世界は聖闘士達の手によって変わり出す
「今更だと思ったからこそだ・・・カノン達により尾羽打ち枯らし最早何も出来なくなった私がせめて何かを出来るとしたら、それくらいしかないのではと思ってな・・・」
「兄さん・・・」
ヴァンはその理由に関してを兄としての顔を浮かべる姿に、ティアは悲し気にうつむく。
「一輝、この質問に関しては口を挟まないでくれ・・・では改めて聞きますが、謡将が封呪の解除及び操作の解除に協力していただけると認識してよろしいのですね?」
「あぁ、お前達にはどうやっても勝てそうにないからな・・・今の状況では下手に動くことすらも出来んだろうしな」
カノンはそこであらかじめ一輝に牽制をしてからヴァンに質問をし、諦めたように頷く姿にディストにアリエッタを除く三人の六神将が苦く歯を噛む。各々がヴァンにかけた想いが水泡と帰した瞬間を目の当たりにして。
「・・・だがそうなると言うなら一層この場にティア=グランツに来てもらったことの意味というものが理解出来んな。こういった本音を明かせるというのであれば、わざわざ連れてくることもなく事後報告で済ませられると思ったのだが・・・」
「・・・確かにカミュの言う通りだな。あえてそこまですることの意味というものがあまり見出だせないが・・・」
そこに今度はカミュが何故と核心を問うような疑問を口にし、公爵も同意をする傍らで一輝に視線が皆から集まる。
「・・・それもこれも全て、この女の勘違いを是正するためよ」
「えっ・・・私の勘違いって、どういうことよ・・・!?」
「ならば聞くが、お前は何の為に神託の盾に入った?教団の為か?導師の為か?大詠師の為か?・・・どれも違うだろう」
「な、何を・・・私は、そんなことは・・・」
「即答出来んだろう・・・それもその筈だ、貴様が神託の盾に入ったのは他の誰でもなく兄の役に立つ為・・・それ以外にないのだからな!」
「!?」
一輝は視線を気にせずティアに対して話をしていくが、神託の盾に入った理由を切り捨てていく姿にたまらずティアは否定しようとする。だが言葉がはっきりしない様子を見て一輝がヴァンの為だと指を突き付けながら力強く言い切った事に、ティアは驚愕して目を丸くした。
「・・・よぉ一輝、どうしてそんなことを言い切れんだ?」
「この女の過去を見たが、神託の盾の兵士となるまでの道中と今までの心中には教団に預言の為など自分自身騙すようにうそぶく事はあってもその核には結局最後は兄の為・・・そういった気持ちがあった」
「っ!?ちょっと何て事を言うのよ!私は教団や人々の為にと神託の盾として動いてきたわ!」
デスマスクが静かに訳を問うが、一輝の答えにティアが聞き捨てられないと叫ぶ。忠誠心はあくまで私心を隠すための隠れ蓑、そう取られかねない言葉を告げられ。
「本当にそうか?」
「何を言うの貴方!?」
「思い出してみろ・・・神託の盾に入りたいと考えて兄に話をし、兄に相手をされず教官を紹介されれば機嫌を損ね、いざ兄の企みを知ればその企みを誰かに明かすことなく自分でどうにかしようと動き・・・それらを心に秘め、神託の盾にのうのうと居続けていたことが揺るぎない忠誠心だと言えるか?」
「っ・・・それ、は・・・」
一輝はそこでらしくないといったように熱を持った目を向けながらも静かに段階を踏むよう言葉を投げ掛け、ティアは反論の言葉と勢いを失う。いかにヴァンが基準になって物事を感じて動いてきたのかを、自分自身が取ってきた行動から否定もしようがない形で突き付けられてしまったことで。
.
「兄さん・・・」
ヴァンはその理由に関してを兄としての顔を浮かべる姿に、ティアは悲し気にうつむく。
「一輝、この質問に関しては口を挟まないでくれ・・・では改めて聞きますが、謡将が封呪の解除及び操作の解除に協力していただけると認識してよろしいのですね?」
「あぁ、お前達にはどうやっても勝てそうにないからな・・・今の状況では下手に動くことすらも出来んだろうしな」
カノンはそこであらかじめ一輝に牽制をしてからヴァンに質問をし、諦めたように頷く姿にディストにアリエッタを除く三人の六神将が苦く歯を噛む。各々がヴァンにかけた想いが水泡と帰した瞬間を目の当たりにして。
「・・・だがそうなると言うなら一層この場にティア=グランツに来てもらったことの意味というものが理解出来んな。こういった本音を明かせるというのであれば、わざわざ連れてくることもなく事後報告で済ませられると思ったのだが・・・」
「・・・確かにカミュの言う通りだな。あえてそこまですることの意味というものがあまり見出だせないが・・・」
そこに今度はカミュが何故と核心を問うような疑問を口にし、公爵も同意をする傍らで一輝に視線が皆から集まる。
「・・・それもこれも全て、この女の勘違いを是正するためよ」
「えっ・・・私の勘違いって、どういうことよ・・・!?」
「ならば聞くが、お前は何の為に神託の盾に入った?教団の為か?導師の為か?大詠師の為か?・・・どれも違うだろう」
「な、何を・・・私は、そんなことは・・・」
「即答出来んだろう・・・それもその筈だ、貴様が神託の盾に入ったのは他の誰でもなく兄の役に立つ為・・・それ以外にないのだからな!」
「!?」
一輝は視線を気にせずティアに対して話をしていくが、神託の盾に入った理由を切り捨てていく姿にたまらずティアは否定しようとする。だが言葉がはっきりしない様子を見て一輝がヴァンの為だと指を突き付けながら力強く言い切った事に、ティアは驚愕して目を丸くした。
「・・・よぉ一輝、どうしてそんなことを言い切れんだ?」
「この女の過去を見たが、神託の盾の兵士となるまでの道中と今までの心中には教団に預言の為など自分自身騙すようにうそぶく事はあってもその核には結局最後は兄の為・・・そういった気持ちがあった」
「っ!?ちょっと何て事を言うのよ!私は教団や人々の為にと神託の盾として動いてきたわ!」
デスマスクが静かに訳を問うが、一輝の答えにティアが聞き捨てられないと叫ぶ。忠誠心はあくまで私心を隠すための隠れ蓑、そう取られかねない言葉を告げられ。
「本当にそうか?」
「何を言うの貴方!?」
「思い出してみろ・・・神託の盾に入りたいと考えて兄に話をし、兄に相手をされず教官を紹介されれば機嫌を損ね、いざ兄の企みを知ればその企みを誰かに明かすことなく自分でどうにかしようと動き・・・それらを心に秘め、神託の盾にのうのうと居続けていたことが揺るぎない忠誠心だと言えるか?」
「っ・・・それ、は・・・」
一輝はそこでらしくないといったように熱を持った目を向けながらも静かに段階を踏むよう言葉を投げ掛け、ティアは反論の言葉と勢いを失う。いかにヴァンが基準になって物事を感じて動いてきたのかを、自分自身が取ってきた行動から否定もしようがない形で突き付けられてしまったことで。
.