世界は聖闘士達の手によって変わり出す

「・・・そういうことだ。もうお前は神託の盾に在籍出来る状況にないし、私はそもそも生があるかどうかすらも分からん・・・だから最期だと言ったんだ」
「・・・そ、んな・・・なんで・・・なんで、こんなことに・・・」
ヴァンは話を引き継ぎ改めてもう会わないだろうことを強調し、ティアはとうとう膝から力なく崩れ落ちて虚ろな瞳を浮かべながら何故と漏らす。
「それは全て貴様が自分の行動は個人的な事と、何も見ようとも考えもしなかったことのツケだ・・・自らの行動を少しでも省みて客観視する事が出来たなら、もう少し結果は変わっただろうな」
「っ・・・私は・・・私は、ただ兄さんを止めたかったのに・・・」
「「「「・・・」」」」
一輝がそこでとどめとばかりに自分の行動のツケと見下ろしながら告げ、ティアは涙を流しながら止めたかっただけと漏らす。その姿を見た一同は何も言うことなく、微妙な表情を浮かべていた・・・最終的に出てきた言葉が結局、自分を庇うための個人的な物であったために。
「・・・さて、そこの男がセフィロトの封印に向かうとなったのだからもうこの女に用はないだろう。俺はそろそろ元の場に戻る・・・後は好きにしろ」
「待て、一輝・・・お前がこのような事までしてグランツ兄妹に関わってきたのは、兄妹としての関係がおかしな物だと気に入らなかったからか?」
「・・・フッ」
そんな微妙な空気の中で一輝がらしさを見せながら入口に向かうが、ノブに手をかける寸前にカノンが疑問を投げた事に立ち止まる。が、ニヒルな笑いを一つ返しただけで一輝は部屋から出ていった。
「・・・結局、一輝とやらは何をしたかったのだろうか・・・?」
「・・・カノンの言う事も間違ってはいないのだろうが、もしヴァンから操作の権利を譲られたならティアが勘違いしかねないことを考えたのではないのだろうか・・・先のやり取りを見る限りでは事が済んだなら無罪放免は勿論のこととばかりに騒いでいたのは予想出来る。あの一輝の考え方から見てそのような不誠実な事は納得出来なかったと思うが・・・」
「っ・・・多分、ティアについてはそうではないかとこちらも思います・・・元々から自分の行動は非を浴びる物ではないといったように考えてる節はありましたから・・・」
場が静かになってインゴベルトがそっと口にした疑問にピオニーが予測を述べ、イオンが苦い様子で賛同する。ティアは悪い意味で自信がたっぷりだったと認める形で。
「・・・とりあえず、まずはティア=グランツは再び牢に戻すこととしましょう。もうセフィロトについての協力を願う必要はないですし、話を戻すにあたってここにいてもらう理由もありませんので」
「そうですね・・・では再び牢までお願いします」
「ハッ!」
そこにトリトハイムがティアについてを終わらせるよう連行についてを口にし、イオンも気を取り直して近くにいた兵士に指示を出す。



『・・・よぉ、これで一輝のやること全て終わったって見ていいと思うか?』
『正直、そうは思えないというのが本音だね。とは言っても地球に戻るというように言ったから、何かをすると言うよりはもう何かをした可能性もあるだろうね。一輝の考え方から思うと』
『となると一輝が俺達の関知しない所で何かをするとは思えないから、また何か波乱がありそうな気がするな・・・』
兵士が最早立つ気力も無くなったティアを運び出すよう動くのをヴァンと市長とリグレットが複雑そうに見詰める中、デスマスクとアフロディーテとミロが小宇宙の通信で会話を交わす。一輝はまだ何かをやっているのではないかと、そう疑惑を抱く会話を・・・









・・・そしてすぐにティアは両脇を兵士に抱えられる形で支えられながら部屋から退出させられた、ハナから何もなかったような静けさに戻る形で。








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