダアトに留まっていた。















「・・・今頃アフロディーテ達はどこにいんのかな・・・」
「俺達の移動速度に普通の人間は耐えれんし、導師の体調を考えればそう無理も出来ないだろうからな・・・どこかは分からないにしても、ゆっくりと確実に行軍していることだろう」
「そうか・・・」
あてがわれた部屋の中でルークの疑問の声にカノンが答え、納得する。



・・・さて、今状況がどうなっているのかと言うとカノンに最初からオールドラントに派遣された三人はダアトに待機で、アフロディーテにミロはヴァンとイオンとアニスと共に各地のセフィロト回りをしているのである。

何故そのようなことになったのかと言えば、アクゼリュスの事を人々に広めるには少し時間がかかる。その間に何か出来ないか、となって出てきたのが先にセフィロトの封呪を解除するというものである。

これに関してカノン達も納得した。封呪の解除をしておけばいざ外殻大地の降下をする際の手間の時間も省けるために。そしてもう一つ、先にそうせねばならぬ理由という物も追加された・・・それはダアトの近くにあるザレッホ火山の中にあるセフィロトに行って封呪の解除がどのようなものかと実践してもらった際、ダアト式封呪の解除をしたイオンの体調が一気に悪くなったことである。

その理由について自分は被験者と比べても遜色ない完璧なダアト式譜術を使える代わりに、体力が被験者に比べて著しく劣ったレプリカなのだとイオンは語った。ダアト式譜術を使えばかなり衰弱する程と。

その事実を聞いて尚のこと、カノン達は先にセフィロトの操作が出来るようにしなければならないと考えた。下手に先のばしにして急にセフィロトの操作をしなければならない切迫した状況に陥るより、余裕を持ってセフィロトの操作が出来る状況にする方がイオンの安全の為にも必要な事であると。

それで話を進めていく内にアフロディーテとミロの二人がイオン達と共にセフィロトの封呪の解除に向かうことになったのだ。ここは自分達が行くべきだと。



「ま、あいつらもこれが終わりゃ地球に戻るっつってたからな。障気に体を蝕まれるだろう謡将殿の面倒を見る必要もそれで無くなるだろうしな」
「そうだな・・・そこから先は我々が行うべき事だ」
「でも本当に大丈夫なのか?その・・・外殻大地を降下した後だから大丈夫って言っても、各地のパッセージリングを壊して回るって・・・」
『いや、むしろそうした方がいい・・・魔界に降下させた後に外殻大地を再び空へ浮かせるのは理論上では可能だが、パッセージリングの状態からそれも長くは持たないだろうし・・・まず有り得ぬだろうが、もし預言や第七音素惜しさにプラネットストームの再建など達成されてしまえば厄介と言うしかない。下手にプラネットストームにセフィロトを抑えられてしまえば魔界に再び外殻大地を降ろす事も出来なくなり、障気が復活しかねん。そうさせないために一番効果的なのは二度と使えない程破壊するのが確実だ。下手な封印を施すよりな』
「そうか・・・」
デスマスクにカミュはその作業が終われば二人が帰ることを口にするが、そこでルークが不安だとパッセージリングの破壊についてを改めて問う声に鍵に宿るローレライが必要性を語ると重く受け止める。



・・・そう、実は会談の終わり際の際に話が出てきたのだ。もしプラネットストームの復活を企てようとしたら出来るのかと。

その時にローレライは手順を踏んで鍵があれば可能と言いはしたが、手順をすっ飛ばしてでも無理にプラネットストームを復活させようとする輩が現れたなら妙な事になりかねないことも示唆した。もし何かの間違いか偶然かが重なりプラネットストームが動いたなら、それこそどうしようもない事態に陥りかねないのだと。

だからその懸念を解決するために決めたのだ。プラネットストームを停止させた後に各地のパッセージリングを完全に破壊してしまおうと・・・そしてその役目を果たすのがこの場にいる聖闘士四人というわけである。









2/31ページ
スキ