「・・・皆様。まずはティア＝グランツにどのような状況の為に呼び出されたのかの説明に時間を取らせていただいてよろしいでしょうか？」
「・・・まぁ仕方ない。色々と面倒そうだが何やら必要な事のようだからな」
「こちらも問題ない」
「私もいいのでお願いします、カノンさん」
「ありがとうございます、皆様・・・」
カノンはその空気を見て平静に勤めながら代表三人に意見を求め、各々から了承が返ってきた事に礼を述べて説明に入る。









「・・・というわけだ」
「・・・兄さん、今の話は本当なの？」
「あぁ、間違いない」
「っ・・・何でそこまでの事を・・・！」
・・・それで説明は終わって疑いの目をカノンからヴァンに向け確認をティアは取るが、即答で頷かれたことにようやく受け入れたざるを得ないとばかりに悲痛な顔と声で何故と訴える。端から見れば兄の凶行を嘆く妹と言ったように見えるように。
「・・・その前に一つ聞くが一輝とやら。何故今ここでティアを呼んだ？」
「・・・それは貴様も薄々感じているだろう。セフィロトのユリア式封呪とやらを解除する時、パッセージリングに混ざった障気を受け取ってしまう・・・という事実があると言われるのだと」
「は？・・・おい一輝、それはどういうことだ？」
しかしティアに答えず一輝にどういう事かを問うヴァンに前置きをした上で答えるのだが、その唐突すぎる中身に場にいた人間全員がポカンとする中ピオニーがその意味を問う。
「ヴァンの記憶を読んだ時にアブソーブゲートとやらの操作をした際、相当な痛みが体の中に入り込んだという認識があった。そこでヴァンは何故と疑い理由を推測していくのだが、ラジエイトゲートというセフィロトにも操作に行きパッセージリングの封印を解いた際に確信したのだ・・・魔界からの障気はセフィロトを通じて第七音素と混じりあい、ユリアの血族を認識する際の第七音素が障気と共に自分の体へと入り込んできているのだと」
「なっ・・・なんですって・・・！？」
一輝はその中身についてを詳細に説明していくのだが、ティアはそれらを受けて愕然とした。まさかユリア式封呪を解除するのにそんなリスクがあるのかと。
「・・・一輝、他の六神将はその事実を知っていたりするのか？」
「ディストにリグレットだけだ。下手に情報漏洩をするのを避ける事と何故そんなことになったのかという事実の解明の為、もしもを考え二人だけにその事実を伝えたようだ。最も、ディストはヴァンの体を検査もしてもう手遅れだとの診察をしたようだがな」
「何っ・・・手遅れだと・・・？」
「とは言ってもそれは体に入り込んだ障気を体から取り出すことについてだ。いつ死ぬかという程切迫した物ではない。まぁそれでも常人ならアクゼリュスで倒れていた人間より深刻な障気障害と診断されるレベルだとのことだ。今はやせ我慢しているようだがな」
「っ・・・本当なの、兄さん・・・？」
カノンは構わず質問をして一輝に話を続けてもらうのだが、障気の量が並大抵ではないことを聞き先程までの姿など嘘のようにティアはヴァンに心配そうな目を向ける。
「・・・ならば私が実際に確かめてみようか」
「えっ・・・！？」
‘ドッ’
「ぐっ・・・！？」
「兄さん！？」
しかしその時にゆっくりと立ち上がったアフロディーテがピンクの薔薇を取り出し、ヴァンの肩口に常人の目には見えぬ早さで投げつけ茎の部分を突き刺し苦悶の声を上げる姿にティアは絶叫する。
「貴方、一体何を・・・！」
「少し黙って薔薇を見るんだね。彼の肩口に刺さった薔薇の色を」
「え・・・っ、これは・・・！？」
「・・・成程、確かにこれはすごいものだね。直に刺したあの薔薇がすぐにここまで濁るとは・・・」
すぐさま怒って非難の声を向けるティアだがアフロディーテの指摘にヴァンの肩に刺さった薔薇を見て、周りの面々と共に驚愕する・・・ピンクの薔薇がみるみるとその色を紫色に毒々しく変えていく様子に。アフロディーテもその薔薇の変わりように感嘆の声を漏らした・・・障気の量がすごいと分かる様子に。










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