世界は聖闘士達の手によって変わり出す

「・・・色々と他にも聞きたいことはあるが、試しのと言う理由で何故他の何処でもなくアクゼリュスが真っ先に出てくるんだ?」
そんな状況でピオニーが探るようでいて静かにカノンに鋭く細められた目を向け、問いを投げ掛ける・・・よからぬ企みでアクゼリュスを利用するのであれば、もしもの時を見据えてるかのように。
「このような言い方は気に入らないでしょうが、理由としてはアクゼリュスがうってつけだからです。アクゼリュスを中心として人がいない地、預言により消滅すると詠まれた地、そしてこれは我々の予想になりますが・・・パッセージリングの限界が来たと思われている地だからこそと」
「何?パッセージリングが限界だと?どういうことだ、それは?」
「その為にも一つディストに質問をしますが・・・どうだ、ディスト?我々の予想は合っているか?」
「えっ、えぇ・・・確かに合っていますよ・・・」
「何?それは本当なのか?どうしてそうだと言える?」
カノンはその目に臆する事なく答えていくのだがパッセージリングの限界を予測する声にピオニーは疑問の声を上げ、カノンに話を振られたヴァン達の中にいたディストは戸惑いながらも頷き一気に視線が集中する。
「・・・理由として二千年近くも宙に浮き続け整備もろくにされなかった事による経年劣化もあるとは思いますが、最も大きな理由としてはホドを支えていたセフィロトのパッセージリングが消滅したからです」
「何っ!?ホドが消滅したからだと!?」
「・・・市長は外殻大地は永遠に空を浮き続けると思っていたようですが、ホドのセフィロトが消滅してしまったことでパッセージリング全体にその衝撃がいってしまったんです。そしてホドのセフィロトが無くなったことによりホド周辺の外殻大地を浮かせるために他のパッセージリングにその負荷がかかってしまい、更に外殻大地を浮かせ続けるにはキツいダメージがいってしまった・・・言ってしまえば預言通りにしたからこそ、外殻大地はまだ保てる筈だった寿命を一気に縮めてしまったような物なんですよ。なのに預言にそんなことは詠まれてないからとロクに物事を考えなかったからこそ、貴殿方は世界を滅ぼすための道に足を突っ込んでしまった」
「っ・・・!」
それで科学者としての見地を語るからか落ち着いたディストが話を進めるのだが、市長がたまらず信じられないと声を上げた事にその根拠を語りすぐに苦々しげに顔を歪ませる。
「・・・しかし、よくそう言った考えに至りましたね。貴殿方は頭がキレるとは言え、科学的な物にはあまり縁がないように思うのですが・・・」
「障気が外殻大地にまで現れた事に疑問を持ったからだ。本来なら障気を避けるために影響の及ばない遥か上空に大地を浮かせたというのに、アクゼリュスがユリアシティの周囲に広がる程の濃度ではないとは言え人が動けなくなる程の障気が蔓延るというのは何か異常があるのでは・・・とな」
「・・・鋭い読みですね。確かにその通りです。調べた所によればホドとアクゼリュスのパッセージリングの位置は近く、ホドが消滅した時の影響を最も強く受けたからこそリングにヒビが入り障気が漏れでた・・・と言うのが私の見解になります」
「ちょっと待ってくれ、ディスト・・・リングにヒビが入ったと言ったが、もしそうだというならアクゼリュスのパッセージリングは危ういと言うのか?預言など関係無く」
そこからディストはカノンに感心した目と声を向けるが、そう思った根拠を聞き正解と告げつつ更に補足を入れる。だがその言葉にピオニーは引っ掛かり、話を止める。アクゼリュスの状態についてを真剣に聞くために。










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