世界は聖闘士達の手によって変わり出す

「・・・話を戻して、それらの行脚を行うのは外殻大地を完全に魔界に降ろしてしまう前に一度、そして降ろした後に一度必要かと思います」
「何故二度分ける必要があるのだ?」
「先の目的はローレライが実際にいることに加えこの場で出てきた話を人々に知っていただくためで、後の目的は障気が生半可な事で片付かないということを理解してもらったのかを確認した上でプラネットストームの停止・・・そしてローレライの在り方をハッキリしていただくためです」
「何?ローレライの在り方とは、どういうことだカノン?」
カノンはそこからまた自分達がどう動くべきかを明かしていき公爵がその中身に疑問の声を挟むが、在り方との単語にまた眉を寄せる。
「これはまだ我々もローレライには聞いていない事になりますが・・・ローレライ、お前は全てが終わったのならどのようにしようと考えている?」
『それについては我は音譜帯に行くと決めている。元々は我もあの空の上に行き、他の音素集合体のように音譜帯の一部になろう・・・いや、ならねばならぬと思っていたのだ。もしオールドラントの命運が変わり滅亡を避けられたなら、最早プラネットストームに我の存在は意味がないどころかむしろ後々の争乱の種になりかねん・・・他にも他の音素集合体が集まっているというのもあるが、そういった事を考えてな』
「成程、そう考えていたか・・・なら一層我らの目的とも合致する。その行動はな」
「・・・もしやカノン、お前はローレライの存在にすがることの無意味さを公然としようというのか?」
「おおむねそういうことになります」
そこでローレライに確認を向けると自身の想いを余すことなく伝えんとする返答にカノンも納得する中、公爵がその意図を理解した様子に頷き返す。
「預言を信じる者にとって、ローレライという存在はユリアと等しく神聖なものと言えるでしょう。ですがこれから預言による統治に生活を脱しなければならぬ時にローレライがまだ世に顕現しないという事が、良からぬ意味で人々の希望となりかねません。第七譜石に詠まれた預言の中身は偽物だ、本物の預言が詠まれた譜石はまた別にあり、ローレライもまた降臨の機会を伺っていてそのような滅びを拒否してくれる・・・そういった甘い希望に」
「っ・・・そうなれば厄介な事この上ないな。最悪ローレライ教団が二分と言うよりは、ローレライの顕現を望む人間が集まる新たな集団が出来かねん」
「っ・・・それは流石にまずいですね・・・」
「はい。ですからそのような事態を避けるという意味に加え、ローレライがどうするのかハッキリ分かるなら聞いておいた方がいいと思ったのです。もし人前で暮らすようなことを選択するのであれば、また何か別の解決策を取る為に案を練ろうと考えていました」
「そこまで考えていたというのか・・・つくづく気が回るな、本当に・・・」
その上でまた仮定を告げていくがあまりにも重く否定のしようがない推測にピオニーとイオンも苦く表情を歪め、その上で対策を取る心構えをしていたとの声にインゴベルトは感心して声を上げた。
「ですがローレライが音譜帯に行くとの事で、尚且つこちらに協力してくれるとの事ですからそのような心配は低くなるでしょう。その上で先に言ったよう各地を回れば絶対に信じてなるものかと意固地になる者も現れるかもしれませんが、信じる者に比べてかなり小数程しか現れないと見ていいでしょう」
「ふむ・・・ローレライがいる理を活かすことは確かに必要か。それに当人も協力すると言っているのだから、これはうまくいくやもな・・・」
だがと更に状況はいいと今の状態に加え推測を述べればインゴベルトも確かにと頷く、大丈夫ではと希望を持てると。












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