世界は聖闘士達の手によって変わり出す

「では続いて私からも質問させていただきますが、アクゼリュスのリングを壊した場合と壊さずに降下させた場合・・・他のパッセージリングに対しての影響についてどれくらいの差があると予測出来ますか?」
「どれくらいの差ですか・・・壊さずに降下させた場合なら一年とまではいかずとも手を加えられなければ半年以内に他のパッセージリングが壊れるようなことはまずないと見ていいでしょうが、壊した場合に関しては一月持つかどうかも怪しいとしか言えないでしょうね」
「一月!?どうしてそんなに短いんですか!?」
次にアテナが直にディストに壊すか降下させるかの差についてを聞くが、短い場合についての予想にたまらずイオンが驚愕に目を剥き声を荒らげる。そして、その事実を初めて聞いた他の面々もまた似たような驚きを浮かべていた。
「耐久性の限界に来るというのが単純な理由ですが、更に分けるなら大きく二つ・・・まず一つはリングの本来あるべき形を壊してしまったことで、もう一つはアクゼリュスのセフィロトが少なからず支えていた外殻大地の重量を他のパッセージリングが一気に支えることからです」
「本来あるべき形に、他のパッセージリングが一気に・・・?」
「例えるなら、そうですね・・・支える足が四本ある椅子を想像してもらっていいですか?そういう椅子は大抵角の四隅に足があって物を支えるように出来ていますが、その内の一本の足が無くなったならその椅子に座った時どうなるか想像出来ますか?」
「・・・バランスが悪くなって座りにくくなるし、四本の足で耐えれてた重量も耐えれなくなる上に耐えれる重量であったにしても、三本の足では四本の時に比べて負担が大きくなって耐久力が著しく衰えることとなり、しばらくは座れはしてもいずれ壊れてしまうことになる・・・と言ったところか」
「えぇ、そういったところです」
ディストがその理由についてを話すがイオンがピンと来てない様子に例え話を用いて想像を促すと、カミュが意図を理解したとその結果を口にしたことに大体正解といったよう返す。
「パッセージリングの状態は大方彼が言ったような物です。ホドのパッセージリングに位置が近いアクゼリュスが障気という形で目に見える被害が現れましたが、それは他のパッセージリングにも言えることでダメージは少なからず蓄積しています・・・そんな中で更にまたアクゼリュスが壊れるような事になればダメージも甚大ですが、アクゼリュスのパッセージリングが少なからず支えていた大地を他のパッセージリングが支えねばならぬ事もあり一気に耐久力が無くなることが予想されるんですよ」
「それで・・・一月の内に他のパッセージリングが崩壊するというんですか・・・?」
「えぇ。とは言っても次にどこが崩れるかはある程度予測はついています。その中でも最も可能性が高いのはシュレーの丘にあるセフィロトです」
「何っ・・・何故だ、ディスト・・・!?」
更に説明を続けるディストにイオンが深刻に確認を取るが、シュレーの丘と聞きピオニーが焦りに満ちた声を向ける・・・シュレーの丘はマルクトの領地にある地のため、またマルクトが危機になるのではと不安を抱き。
「これはまた単純に、ホドとアクゼリュスのパッセージリングに一番近いのがシュレーの丘になるからです。まぁそれが外れたとしてもタタル渓谷かザオ遺跡か程度の違いでしょうし、ほっておいたら順序など関係無くパッセージリングの崩壊は続々と起きるでしょうね。それも他のセフィロトが落ちれば落ちるほど、残りのパッセージリングの寿命が一気に失われていく形でです」
「っ・・・そういった事も考えると、尚更に外殻大地の降下は必要となるというわけか・・・だからこそ俺達の行動がこの世界の命運を分けることになる・・・」
「うむ・・・他人事で済ませることなど到底出来ぬな・・・」
その理由を話す中で事態を解決しない場合のセフィロトの耐久力の危険を語るディストにピオニーもだが、インゴベルトもそっと冷や汗をかく。改めて自分達の行動が重要と感じて。








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